第55章
ローハンの視点。
俺はアヴィラとのデートの準備をしてたんだ。そしたら、スマホが鳴ってさ。誰だと思ったら、元カノのソフィアだった。しばらく前にちょっとあったオオカミの女の子。
ソフィアは、どうしても一緒にご飯食べて、何か大事なこと話したいって言うんだ。アヴィラをドタキャンしたくなかったんだけど、ソフィアは何かあるって言うし。しょうがなく電話して、アヴィラにキャンセルの連絡をした。アヴィラは全然気にしないような感じで、後で埋め合わせすればいいかなって思ったんだ。
ソフィアに会うために、レストランまで車を走らせた。
車を駐車場に停めて、中に入った。ソフィアがいるテーブルに向かうと、相変わらず可愛いな。前よりさらに綺麗になってる気がする。
俺たちは一緒に注文して、食べ始めた。
「それで、何の話がしたかったの?」俺はソフィアに尋ねた。
「私の相手、私を捨てたの」ってソフィアはあっさり言った。
「えっ?!」俺は驚いて聞き返した。
みんな幸せそうにしてて、ソフィアは、自分の相手と一緒に幸せだって信じられない!って言ってたんだ。パックにいる両親に会いに来た時も、その話ばかりしてた。
「彼はまだ最初の妻のこと、亡くなった妻のことを愛してた。彼女の魂が私をどこまでも追いかけてきて、セックスしてる時も、私の名前じゃなくて、彼女の名前を呼ぶんだ。私を全然見てないみたい。彼の妻のことを忘れさせようとしたけど、そんなの無理だって分かってた」ってソフィアは言った。
俺はソフィアの手を握って、彼女を見た。ソフィアに話したいことはたくさんあったんだけど、何から話せばいいか分からなかった。
ソフィアに、そんなこと気にしないで、前に進みなよって言おうとしたんだけど、何かに目が釘付けになった。
アヴィラとベンが、ずいぶん離れた席で話してるんだ。アヴィラはめっちゃセクシーなドレスを着てて、俺は元カノに話を聞くために、アヴィラをドタキャンしたバカだ。
「ベンと後で会うことになってたから、平気だったのかな?」
「ローハン、大丈夫?」ソフィアが心配そうに聞いてきた。
俺は首を振った。「ああ、大丈夫」
「言おうとしたのは、その関係から抜け出せて良かったってこと。正気を失う前にね。ソフィアはいい人だし、関係を修復しようとしてたのは知ってる。本当にすごいよ」って俺は言った。
「優しいね、ロ。あなたはいつも優しい人。物静かだけど、優しいの」ってソフィアは言った。
「俺はいつもそばにいるよ、ソフ」って俺は低い声で言って、ソフィアの手のひらを親指で擦った。
「あのね…」ってソフィアが言いかけたけど、俺は無視した。
だって、アヴィラとベンはキスしてたんだ。周りの目を気にせずキスしてる。俺の中で何かが一瞬で緑色で嫌なものに変わった。
ソフィアが俺の気を引こうとしたけど、もう遅い。俺は怒りで我を忘れてたんだ。ベンとアヴィラに激怒したけど、一番怒ってたのは、こんなことになっちまった自分自身だった。
ソフィアはキスを見て、混乱してショックを受けた様子で、唇を拭って、周りを見回して誰かに見られてないか確認してたけど、俺と目が合った。
ソフィアの目は見開かれて、細められた。そして、俺の隣に視線が移動すると、唇をきゅっと引き締めて、また食べ始めた。
え?終わり?何事もなかったかのようにご飯食べに戻るのかよ?!
他の男とキスしてたんだぞ!
俺は10数えて、オオカミを落ち着かせようとした。呼吸に集中して、人に襲いかかったりしないように。
ソフィアは食べ終わって、会計して、車に向かった。ソフィアはものすごく怒ってるように見えた。なんでそんなに怒ってるんだろう?俺の親友の前で、俺の友達とキスしたのはソフィアなのに。
「ローハン、大丈夫?ずいぶん前からあなたに話しかけようとしてたんだけど」ソフィアが言った。
「ああ、うん。大丈夫だよ。ちょっとぼーっとしてた」俺は答えた。
「それで、あなたはまだ相手は見つかった?」ソフィアが聞いた。
「いや、まだだよ」俺は嘘をついた。
アヴィラを拒否した後に、アヴィラを無視したんだ。俺は史上最悪のメイトに違いない。こんなことになったら、アヴィラが自分の人生を進むのも仕方ないよな。でも、だからって他の人とキスする権利はない。俺が生きてる限りは。
「それは最悪ね。まあ、私は戻ってきたから、また最初からやり直せるかもしれないわね」ってソフィアは言った。
「今はちょっと、家庭のことで色々あって、今は邪魔されたくないんだ」俺はソフィアに言った。
「分かったわ。準備ができたら、連絡してね」ってソフィアは言った。
そんなこと、しばらくないだろうな。少なくとも、完全に壊れてない今のうちに、アヴィラとの関係を修復しなきゃ。そう言うべきだったんだけど、俺はバカだった。
「分かった」俺は代わりにそう答えた。
「よかった」ってソフィアは言った。
「ちょっと、俺行くわ。何かあったんだ、今すぐ対処したい」って俺はソフィアに言った
「いいわよ、一緒に行く?」ソフィアが聞いた。
「いいよ、大丈夫」って俺は言って、レストランを出る前に俺たちの食事代を払った。
これで終わったから、ベンとアヴィラのことで怒ることにした。俺をバカにしたことに、よくも!ベンは親友だと思ってたし、アヴィラとも上手くいくと思ってたのに。
怒りながらアヴィラの家に車を走らせて、一体何がしたいんだって問いただしてやる。どうしてこんなことできるんだ?
それから、アヴィラが終わったら、ベンをぶちのめしてやる。ベンには、アヴィラに近づくな、距離を置けって言ったのに。
アヴィラの家の私道に着いて、車を停めた。ノックもせずに、アヴィラの家に押し入って、大声で叫んだ。
「アヴィラ!!」