第17章
アイツのこと、信用していいのかな? でも、私みたいなの相手にしてくれるわけないよね? またまた自分のことじっくり見て、昨日と同じワンピ着てることに気づいた。 つまり、アイツは私に何もしてないってことだ。
「出ていくのか、出てかないのか、どっちだよ?」 カール・パーカー、イライラしてる。
ゴクって飲み込んで、部屋から出て行こうと踵を返した時、体にビリビリっと痛みが走った。
前に落としたガラスの破片、踏んじゃったんだ。足から血が滲み出てくる。カール・パーカーが駆け寄ってきたけど、手を上げて止めた。そしたら、動きが止まった。ガラスを足から取ったら、あっという間に血の海。別に痛みなんて気にせず、ただドアに向かって歩き出した。
とにかく、ここから早く出たい。もし、カール・パーカーが気が変わって、私をここに閉じ込めたら? イヤだ。あいつ、二重人格なんだから。
ホント、一歩踏み出すたびに激痛が走って、まともに歩けない。なんとか道に出て、反対側に渡ろうと信号待ちをした。赤になったから、歩き始めたけど、視界がぼやけて、頭の上に黒い点々が見え始めた。
クラクラする。頭がグルグルしだした。信号が青に変わって、私は道路の真ん中に立ってる。もうダメだ。死ぬんだ。
車が見えるのが見えて、覚悟したとき、後ろからドン!って衝撃がきて、吹っ飛んだ。お尻から落ちて、視界がぼやける中で、誰かがそばに跪いてるのが見えた。
痛みなんて感じない。空中に浮いてるみたい。
誰かが優しく体を撫でてくれるけど、何も感じない。目を閉じて、両手を広げて闇を受け入れた。
(謎の視点)
あいつ、何やってたんだ? いつ倒れてもおかしくない感じだったけど、やっぱり倒れた。ためらわずに駆け寄ったけど、もう遅い。信号が青に変わった時、車があいつに向かって走ってくるのが見えた。
ぶつかる前に、あいつを突き飛ばしたんだ。ドスンってすごい音。あいつの体は動かなくなった。そして、ゆっくりと目が閉じられていく。
優しく体を撫でてみたけど、ダメだった。助けを求めようとしたけど、みんな自分のことしか見てない。これ以上無駄にしたくなくて、あいつを車に乗せて、近くの病院に急いだ。
誰だとか、患者とどんな関係だとか、色々聞かれて、書類まで書けって言われたけど、無視した。代わりに、治療費を払���るだけの金を投げつけて、口を塞いであげた。
「知らないんです。道で倒れてるのを見かけただけなんです。それで、入院させたんです。」って言って、病院を出た。
もし昨日、助けてあげてたら、こんなことにはならなかったのに。罪悪感はあるけど、俺には関係ないことだ。
*
シーラ視点
事故から二日経った。意識が戻った時、看護師さんが、誰かが私を入院させて、治療費も払ってくれたって教えてくれたけど、名前は教えてくれなかった。
昨日、退院した。大したことなかったんだ。小さな怪我だけで、頭に小さな切り傷があって、そこに包帯巻いてあるだけ。
意識不明だったのは、4時間くらい。足もすごく痛くて、怪我のせいで細菌感染も起こしたんだって。医者は、少なくとも一週間は安静にして、足に負担をかけないようにって言ってた。
言われた通りにして、今は部屋でベッドレスト。事故のこと、誰も知らない。クインから電話がかかってきて、なんで学校に来ないんだって聞かれた。
両親に会いに行くために、地元に帰ってたって嘘をついた。迷惑かけたくないし。
あの時、私を助けてくれたのは誰なんだろう? こんな人がまだいるなんて思わなかった。直接会って、お礼を言いたいけど、相手のこと何も知らないんだ。男の子だってことしか。
もし、あの人が助けてくれなかったら、私は今頃、土の下だっただろうな。
テーブルの近くで、携帯がブルブル震えて、思考から引き戻された。携帯を取って、発信者を見たら、タミーだった。「あいつも、私がいないのに気づいたんだ。」ちょっとだけ笑みがこぼれた。
電話に出て、タミーの心配そうな声を聞いた。
「なんで学校に来ねえんだよ?」
「何があったんだよ?」
「何かあったのか?」
「で、お前、一体どこいんだよ?」
息つく暇もなく、矢継ぎ早に質問してきた。
「タミー、大丈夫だよ。親に会いに行ってただけ。それだけだよ。タミー、旅行行ってたから、言わなかったんだ。ごめんね。言うべきだった。こんなに心配すると思ってなかった。」って、説明した。
「誰がお前のこと心配してんだよ? 理由もなく休むやつじゃないから、確認しただけだっつーの。」って、ぶっきらぼうに言う。イライラした声だったけど、不安を隠してるんだろうなって分かった。
「分かった、分かった。ごめんね。学校に戻ったら会うね。」って、なんとか納得してもらおうとしたら、深呼吸する音が聞こえて、小さく「分かった。」って呟いた。もう少し話してから、電話を切った。
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一週間、すごくゆっくりと過ぎた。つまんなくて死にそうだった。食べる、寝る、たまにタミーとクインから電話がくる、それがいつもの日課。今は、最終チェックが終わって、自分の部屋に向かってる途中。
医者は、一ヶ月間、スポンジのスリッパを使うようにって言ってた。頭の包帯を外した後、前に言われたように薬をちゃんと飲むようにって言われた。