CHAPTER 16
侍女が突然立ち上がって、自分を縛っていた鎖をブチっと切った。皇帝はそれを見てニヤリとして、全部計画通りだったんだって分かった。自分の計画じゃなかったからホッとした。じゃないと、自分がヤバいことになってたかもだし。
あの悪い女のことになると、自分の人生を邪魔しようとする奴には誰に対しても容赦しないんだよな。
「何やってんだ! 侍女を椅子に縛りつけろ!」って将校が叫んだけど、もうムダだった。
か弱かった侍女が、突然めちゃくちゃ強い戦士みたいになって、邪魔する奴をバッタバッタとなぎ倒していく。あいつ、戦士だってすぐに分かった。しかも、最強のやつ。なんで誰も気づかなかったんだ? 俺だって騙されてたし。この若い侍女、一体どんな秘密を持ってるんだろーな。
「撃て!」って宰相が叫んだから、弓兵たちがもういつでも撃てる体制になった。
皇帝である俺だって、もう止められないって分かってた。とりあえず、このドラマがどうなるか見てようと思って。俺はただ座って、奴らが殺し合うのを見てるだけにしよーっと。
弓兵が矢を放つと、まるで嵐が吹き荒れるみたいに、一面に霧が立ち込めた。そして霧が晴れたときには、弓兵たちは全員死んで、地面に倒れてた。みんな、何が起きたのか理解できなくて、唖然としてる。
侍女はそこで筋肉を伸ばしてて、これはマジでヤバいことになるなって思った。
護衛が地面に降りてきて、その後ろには見たこともない兵隊たちがゾロゾロと。蓮の宮殿の色をまとってるし、護衛の後ろには聖女と、俺の息子がいる。結局、生きてたのか。
「何が起きてるんだ? 生きてる!」って誰かが言った。
俺は立ち上がって、息子を見た。全然ケガしてないみたいだし。聖女が地面に入ってきて、止まった。いつものように顔を隠してる。今まで一度も顔を見たことがなかったんだよな。噂はいっぱいあったけど、どれが本当なのか分かんなかった。
「こんなに我慢できなくて、焦ってて、アホな奴がいるなんて思わなかったわ。私の命、そして私に仕える人たちの命を奪おうとするなんて。前に言ったと思うんだけど、もう誰も殺したくないって。でも、あんたが始めたことよ。あんたらの法律なんてクソくらえだわ。私を傷つけようとした奴らは、私が自分の手で始末する」って聖女はみんなを見て言った。
何人か、すごくビビってる顔が見えた。
その時、聖女は扇子を開いた。扇子の能力のことは聞いたことあったけど、実際に見たのは初めてだった。
俺は、扇子が将校たちの首を次々と切り裂くのを見てた。自分の部下たちが地面に倒れて死んでいくのを見てた。皇后も、その父親も、慌てて出てきたけど、もう遅かった。
護衛に捕まって、みんなの前に連れてこられたんだ。
自分の奥さんである皇后が、護衛にイジメられてるのを止めることすらできなかった。別に好きじゃなかったけど、あの仕打ちは酷すぎるだろ。奥さんがそんな風に扱われてるのを見たら、普通は助けるもんだろーよ。
「あんたら二人がどんな立場か知ってるけど、私のことも知っておいた方がいいわよ。逃げようなんて思わないでよね。あんたらの仲間は捕まってるし、全部自白してるわ。自白したら、情けをかけてあげる」って聖女は言った。
「一体何が起きてるんだ?」ってみんなが聞いてる。
「皇后様、聖女様は何を言ってるんですか?」って俺は皇后に近づいて聞いた。何にも知らないふりをしなきゃ。
彼女は怖がってた。それが分かった。
「自白する前に、あんたのお父さんを殺した方がいいかしら?」って聖女はまた爆弾を落としたから、皇后は全部自白し始めた。
自分の奥さんが残酷だってことは知ってたけど、ここまで酷いとは思わなかった。息子の暗殺未遂のこととか、色々自白した。
「私の仲間を誰一人殺せなかったから、情けをかけて、あんたらに恥をかかせてあげるわ。あの将校たちが死んだのは、あんたが私の侍女を酷い扱いしたからよ。
どうしてあんなに冷酷に、女を痛めつけられるの?」って聖女は俺を見てから続けた。「あんたの息子は生きてるわ。そして元気よ。あんたは犯罪者を手に入れたんだから、好きにしていいわ。
宿屋の主人に補償をして、お店をちゃんと再開させてあげてちょうだい。こんな簡単な訪問なのに、ドラマ見すぎちゃったわ。もう二度と、この首都には来ないわ。私を二度と呼び出さないでね。あんたの息子は、あんたに預けておくわ。私たち、二度と揉め事が起きないといいんだけど」
そう言って、聖女は振り向いて、今はザビエルって名前のミカを見てた。その目には深い心配の色が見えた。ミカのこと、気にかけてるんだ。って、俺は思った。
聖女がミカの顔を触ってるのを見てた。大勢の人がいるのに、そんなこと全然気にしないんだ。
「元気でね。いつも自分を大切にして」って言って、去っていった。
俺は、息子が一体何が起きたのか、まだ全然分かってないってことに気づいた。聖女には行って欲しくなかったけど、父親として、もう二度と息子を失うわけにはいかないんだ。
「王子を俺の宮殿に連れて行け」って言って、護衛たちが王子を連れて行くのを見送った。
そして、皇后とその父親を見た。
「このニュースにはマジでビックリしてるけど、お前たちのことは宮廷に任せて、どうなるか話し合うことにする」って言って、俺もその場を後にした。
聖女は、俺が欲しいものを全部くれた。自分の奥さん、そして、威圧的な義理の父を始末できて、息子も取り戻せた。
今起きたことのせいで、しばらくは静かになるだろう。
その間に、失った息子と仲良くなって、聖女のことも知りたい。敵のことを知っておくのは良いことだ。そうすれば、また戦うことになっても、ちゃんと準備ができる。結局、今日は良い一日だったな。