第9章
アグスティンの視点…
オニカを探す捜索を強化して、探偵をもう何人か雇ったんだ。彼女が今どこにいるか、早く知らなくちゃ気が狂っちゃう。だって、彼女なしの毎秒が死そのものみたいなんだもん。それに、彼女が無事かどうかも確認しとかないと。
オニカ、どこに隠れてるんだ? 君なしじゃ、俺は水から出た魚みたいだよ。
考えが中断された。ノックの音だ。気を取り直して、誰か入るように言った。
来たのは俺の私立探偵だった。オニカを見つけたら顔を見せろって釘を刺してあったんだ。ってことは… まさか! マジかよ…! オニカを見つけたってこと…?
その考えが頭をよぎって、心臓が飛び出そうになった。
「どうした、早く言えよ」って、焦って言った。
「見つけました」って、彼はまるで宝くじに当たったみたいに、だらしない笑顔で答えた。 ま、実際そうなんだろうけど。
「ど、どこにいるんだ? どうしてる? 大丈夫なのか?」 アグスティン、俺、なんでこんなにどもってんだよ。
「どこにいるかだけ、さっさと教えてくれよ」って、我慢できなくなって言った。
「セオドア・ブレイクの秘書として働いてます、ブレイク・コーポレーションで」
セオドア・ブレイク?
彼女の名前が他の男と一緒なのが聞こえて、頭に血が上った。あいつらは、お互い好きなのか? 結局、彼女を好きにならないやつなんていないだろ? 彼女は綺麗で、優しくて、思いやりがあって、頭もいい。
もし彼女がもう俺のことなんか忘れてたらどうしよう? 俺がオニカに対してひどいことしてきたんだから、ありえる話だ。いや、そんなことにはさせられない。 彼女にはさせられない。もしあいつが俺のものを触ったら、あいつのキンタマ切り刻んで、オフィス全員の前で食わせてやる。 この男のことは聞いたことがある。俺のビジネス仲間の一人、エドワード・ブレイクの息子だって。
「本当か? もしお前の情報が嘘だったら… お前は… 終わりだぞ」
「本当です、旦那様。そうでなければ、こんなところには来ませんよ」 彼は自信ありげにそう言って、雑誌を渡して「これを見てください」って。
信じられない。 オニカが俺のことを見てる。 彼女の顔には笑顔があって、黒いガウンを着て、前と変わらず綺麗だ。久しぶりに彼女を見て、色んな記憶が蘇ってきた。夜も眠れなくなるような、消し去りたいような、彼女を苦しめた記憶が。
彼女の笑顔はどこか悲しげで、困惑した表情をしていた。自分の周りで何が起こっているのか、理解できてないみたいな。俺と一緒にいたときみたいな輝きは、もう彼女の目にはなかった。
彼女を取り戻すためなら何でもする。あの輝きを取り戻すために。何でもってのは、本当に何でもって意味で、どんな代償を払っても構わない。
それから、彼女の腰に巻き付いている手に目が止まった。 ちょっと待て、誰だこいつは? 俺の嫁の腰に汚い手を回してるのは。殺してやる。俺の私立探偵は、俺から発せられる怒りに気づいて、怖がって混乱した様子で一歩下がった。
「な、何があったんですか、旦那様。彼女ですよね?」 彼はびくびくしながら、不安そうに尋ねた。
鼻をつまんで、答えた。「ああ、そうだ… でも、隣の男は誰だ?」
「ああ、あれですか。セオドア・ブレイクですよ、さっき言ってた人です。ブレイク・コーポレーションのCEOで、オニカさんは彼の秘書として働いてます」
彼が「オニカさん」って言った瞬間、心臓にドーンと衝撃が走った。 そうか、彼女は名前の前にそんな敬称を使ってんのか? まだ俺と結婚してること、忘れちゃったのか? なんか心が壊れるような気がした。ちょっとも気に入らない。 拳を握りしめた。しっかりと思い出させてやる必要があるな。
「お前は間違ったことをした。警告しておくが、二度と、二度とだぞ。彼女を、オニカ・デルーカ夫人以外で呼ぶな」 彼は自分の間違いに気づき、理解したように激しく頷いた。
他の男の腕が俺の嫁に回ってるのを見て、殺意が湧いた。 彼の兄の結婚式のニュースは、国内で最も豪華なセレモニーの一つだったって聞いた。 俺も招待状はもらってたけど、忙しくて断ったんだ。でも、まさかオニカがあそこにいるなんて、考えもしなかった。 もし知ってたら…
彼女が自分の力でこんなに上手くやってるのを見ると、たとえ人生で色んなことを経験したとしても、誇らしい気持ちになる。 でも、セオドア・ブレイクと一緒なのは、また別の話だ。
これは許せない。 彼らの会社は簡単に買収できるし、俺のオニカ、俺の心を触ろうとしたそのクズを、自分の会社から追い出すことだってできる。 まさに、そうするつもりだ。 ブレイク、覚悟しておけ。 自分の破滅にサインしたようなもんだぞ。
あいつの存在全部を灰にしてやりたい気分だ。
テーブルにあったペーパーウェイトを窓に投げつけたら、粉々に砕け散った。 大きな悲鳴が聞こえて、見上げると、俺の私立探偵は気絶しそうな顔をしてた。 現実に引き戻された。
今は落ち着かないと。 彼女に会って、触れて、そばにいないと。 でも、今は次に何をするか集中しなくちゃ。もし彼女に俺が見つけたとバレたら、またすぐに消えちゃうだろうから。 でも、今回はそんなことにはさせない。必ずそうする。 ついに見つけられたなんて信じられない。 もう二度と離さないからな、約束するよ、愛してるよって誓った。
そう言って、小切手帳を取り出して、大金を私立探偵に投げつけた。
それを見て、彼の目が大きく見開かれた。 もし今まで気絶してなかったら、今度こそ気絶するだろう。
「よくやった。もう行っていいぞ」 俺に頷き、彼はありがとうって言って、大きな笑顔と安堵の表情で去っていった。
すぐにジェイコブに電話した。「ジェイコブ、ブレイク・コーポレーションを買収したい。 どんなに高くても、彼らが準備できてなくても構わない。 どんな手を使ってでも、明日までに終わらせろ。 もし合意しなかったら、脅せ。 必要なことは何でもしろ。 情報は内密にしておいてくれ。 従業員には、誰が新しいオーナーか、まだ知らせたくないんだ」
「アグスティン、何をするつもり…」 俺は彼を遮って言った。「心配するな、後で全部説明する」
それから秘書に電話した。「プライベートジェットを1時間以内に準備しておいて」
胸に手を当てた。 ドキドキが止まらない。 彼女に会えるんだ。 もうすぐ。
オニカ。
どんな代償を払っても、君の許しを得ると約束する。 もう二度と失いたくない。 絶対に。 終わり。
俺の唇に笑みが浮かんだ。
愛しい人、迎えに行くよ。そして約束する。今度は逃げ場はないよ。どこに行っても、すべての道は俺につながる。そうでなければ、俺はすべての道を俺に向かって切り開くだろう。 君が俺の腕の中にしか逃げ場がないようになるまで。