第49章
また涙が落ちた。「私も好きだよ」って、告白した。今まで誰かにこんな気持ちを打ち明けたことなんてなかったのに、こんな状況で。始まりじゃなくて、友情と関係の終わりなんだから。
「でも?」って、セスは待ってる。
「でも、仕事が好きなの、セス。26歳で法律事務所のパートナーになるのがどれだけ大変か、わかる?やっとパートナーになれたのに、検事の君にこんな気持ちを持っちゃったせいで、仕事を失うわけにはいかないの。わかって」
「わからないよ、カリー。どうしても」
「両親は医者なの。医大に行ってほしかったけど、私はギデオンおじさんのように弁護士になりたかった。両親はがっかりしたわ。おじさんにもがっかりさせられない。すごく期待されてるんだから」
私の茶色の瞳を見て、セスの緑色の瞳は来た時よりちょっと暗くなった。「自分で何を期待してるの?誰かを喜ばせる前に、まず自分を喜ばせなきゃ。一緒にいて幸せじゃないって言うの?」なんで、こんな質問を私にするの?しかも、答えを知ってるくせに。
「言えないわ」って答えたら、この戦いに負けちゃう。彼が私をどれだけ幸せにしてくれるか、知られたら、また私と戦おうとするかもしれない。戦いたくないの。ただ勝ちたいだけ。仕事と一緒に、私から離れてほしいの。
「だって、俺たちがお互いを幸せにしてるってわかってるから」彼が言ったのは、「俺が君を幸せにした」じゃなくて、「俺たちが」お互いを幸せにした。それは、一方通行じゃないんだよ。
もう耐えられなくなって、「お願い、出て行って」
彼はため息をついて、首を振った。「君が自分の気持ちに気づいたら、待ってるから。俺の番号は知ってるだろ。どこに住んでるかも」
私の額にキスをして、後ろも振り返らずに、ドアの方に向かった。
ドアが閉まった時、泣きたくなったから、泣き始めた。ソファーに歩いて行って、そこに寝転んだ。しばらく泣いた後、ロホがソファーの足元に来て吠えた。鼻をすすって、彼女を抱き上げて胸に抱いた。彼女を撫でて、もっと泣いた。
これが、私が動物を好きな理由の一つなんだよね。
必要な時にいつも慰めてくれるから。
「マジで、今夜は来ないの?」アイリスがスピーカー越しに文句を言ってる。
「気分じゃないの、アイリス」特に、アイリスとブランドンと一緒に出かけるってことは、特定の人に会うってことだし。
「うーん…親友レーダーが何かを感知したわ。どうしたの、ハニー?」心配そうな声で、音量が下がった。
私は首を振った。「何もないわ。大丈夫」大丈夫だよ、きっと。
どうしてこんなにすぐに誰かに執着してしまうんだろう?こんなに辛いのは、なんで?
「うーん…今の君の状況って、特定の金髪弁護士となんか関係ある?」彼と全部関係あるわ。もし今夜出かけたら、彼に会うことになる。もし彼に会ったら、何が起こるかわからない。
「ただ、やることがたくさんあるだけなの。全部男のことじゃないわよ」そんなに失礼な言い方をするつもりはなかったけど、なんで今夜出かけたくないのか、説明する必要は感じなかった。親友なんだから、そのうち問題に気づくはず。今は、一人でいたいだけなの。
「オーケー、ミッシー。またすぐにね。いい子にしててね」彼女の声にちょっと怒りが感じられたけど、アイリスのことだから、明日には忘れちゃうだろう。電話を切った後、テレビの画面を見た。クラウスとキャロラインが言い合ってるのを見てれば、少しは気分が晴れるかもしれない。少なくとも、彼らは自分の感情をコントロールする方法を知ってる。キャロラインはクラウスを嫌ってるから、彼から離れるのは簡単。私はセスを嫌いじゃない。すごく好きだけど、仕事も好きなんだ。
ため息をついてテレビを消した。吸血鬼とハイブリッドのラブストーリーを見てても、今の気分よりよくなるわけじゃないわね。
ソファーから立ち上がった。アイリスの言う通り、土曜日の夜に家にいるのは、いい考えじゃないかもしれない。特に、傷つけた人のことを考えずにはいられないんだから。
携帯電話を取り出して、土曜日の夜でも連絡が取れるあの人に電話した。「家にいる?」
彼は笑った。「他にどこに行けばいいんだよ」
私も彼の言葉に笑って、真剣な顔で言った。「行っていい?」
「俺の人生を救ってくれた美しい女性のために、ドアはいつも開いてるよ」ナイジェルの言葉に、私は目を丸くした。彼の人生を救ったのは私じゃない。彼は、刑務所に入るべきじゃない、ちょっとも純粋じゃない男だったし、彼が私にしてくれたことを考えると、それは恩返しみたいなもんなんだから。
「20分で行くわ」通話を切った。クローゼットに行って、セーターを取り出して、お酒の棚に行って、とっておきのウォッカのボトルを取り出した。鍵を掴んで、後ろのドアを閉めた。
悲しみを泣き流せないなら、お酒で流せばいい。
スタジオアパートに入ると、ウォッカのボトルとジャンボサイズのチップスを掲げた。
ナイジェルの顔に大きな笑顔。「俺の心を読んでた?」
「プロのハッカーなんだから、私の脳をハッキングしたの?」
「いや、ただ、俺たちがひどい一週間だったってだけ」ナイジェルは私の方に歩いてきて、ポテトチップスを私の手から奪った。「映画は?」
「わかんない。コメディかスリラー。絶対ロマンスはなし。ここは、ロマンス禁止区域」頭に余計な考えを入れたくなかったんだ。
「ターミネーター」彼が提案した。
「いや、ロマンスもあるし、古い」
「バードボックス?」
私は顎をさすった。「見たことないの。予告編すら見てないけど、出回ってるミームを見る限り、ロマンスはなさそう」