チャプター29
あたしは男を2人、連れて歩いてた。 デントンもそのうちの1人。 外に出る間、ずーっとM.S.Pは終わりじゃないとか、もっとすごいボスがいて、そいつが仕事を引き継ぐんだとか、まるで映画でも見てるみたいなことばっかり言ってんの。 連合に連れてくトラックが見えても、全然黙らないし。 外にいた何人かも逮捕されちゃってるし、マジで大計画じゃん!
「お前らは終わったと思ってるんだろうけどな」ってデントンが言うから、あたしは足首、腰、手首に手錠をかけた。 トビーにしたみたいにね。「どうやって見つけられたかは知らないけど、そいつは見つけられないぞ…」って言い始めたから、モーガンが口に袋を被せて、バンの後ろに放り込んだ。
「やっと、あいつ、自分の声が好きすぎるんだよ」ってあたしが言って、残りのやつらにも手錠をかけた。 1人ずつ、デントンと一緒にバンの後ろに放り込まれた。
「大丈夫?」ってモーガンが聞いてくるから、あたしはトラックの後ろの頑丈なロックをかけた。 こいつら、マジでこのトラックから出られなさそう。
「私なら大丈夫だよ。あたしもM.S.Pについてめっちゃ情報見つけたし、デントンが言ってるボスがいるなら、見つけ出すわ」ってあたしはモーガンの前で立ち止まってニヤリ。 他のエージェントたちは、他のやつらを別のトラックに放り込み始めてた。
「ブランドンがM.S.Pの書類を受け取ったよ。よくやったな、テイラー」ってモーガンがにこやかにあたしに話しかけてくるから、何か思い出した。 見つけたリストをブランドンに送ってなかったんだ。
「リチャードのヒットリストも見つけたよ。 殺されたやつと、狙われてるやつが書いてある」ってあたしはスマホを取り出してモーガンに渡した。 モーガンは目を見開いて、ブランドンに送らなきゃダメだって言う。
送る前に、屋敷の上の方から煙がモクモク出てきた。 あたしとモーガンは建物を見て、それからお互いを見合った。 中にまだいるやつを助けなきゃ!
「あたしが行く」ってあたしは、モーガンに何をしろって言われる前に言った。 多分、それがモーガンが言おうとしてたことなんだろうし。
全力疾走で建物の中に突っ込んで、みんなに「出ろ!」って叫んだ。 誰も全然聞かないから、「火事だ!」って叫んだら、やっとみんな出口に向かって走り始めた。 幸い、ほとんどの人は、外で何が起こってるか見ようと、もう出てたみたい。 煙だらけのボールルームを走って、他に誰か残ってないか見るのが難しくなってきた。 女性を出口まで手伝って、周りを見渡した。 バルコニーはもう分厚い黒い煙に覆われてて、あらゆるドアや隅からモクモク出てきてる。
「テイラー、そこから出ろ! 建物が崩壊して入れなくなるぞ!」ってトビーの声が聞こえた。 周りで聞こえるバリバリって音は、それなんだ。
「最後の確認をしてるだけ。誰も置いていけないから」って返事して、最後の確認をしてたら、バルコニーに人の影が見えたんだ。
「早く出なきゃ! この建物はもうもたないよ!」って人に叫んだ。 誰も動かないから「おい! この建物に潰されたくなかったら、出てけ!」って大声で叫んだら、バリバリって音がさらに大きくなった。
屋根を見上げたら、ヒビが入り始めてて、マジでやばいって思った。 全速力で横に走って、避難できる場所を探したら、食べ物がたくさん置いてあるテーブルしかなかった。 テーブルの下に滑り込んで、頭を抱えた。 ほんの数秒で、バリバリって音と、ドーン!って音がボールルームに響いて、耳がキーンってなった。 埃と灰に包まれて、真っ暗になった。
耳がキーンってなって目が覚めて、ゆっくり起き上がって、周りを見渡した。 多分、自分の顔から60センチくらい先しか見えない。 膝をついて、テーブルにつかまって立ち上がった。
「テイラー」ってかすれた声が聞こえた。 最初は耳鳴りのせいで誰の声か分からなかった。
煙の中から、ジャスミンが走ってきた。 紫のドレスは黒くなって、少し焦げてる。 あたしの腕をつかんで、ちゃんと立つのを手伝ってくれた。 なんでここにいるの?
「あたしがあなたを助け出す。それが家族ってものよ」ってジャスミンは言って、屋根から落ちてきた梁を乗り越えるのを手伝ってくれた。「お父さんは希望を捨てなかった。 M.S.Pを作ったのは、他の家族が同じ経験をしなくて済むようにするためよ」ってあたしに教えてくれた。
あたしは彼女が何を言ってるのか分からなくて、混乱した。 あたしたちは家族じゃないし、今日会うまで、この子のことなんて知らなかった。 あたしの家族について、何を知ってるって言うんだか、全然知らないくせに。
ここは、ロビーだった場所で、建物全体で唯一まだ崩壊してない場所だった。 外から叫び声が聞こえてきて、ドアが壊れてた。 その中で、トビーの声がすごくよく聞こえた。 自分の名前を何度も叫んでて、声に苦しみが表れてた。
「あなたはここで、自分で安全なとこまで歩いて行って」ってジャスミンがニヤリ。 あたしがちゃんと立てるか確認して、離れて、またあの騒ぎの中に歩いて行こうとしてる。
「あ、あなたは?」ってあたしは、少しだけ彼女の方を見て尋ねた。 彼女はニヤリと笑って、あたしに首を振った。
「いつものこと。 大丈夫だから、外に行って」ってジャスミンはニヤリとして、まだあたしから離れて歩いて行った。 最後に手を振って、角の向こうに消えた。
あたしはドアの方に向き直って歩き始めた。 足はふらふらだったけど、トビーが名前を呼ぶたびに声に痛みを感じて、歩き続けた。 ドアにたどり着いて、それを支えにしてた。 ドアを思いっきり押したら、ゆっくりと開いて、冷たい空気が肌に突き刺さった。 どうにかドアを通り抜けると、たくさんの人に止められていたトビーがいた。 涙が頬を伝っていて、必死に抵抗してた。 目があった瞬間、トビーの顔は安堵の色に変わって、エージェントを突き飛ばして、あたしに駆け寄ってきた。
「テイラー」ってトビーが言って、あたしはまだボーッとしてたから、ちょっと彼に寄りかかった。
「中、人、いたの」ってあたしが言うと、モーガンも走ってきた。 彼も頬に涙の後があって、あたしの腕を支えてくれた。
「トビー、行って、メディックにバンのとこに来るように言って」ってモーガンはトビーに指示して、トビーは走って行った。「もう、こんなことしないでくれよ、テイラー」ってモーガンは言って、あたしの腕を肩に回して、ゆっくりと歩くのを手伝ってくれた。
「モーガン、M.S.Pの黒幕が誰か知ってる」ってあたしが言うと、彼はそんなこと考えないでくれって言うけど、考えるのがあたしの仕事なんだもん。「モーガン、聞いて。 ジャスミンっていう女の子がジェイソンと一緒に来て、あたしを助けてくれて、お父さんがM.S.Pを作ったんだって言ってたの」ってあたしが言うと、モーガンは目を見開いた。「それについて調べなきゃ」ってあたしは言ったけど、彼は首を振った。 なんで調べたくないの?
「まずは君を助けることに集中しなきゃ。仕事は後回しでいい」ってモーガンが言って、トビーが走ってきて、メディックも一緒だった。
「大丈夫だって」って、あたしは誰にも構われたくなくて言った。 リチャードと、どうやらあたしの父親も止めなきゃならない。
「ダメだ、診てもらうんだ。命令だ」ってモーガンが言うから、もう逆らえなかった。 トビーがまたあたしの隣に来て、手をつないでくれた。
あたしはただ顔を向けて、目の前の壊れた建物を見た。 前はあんなに綺麗だったのに…