CHAPTER 39
ザビエルはヴァレリーの髪をとかしてあげた。彼女は隣町へ行く準備をしている。あそこへ行って何がしたいのか、彼にはまだ全然分からなかった。でも、みんなのためだってことは分かっていた。彼女はいつだって、すっごく綺麗なんだよな。彼女は彼の手に触れて、鏡越しに彼を見て、彼は彼女に笑いかけた。
「私がいない間、宮殿のこと、頼むわね」
彼女はそう言った。
「任せて。君のために守っておくよ。行って、ミッションを終えて、俺のところに帰ってきてくれ」
彼はそう言うと、今度は彼女が笑った。
「うん」
しばらくして、ザビエルはヴァレリーが馬車に乗って出発するのを見送った。彼女は馬車の窓を開けて彼に微笑みかけ、馬車は走り出した。
「聖女様って、あんなに若く見えるんだな」
宿屋の主人が言った。
ザビエルは、長い付き合いのその老人に笑いかけた。
「彼女のことには、びっくりすることがたくさんあるんだよ、マジで」
彼はそう言った。
「あんなに気の強い奥さんを見つけられるなんて、あなたはラッキーだな。普通の人とは違う。俺は本当に尊敬しているし、すごいと思うよ」
彼はそう言った。
「ありがとうございます。結婚式の招待状、必ず送りますよ」
ザビエルは約束した。
「そんなイベントに出席できるなんて、光栄だな」
「じゃあ、俺はこれで。昨夜のこと、ここだけの秘密にしておきます」
ザビエルはそう言うと、老人は頷いた。
ザビエルは自分の馬に乗り、ウェディングドレスを見てダレンと話すために、山へと戻った。彼も自分みたいに、すぐに山の住人になるんじゃないかって感じたんだ。
長い旅だったけど、ついに到着した。彼らは別の宿にチェックインし、食事をしてから、また捜索を始めた。
ヴァレリーは、子供たちが一緒に遊んで笑っているのを見て微笑んだ。彼らは、あんな子供時代を過ごせてラッキーだな。自分はそんな経験、一度もしたことがない。蓮の宮殿の女主人になるための教育を受けて育ったんだ。
友達なんて、全然いなかった。周りにいたのは使用人だけ。本当に寂しい人生を送ってきたから、他の誰にもこんな思いをしてほしくないと思ったんだ。
歩いていると、ヴァレリーは一人の女の子が座っているのに気づいた。彼女には、友達がいないみたいだった。他の子はなんで彼女と遊ばないんだろう? そう思って、彼女の方へ歩いていくと、女の子はすぐに立ち上がり、服の埃を払った。
「あなた、名前は何て言うの?」
ヴァレリーは尋ねた。
「ないの」
女の子は答えた。
「ご両親は?」
「いないよ。なんでそんなこと聞くの?」
女の子はちょっと強気で聞いてきたけど、ヴァレリーは微笑んだ。
「ただ、あなたのことを知りたかっただけ。あそこの屋台で、何か食べない?」
ヴァレリーは、女の子の顔に幸せの色が浮かぶのを見た。ヴァレリーは女の子を屋台に連れて行き、食べ物を買ってあげた。女の子はまるで何日も食べていないかのように、むさぼるように食べていた。
食べ物をくれた女の人は首を横に振って言った。「あの子は家族がいないのよ。誰かに面倒を見てもらえてよかったわね」
なるほど、そういうことだったんだ。もし彼女を連れて行けば、誰も彼女を探さないだろう。ヴァレリーは、彼女が目の前の皿を全部食べ終わるのを見て、彼女がお腹いっぱいになった。
「私と一緒に散歩しない?」
ヴァレリーは女の子に尋ねた。
「でも、汚いから。迷惑かけちゃうかもしれない」
彼女はすごく遠慮がちに言った。
「そんなこと、誰にも言わせないわ。おいで」
ヴァレリーはそう言って立ち上がった。
女の子は彼女の後をついて、代官屋敷に向かった。到着すると、彼らはノラがバッジを取り出すまで中に入れようとしなかった。警備員は謝罪し、彼らを中に入れた。中に入ると、代官はすでに待っていた。
「お粗末な対応で、大変申し訳ございません」
彼は彼女に頭を下げた。
「大丈夫よ。今日からこの子の面倒を見るって、あなたに伝えに来たの。誰かが探しに来ても困るから、今日から一緒に連れて行くわ」
ヴァレリーは老人に言った。
「ただの路地裏の子供じゃないですか。誰も探さないと思いますが。他の人を養子にしたらどうですか?」
彼は彼女に尋ね、彼女は老人に近づいた。
彼はよろめき、彼女は止まった。
「自分の首を大切にしたいなら、二度と私に質問しないで。私の望みは、あなたには関係ないこと」
彼女はそう言うと、くるっと踵を返した。
「行こう」
ノラは女の子に言った。
彼らは代官屋敷を出て、宿に戻り、ヴァレリーは女の子に長いお風呂に入らせた。ノラは女の子をゴシゴシと洗い、綺麗にした。
彼女は女の子のために、貴族風の服をいくつか買ってあげ、着せた。ヴァレリーは女の子を見て微笑んだ。彼女はもう、路地裏から拾ってきた子供には見えなかった。時間が経てば、彼女の肌も外見も、すっかり変わるだろう。
「ありがとう。でも、あなたって、一体誰なの?」
女の子はついに、ずっと前に聞くべきだった大切な質問をした。
「今日からあなたのママになるわ。自分の子のように愛して、大切にするわ。あなたにはこれからたくさんの責任があるけど、私をがっかりさせないでね」
彼女はそう言うと、女の子は彼女の言葉に混乱した様子だった。
「本当に、私を養子にするの?」
女の子はそう言って、目に涙を浮かべた。
「そうよ。嫌だった?」
「大好き。ありがとう。いつか家族ができるなんて、思ってもみなかった」
彼女はそう言って、ヴァレリーを抱きしめた。
ヴァレリーは全身に喜びを感じた。子供の顔に浮かぶ幸せそうな表情を見るのは、久しぶりだった。自分の子供を産めたらいいのにって思ったけど、それは無理だった。自分の母親とは違って、彼女は他の子供を自分の子のように養子にする運命なんだ。時々、自分の人生で、何が悪いことだったんだろうって考えたりする。
ヴァレリーは、ノラが自分の頬の涙を拭っているのを見た。彼女に微笑みかけ、本当に彼らにとって喜ばしい出来事なんだって思った。