第13章
なんで私なの?
キャンベラ、オーストラリア。
エルビスヒル高校。
午前10時。
フィデリアは図書館で友達のコラとルナと座って、文芸研究をしてた。教科書には目をやっていたけど、全然集中できてなかった。なんか変な感じがするんだけど、何が原因か分からなかったんだよね。考え事ばっかりしてて、ルナが呼んでるのも聞こえてなかった。
「フィデリア…?フィデリア…?」ってルナはもう一回呼んで、机を軽く叩いたけど、フィデリアは全然聞いてなかった。コラはフィデリアを見てからルナを見て、不思議そうな顔で見つめ合った。「どうしたんだ?」ってコラが小声で聞くと、ルナは肩をすくめた。「知らない」ってルナはぶっきらぼうに言って、フィデリアの方を見た。
コラはルナを小突いて、フィデリアの方に頭を傾けた。「なんで自分が聞いてあげないの?」ってコラが提案した。ずっと、フィデリアは周りのことなんて全然分かっていなかった。「なんで今日こんなに気分が落ち込んでるんだろう?もしかしてフィデルのこと?」って心の中でつぶやきながら、自分の時計を見た。「10時、つまりオランダは12時。フィデリアはもうお昼ご飯の時間だ。よし、電話してみよう」って、バッグからスマホを取り出そうとした時、ルナが目の前で指をパタパタさせた。フィデリアは軽く顔を上げて、初めて二人の困惑した顔に気がついたんだ。
「大丈夫?」ってルナが聞いた。
「うん、大丈夫」ってフィデリアは急いでスマホを手に取った。「ちょっとごめんね」って言って、友達が何か言う前に、椅子を後ろに押して、席から飛び出して、出口に向かって駆け出した。
「えー?」ってコラは何か言おうとしたけど、どこにいるか分かって、唇をすぼめて止まった。慌てて手を下ろし、困惑したルナをちらっと見た。「どうしちゃったんだ?」ってコラは小声で言った。
ルナはコラをじっと見て、「妹さんのこと?」って疑わしげに言った。「よく考えて、妹さんのことになると敏感になるでしょ」
「確かに」ってルナが言って、二人はフィデリアのすでに遠ざかった背中を心配そうに見つめて、深くため息をついた。
フィデリアは図書館の廊下を歩きながら、フィデルの番号をスマホで探した。二人は連絡を取り合っていたから、すぐに見つかった。ちょっとスワイプしたら、そこにあった。柱に背中を預けて、電話がつながるのを待って番号をダイヤルしたんだ。
10分くらい鳴ったけど、誰も出なかった。フィデリアは不安そうに顔をしかめた。「妹さんの喘息のことじゃないといいけど」ってつぶやき、もう一度電話をかけたけど、やっぱり出ない。「まじかよー」ってフィデリアは髪をくしゃくしゃにした。「本当にイライラする」って、もう一度電話をかけようとした時、突然ひらめいた。「エマおばさんの番号で試してみようかな?うん、そうしよう」って、連絡先リストからおばさんの番号を探した。
見つけたらすぐに迷わずダイヤルした。「出て、おばさん」ってフィデリアは待ちきれないように言ったけど、エマおばさんからも返事はなかった。その時、授業のベルが鳴った。「マジかよ」ってフィデリアはため息をつき、かなり不機嫌な様子で図書館に戻った。
フィデリアが図書館に戻ると、さっきまで騒がしかった静かな図書館は、生徒たちが授業に行くために本をしまっているところだった。
ルナとコラもカバンに本を詰めるのに忙しくて、フィデリアが近づいてくるのにも気づかなかった。「行こう」ってフィデリアは席からカバンを掴んで、出口に向かった。
「ちょっと、待ってよ!」ってルナが慌ててカバンとまだしまってない本を持って、フィデリアの後を追いかけた。二人の動きが早すぎて、コラのカバンから本が落ちた。「くそっ」ってコラはつぶやき、急いで本を拾って、二人の後を追った。
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ウェスリー高校
ティナはフィデリアが言う通りにすると承知したので、やっとクレアの髪を離した。クレアは軽く頭を振って、フィデリアにやらないでってジェスチャーしたけど、もうフィデリアは決心していて、何があってもやめさせられないんだ。周りの視線を感じて、少し戸惑いながら、ゆっくりと膝をついた。
イサは友達と食堂に入って、集まっている人たちに会った。何が起こっているのか分からず、疑わしげに周りを見回した。「何が起こってるの?」って聞いたけど、みんな何が起こってるのかビデオを撮るのに夢中だった。イサは首を伸ばして自分で見ようとしたけど、全く役に立たなかった。「これ、ニアに持ってて」ってヘッドセットを友達に渡して、人混みをかき分けて行った。
前に出て、目に飛び込んできた光景に、イサの目は思わず見開かれた。フィデリアはティナの靴に顔を近づけ、涙目でこぼれたものを舐めようとしていた。ティナは鼻で笑い、フィデリアの顔に足を押し付けて、顔に塗りつけた。「自分の立場をわきまえろ、このクソったれ」って言って、ベラ、ロキシーも大笑いした。「行こう、みんな」ってティナが先頭を歩き、友達は急いで後に続いた。
その瞬間、フィデリアの目に閉じ込められていた涙が頬を伝って流れ落ちた。弱さも、悲しみも感じたことはあったけど、こんなに恥ずかしい思いをしたのは初めてだった。
フィデリアはもう抑えきれなくなって泣き出し、立ち上がってトイレに駆け込んだ。
「デリア…!」クレアとイサが呼んで、後を追った。ホール全体が騒がしくなり、みんなが何が起こったのか話していた。
フィデリアがトイレに着くと、中に入ってドアを閉めて鍵をかけた。洗面台に行き、鏡を通して自分の姿を見つめ、涙が止まらない。
「デリア!」ってクレアの声がドアから聞こえた。
「開けて、デリア」ってイサがドアを叩く声が聞こえたけど、フィデリアは誰にも入らせるつもりはなかった。急いで水道の蛇口を開けて、涙を流しながら顔についた汚れを洗った。もう一度鏡で自分の姿を見て、自分が嫌いになった。
「なんでこんなことになっちゃうの!」って泣き叫び、Tペーパーを鏡に叩きつけ、後ろに下がって、小便器のドアに背中を預けた。
「なんで私ってこんななんだろう?」ってフィデリアはつぶやき、床に座り込んで、心から泣いた。その痛みは耐え難くて、もう我慢できなかったんだ。
「開けて、デリア!」イサとクレアはずっとドアを叩いていた。何とかして開けさせようとしたけど、彼女たちの努力は報われなかった。
「ほっといてよ」って涙ながらに叫んだ。「お願い…」って泣いて泣いて、息苦しくなり始めた。もううまく呼吸ができなくなって、自分の人生が目の前から消えていくような気がした。耐えられなかった。息を切らし始めた。ポケットに吸入器を探したけど、持ってなかった。
イサとクレアがまだドアを叩いていると、突然フィデリアの呼吸が荒くなったのが聞こえた。恐怖とパニックが二人の顔を駆け抜けた。「吸入器」ってイサはクレアを見た。「吸入器、持ってる?」
「ううん」ってクレアは急いで答えた。「持ってないと思う。カバンを置いてった」
「行って、今すぐ取ってきて。私はドアを開ける方法を探すから。急いで!」クレアは一秒も無駄にせずに走り出した。トイレから廊下に出たところで、ローワンと彼のカバンとフィデリアのカバンを持ったローワンに会った。「ねえ、デリアはどこ?」ってローワンはフィデリアを探して周りを見渡した。「生徒から何があったのか聞いたよ。どこにいるの?」
息を切らしたクレアは、唾液を飲み込んだ。「あなたがいてくれて良かったわ。急いで、来て」って質問には答えず、ローワンを引っ張った。