第61章
アヴィラの視点
おばさんは約束を守ってくれた。もう終わったみたいで、あたしをずっと待ってたみたい。
「何でそんなに時間かかったの?」おばさんは腰に手を当てて聞いてきた。
「電話してただけだよ。もう準備万端!」あたしは答えた。
「分かった」っておばさんは言って、ドアから出て行った。
あたしも後に続いて、キャビンのドアをちゃんとロックした。
キレイなビーチに向かって歩いた。あたし達と一緒にビーチにいる、超イケてる男達をチェックした。
水辺の近くに場所を見つけて、そこで準備した。
おばさんはカバンを開けて、ワインボトルとグラスを2つ出した。
「ベアトリス叔母!」あたしは息を呑んだ。おばさんはちょっと笑った。
「もう18歳だし、これが良い絆の深め方でしょ、お酒を通してね」って言ってから、お酒を注ぎ始めた。
「まあね」
「さあ、飲んで、秘密全部話しなさいよ」って、グラスを渡しながら言った。
ちょっとだけすすって、ワインの味を確かめてから、全部飲み干した。
「落ち着いて、水じゃないんだから」とおばさんは言った。
「ごめん、ただすごく喉が渇いてたの」あたしは謝った。
「それで、何が悩み?」おばさんは聞いた。
すぐに、楽しいおばさんから、誰でもぶっ飛ばす系の真面目なおばさんに切り替わった。
「色々あったんだよね」あたしは言った。
「分かってるよ、話聞くから」って、おばさんはあたしを促した。
「あのさ、ローハンに振られたんだよね」あたしは言った。おばさんは頷いた。「後悔してるって言ってきて、またやり直したいって。それで、また一緒に遊ぶようになったの。最高だったし、やっと本気で、あたし達が運命だって分かってくれるんだって思った。でも、結局、いつもの自己中なクソ野郎だってことが分かっただけ」あたしは話した。
「あらまあ!あいつはアンタに相応しくないわ」おばさんはあたしの頭を撫でながら言った。
「マジで?」あたしはびっくりして聞いた。
まさか「あなた達は運命の人よ」みたいなこと言うと思ったのに。マジで予想外。
「そうよ、分かってるわよ、彼があなたのメイトだってこと。でも、もう振られたこと受け入れて、前に進む時なのかもしれないわね。あなた自身について知らないことがたくさんあるし、自分の価値に気づかないような男に傷つけられても、それらのことを見つける手助けにはならないでしょ」って、おばさんは真剣な顔で言った。
「分かった」
「よし、じゃあバーに行って、あたし達が飲むワインをもう一本買ってきて」っておばさんは言った。
あたしはおばさんに微笑んで、もう一本ワインを買いに行くために、その場を去った。
ビーチはすごく綺麗で平和だし、ここにいるみんなは、自分のことだけ考えてて、自分の大事なことに集中してる。そういうの、大好き。
スマホにメッセージが来て、ちょっと見てみたら、カミラからだった。
ねえねえ!
あたしは何かニュースがあるって分かって、スマホを見てニヤニヤした。
すぐに返信しようとしたら、固いものにぶつかった。あたしが倒れる前に、手が素早くあたしを支えた。
「あ、ごめんなさい!どこ見てたんだろ。本当にごめんなさい…」言葉は喉で詰まってしまった。だって、あたしの目の前に、見たこともない神様みたいな顔の人がいたんだもん。彼の瞳は、あたしが見たことないくらい明るいブルーで、肌もツヤツヤだし、黒と黒の服がめっちゃ似合ってる。
「ごめん?」あたしは掠れた声で言った。彼は全く動じない様子で、あたしをじっと見つめていた。
「何なんだ?」彼は聞いた。
あー!あたし、彼のベイビー欲しいかも。彼の声はスムーズで、深みがある。もっと話してて欲しかったのに、彼の言ったことが頭に入ってきた。
「え?」あたしは聞き返した。
彼は少し驚いた顔をして、ピンクの唇を少し開けてあたしを見ていた。
「お前はオオカミだ」彼は簡単そうに言い切った、あたしの驚いた顔を無視して、あたしの髪の匂いを嗅ごうと近づいてきた。
「オオカミにしては良い匂いだ」彼は言った。
「え?」あたしは完全に混乱して聞いた。
この人、何者?
「俺はウラジーミル。そして、お前は俺のメイトだと思う」彼は平然と言った。
「はあ!?」あたしはまた言った。
彼は鋭い青い目であたしを見てきた。本当に、このビーチにいる誰よりもイケメンだった。ローハンよりもイケメンだった。拒絶されたばっかりなのに、なんでこんなに彼に惹かれるんだろう。オオカミには見えないし、見えてたら感じたはずなのに。
「あなたは誰?」あたしはまた聞いた。
「俺はヴァンパイアだ」彼は率直に言った。
あたしはそこで固まってしまった。あたしの夢が全部叶ったみたいで、彼に「連れてって!」ってお願いしたくなるはずなのに、今はただ、目の前にいることにものすごい恐怖を感じていた。
「ヴァンパイア?」あたしはか細い声で言った。
「ああ、聞いたことあるでしょ?」彼はニヤリと笑った。
「ふざけないで」あたしは彼に強く言った。彼の目は少し見開かれたけど、あたしは気にしなかった。「オオカミとヴァンパイアは番にならないの」あたしは当たり前のことを言った。
「それは知ってる」彼は考え深そうに言った。
「あの…あたし、行かなきゃ」あたしは彼に言った。
あたしが彼から離れようとすると、彼はあたしの手を掴んだ。
電気が一瞬で走って、あたしは彼の腕の中にまた倒れ込んだ、2回も彼に抱き止められた。何これ?
「感じただろ、それ」彼は聞いた。
「うん、感じたけど、そんなはずない」あたしは彼に言った。
「分かってるけど、お前は俺のメイトなんだ」彼は当然のことのように言った。
「あの、何をして欲しいのか分からないけど、あたし、おばさんに飲み物買ってこないと、いい?」あたしは真剣に彼に言った。
彼はあたしに頷いただけで、それ以外は黙っていた。あたしは彼の横を通り過ぎ、10歩くらい歩いたところで振り返ると、彼はもういなかった。
変!