第54章
「やだ」って、カール・パーカーはあっさり言って、肩をすくめた。 しばらく話してて、彼の過去のこととか聞きたかったんだけど、何も覚えてないって言ってたから、それ以上は聞くのやめた。
夜になって、ホテルに引っ張られて、サプライズを用意してあるんだって。一ヶ月も前からこの時を待ってたんだってさ。
何か派手な服を着てって言われたから、膝丈の赤いワンピースにした。体のラインにぴったりでしょ。髪の毛はフレンチブレードにして、毛先は巻いた。
グランドホールに入ったんだけど、シーンとしてて暗くて、電気が消えてるみたいだった。
「ハリー、ここどこ?」ハリーが手を離したから聞いてみたけど、返事はない。
「ハリー!」名前を呼んでみたけど、聞こえるのは自分の息遣いだけ。
「ハリー!何か企んでるなら、やめた方がいいよ。出てきて」パニックになって叫んだけど、なぜか声が小さかった。「心臓発作で死にそう!」
「お前の心臓は俺のものだ。俺が死ぬまで、何があっても守る」ハリーは暗闇の中でそう言って、電気が一つずつ点き始めた。
背後にハリーを感じて、首になにかをかけられた。肩甲骨をちょっと触られて、耳元で囁かれた。「正式に俺のものになるまで、持っておけ」
電気が全部ついて、みんなからの大きな拍手が聞こえた。ハリーが額にキスをしてくれたけど、そのキスは彼の愛情全部を伝えてきた。それで、やっと気づいた。俺たちはステージに立っていて、みんなが椅子に座って俺たちのことを見てるんだ。
冷たい金属が素肌の首に触れて、無意識に触ってみた。チェーンだった。細くてエレガントなやつ。ハート型のロケットの中には白い石がキラキラ光ってて、すぐに気に入った。
ロマンチックすぎる。うっとりした目でハリーを見た。
ハリーはテーブルからマイクを取って、咳払いした。「みんな、来てくれてありがとう! 俺の願いを叶えてくれて。今日は、俺のガールフレンドのためにサプライズを用意したんだ」って、俺を見てニッコリ笑った。
「俺のガールフレンド」だって。そんな言葉で、もうメロメロ。会場は大歓声と拍手に包まれた。
クインとケビンがステージに向かって歩いてくるのが見えた。そして、みんなが立ち上がった。みんながカウントダウンを始めた瞬間、俺は眉をひそめた。「テン…ナイン…ツー…ワン…ハッピーバースデー!!」大声援。
誕生日!?誰の誕生日?ケーキが運ばれてきて、テーブルに置かれた。「ハリー!どういうこと?」耳元で囁いた。
「シーラ、もう12時だ。つまり、俺のエンジェルが生まれた時間だ」って、まるで子供みたいに頬をつねってきた。
クソッ!誕生日のこと忘れちゃってた。ま、こんな風に祝ってもらうの、慣れてないし。
いつもは、朝起きたら兄貴が挨拶してくれて、特別なディナーをするのが定番だったんだ。それが、俺の誕生日。
でも、これは全然違う。ちょうど12時に、みんなが俺のために起きてくれる。この感じ、ちょっと好きかも。まるでエンジェルみたいだって言ってくれる。本当のエンジェルみたいに。
上から大きなライトが照らされて、いろんな色に点滅して、一瞬止まった。
それから、「4月2日、俺のエンジェルが地球にやってきた。お誕生日おめでとう、愛しのガール!」って書いてあった。ハリーを見てたら、完璧な歯を見せてニヤリとした。
「シーッ!せっかくの瞬間を台無しにしないで」って、ハリーは囁いて、親指の腹で俺の涙を拭ってくれた。自分が泣いてることに気づいてなかった。
「ただ、嬉しいだけだよ」って正直に言った。
「別に。お前にはどんな理由があっても泣いてほしくない」って言って、ハリーを含めてみんなで歌い始めた。
♪ハッピーバースデー・トゥー・ユー!
ハッピーバースデー・トゥー・ユー!
ハッピーバースデー・ディア シーラ!
ハッピーバースデー・トゥー・ユー!!……♪
ろうそくの火を吹き消して、ケーキカット。ステージで踊ったり歌ったりして、この瞬間を楽しんだ。本当に、ハリーのおかげで素晴らしい一日になった。
無理やりだったんだけど、俺のために大きな誕生日パーティーを開いてくれた。クインは写真立てをプレゼントしてくれて、ケビンはチョコレートをくれた。
その後、カール・パーカーから電話がかかってきて、お祝いしてくれた。タミーからも、大切な会議で電話できなかったからって、お祝いメッセージがきた。カール・パーカーがまだ俺に電話してきて、友達リストにも残ってるって知ったハリーは、全然嬉しそうじゃなかった。
シーラの父とシーラの母とカレムからも電話がきた。同僚からも、知らない番号からも、たくさんメッセージがきて、みんな誕生日を祝ってくれた。
夜には、ケビンの友達の一人に会った。インドの音楽トーナメントに来てるらしくて、俺たちも一緒に行かないかって誘われたから、行ったんだ。コンテストの最後に、カップルのためのゲームがあって、ハリーが無理やり俺を参加させた。
結局、一緒に最高のダンスを踊ることになった。ハリーは俺の腰に腕を回して、俺は彼の胸に手を置いた。彼はプロみたいにリードしてくれて、ダンスは完璧だった。最後に、みんなが大声で歓声をあげた。
次の日は、一日中ベッドでゴロゴロしてた。俺とクインは同じ部屋で、ハリーとケビンは別の部屋だった。
ハリーは、一緒に部屋を使おうなんて、バカなことを言い出したんだけど、クインに睨まれて、黙ってケビンと一緒に行った。その時は笑っちゃった。
次の二日間は最高だった。ドゥドサガル滝に行って、テントを張って一晩過ごしたんだ。まるで、狩人のように森の中で暮らしてるみたいだった。