CHAPTER 22
ミゲルの視点
玄関のノックを聞いたとき、ピアノの電源を切ったんだ。フルールとエルバかなって思ったんだけど、いつもノックするわけじゃないし。
ドアまで行って開けてみたら、デイジーがスーツケース持って立ってて、マジびっくりしちゃった。
記憶がブワァーってよみがえってきた。
デイジーは俺の彼女だったんだ。両親が死んでから出会って、最初は友達だったんだけど、だんだん惹かれていったんだよ。付き合ってて、フルールはあんまり賛成してなかったけど、すげー好きだった。
うちに来て、ご飯食べて、寝て、映画見て…
雨の日には、リビングにみんなで集まってて、運よく電気が復旧して、韓ドラ見てたんだ。そしたら急にムシムシしてきて、俺の病気が…
デイジーに見られたくなくて、部屋に急いで戻ろうとしたんだけど、間に合わなかった。もう、そこで止まっちゃって…
フルールはテレビに夢中だったけど、デイジーも見てた。
フルールは振り返って俺を見て、自分の部屋に走って行って、いつもの注射を取りに行ったんだ。
デイジーも振り返って叫んでて、顔には恐怖と軽蔑がにじみ出てた。
フルールが戻ってきて治療してくれて、俺はいつものように意識を失った。
1時間後に目が覚めたら、デイジーが荷造りしてた。
俺は泣いて、行かないでって頼んだけど、デイジーはもう俺とは付き合えないって言ったんだ。俺の病気が今まで見た中で最悪だって。
俺は伝染らないって言ったんだけど、聞く耳持たずで、自分の完璧な人生を俺に無駄にした、完璧な欠点のない男といるべきだったって言うんだ。
さらに悪いことに、両親が残してくれたお金の半分を要求してきた。俺は、自分の気色悪い病気を世界にバラすって脅されて、渡したんだ。
デイジーがいなくなって、何日もご飯が食べられなくて、泣いて、心臓が張り裂けそうだった。フルールのおかげで、いつもの俺に戻れて、デイジーのこと忘れられたんだ。
でも、今はデイジーが玄関にスーツケース持って立ってる。マジ勘弁してくれよ。
「やあ、ミゲ、久しぶり」デイジーは笑顔で言った。マジで、何でそんな顔できるんだよ。
「何か用?」俺は怒りで震えながら聞いた。
「んー…泊まりに来た」デイジーは、いつもみたいに鼻高々に言った。
「泊まる?絶対無理!」俺はデイジーの顔面目掛けてドアをバタン!って閉めそうになった。
「待って、ミゲ」デイジーは俺を見て止まって言った。「何?」俺は聞いた。
「もし1週間だけ泊まらせてくれたら、君の…うーん…病気の治療法をあげるわ」デイジーは言った。
「は?」俺はちゃんと聞こえたか分からなかった。
「そう、君の病気について色々調べて、治療法を見つけたの。でも、それを渡すには1週間ここにいないといけないの」デイジーは言った。
「マジで?」俺は驚いて聞いた。
「もちろん」デイジーは笑顔で言った。
やったー!治療法さえあれば、街に行ってモデルとか歌手の夢を追える。人から隠れるのも、もう終わり。自由に人々と交われるようになるんだ。天気の変化にビビることもなくなる。一番大事なのは、自分の夢を叶えられること。すごく意味があるんだ…治療法のためなら何でもする…何でも。
泊まらせなきゃ。俺もこの病気から解放されたいから。
自分の未来を邪魔する病気に閉じ込められたい人なんていないだろ。
「なんでここに泊まりたいんだ?治療法だけくれればいいだろ」俺は言った。
「何か見返りなしに治療法を渡すことはできないわ」デイジーは言った…
「クソ女」俺は小声でつぶやいた。
「見せてくれる?」俺は聞いた。
「何?」デイジーは聞いた。
「治療法」俺は言った。
「まだダメよ。渡す準備ができたらね」デイジーは言った。
「なんで?」俺は聞いた。
「君と君のクレイジーなシスが盗んで、追い出すかもしれないから安全じゃないの」デイジーは言った。
「ふーん」俺は鼻で笑った。
クソッ。
フルールに何て言えばいいんだ…フルールはデイジーのこと嫌いなんだよ。
まあ…フルールも俺の病気が治ってほしいはずだ。
「入れ」俺は脇にそれて言った…デイジーは俺の胸に肩をこすりつけて入ってきた。香りは前と同じ…あの頃は好きだったんだけどな。
ドアを閉めて、デイジーの後ろをついて行った。
「何も変わってないね。ミゲ、ちょっとは手入れしなよ」デイジーはソファーにドスンと座って言った。「色々変えなきゃね」
「俺たちはこれが好きなんだ」俺は言って、デイジーはニヤリとした。
「まあね、いつも退屈だけど。冷たい水一杯くれる?」デイジーは額に手を当てて言った。昔は好きだったクセ。
「分かった」俺は言って、キッチンに行って、水を入れて、デイジーに持っていった…
「ありがと」デイジーは水をゴクゴク飲んで、いつもみたいに大きな音を立ててグラスをテーブルに置いた。
「何か食べる?」俺は眉をひそめて聞いた。
「今はいいわ」デイジーはバカみたいな笑顔で言った。
「部屋に案内するよ」俺は言った。
「いや、あなたの部屋に一緒にいる」デイジーは言って、俺は目を見開いた。
「マジで、なんで俺の部屋に!?」俺は叫んだ。
「じゃあ、治療法はナシね」デイジーは言って、立ち上がろうとした。
「待って」俺は言って、デイジーは止まって、俺の方を向いた。
「家に他の部屋もたくさんあるだろ」俺は言った。
「あなたの部屋じゃないと、治療法はあげない」デイジーはウインクした。
ビッチ!!!
「分かった」俺は言って、デイジーはニヤリとした。
「まだ覚えてる?」俺は言って、デイジーは頷いた。
「もちろん。でも、案内して欲しいわ」デイジーは言って、俺は肩をすくめて案内することにした。
マジで、なんで俺の部屋に泊まりたいんだよ!
クソッタレ!
部屋に着いて、デイジーはベッドに飛び乗った…
「うわぁ…前と同じ」デイジーはクスクス笑った。
俺は舌打ちした。
「俺はキッチンにいるから」俺は言って、出て行った。
*
しばらくして、デイジーは荷解きして身支度を済ませて、リビングに戻ってきた。俺はまだキッチンにいたんだけど、透けてるカーテン越しに見えるんだ。
デイジーは座って、iPodをいじり始めた。
数分後、ドアが開く音がして、フルールとエルバが帰ってきたんだと思った。
エルバの視点
「デイジー!」フルールが怒って叫んで、俺はビクッとした。
フルールがこんなに怒るなんて、珍しい。
誰だ?
「出てけ!」フルールは叫んだ。
「黙ってて、うるさいな」あの女が高音で言って、俺はビックリして目が飛び出そうだった。
何様だよ!家の持ち主に黙れなんて!
「ミゲのために来たんだから、あんたはいいわよね?」あの女は言った。フルールは怒りで顔を真っ赤にしてるのが見える。
でも…待って…ミゲのために来た?
何のために?
どんな関係なんだよ、こんな風にやってくるなんて?
神様…お願いだから、俺の思ってることじゃないといいんだけど。
ちょうどその時、ミゲがリビングに入ってきた。
いつものように嬉しそうじゃない。
「ミゲ、デイジーが何でここにいるんだ?
なんで入れてやったんだ?」フルールは叫んだ。
「フルール」ミゲは落ち着いた声で言った…「こっちに来て」
フルールはあの女を睨みつけて、ミゲの後を追って行った。
「やあ」あの女は俺に話しかけてきて、俺は思わずビクッとした。
「フルールの友達みたいね。もう行ってもいいわよ、送り届けたんだから」あの女は言って、俺は首を振った。
「何で首振ってんだよ?早く出てけ!!」あの女は叫んで、俺は怖くなって後ろに下がった。
「あ…あー…あ…ここにいる」俺はどもった。
「マジで言ってる?」あの女は不愉快そうな顔をして、俺は首を縦に振った。
「ミゲ!」あの女は、俺がビクッとするほどの大声で叫んだ。
ミゲがフルールを連れて、リビングに走ってきた。
「何があったんだ?」ミゲは聞いた。
「この女がここにいるってどういうこと?
なんで入れてやったんだ?」デイジーは怒って言った。
俺が一緒にいるのがそんなに気にくわないのか。まるでビッチみたいに叫びやがって。
「あんたこそ、出て行くべきよ。出て行って」フルールはデイジーに言った。
「フルール、黙っててよ。ミゲ、答えて。一緒にいるのか?」デイジーは聞いた。
「ああ、一緒にいるよ」ミゲは言った。
「何だって!…他にガールフレンドがいるのに、別の女と一緒にいるってこと!?」あの女は叫んだ。
何!?
デイジーはミゲのガールフレンドなんだ。
「ガールフレンドだって?」フルールは聞いた。
「元ってつけた方がいいわね。一番必要な時に出て行ったんだから」フルールは言って、俺はちょっとホッとした。「元」で良かった。
「今すぐ出て行ってもらわないと」デイジーは俺を指さして言った。
「出て行かないわよ」フルールは言った。
「出て行かないって…?」デイジーは聞いた。
「分かった、ミゲ…あいつか治療法か、どっちか選んで」デイジーは言った。
何。
スタプシー❣️
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続く