チャプター33
「俺は呪われてるんだ」セオドアは俺たちの寝室でそう言った。
「何で呪われてるの?」
「俺のメイトに刻印したら、その子は死ぬんだ」
「え!」俺はショックでそう言った。
「魔女が俺のメイトに、刻印したら死ぬって呪いをかけたんだ」
「なんで?」
「俺の母親が、その子のメイトを殺したから」
きっと、セオドアのお父さんを殺したヴァンパイアと番だった魔女のことだ。
「どうやって呪われてるってわかったの?」
「お前は俺の初めてのメイトじゃないんだ」
「え、違うんだ」俺は驚いたけど、そうなるのは仕方ない。だって、あの女たちは俺が彼の2番目のメイトだって話してたから。
「ああ、違うんだ。俺が刻印したら、最初のメイトは死んだんだ」
「なんで呪いだってわかったの?」
「死ぬ前に、その魔女が自分の体を使って俺に伝えたんだ。お腹にメッセージを刻んで」
「うわ、マジでヤバかったね。その時、セオドア、いくつだったの?」セオドアが若い頃だったんだろうな。だって、彼に前にメイトがいたなんて知ってる人、多くないもんね。
「18歳。王位に就いたばっかりだった」
「うわー、若い時だったね。どんなに大変だったか想像もつかないわ」俺はそう言って、若いセオドアがメイトが首に牙を立てた直後に死んだのを見て、どれだけ恐ろしかったか想像した。お腹に刻まれたメッセージも怖かっただろうな。
「お前には想像できないだろうな」
「その呪いを解くために、魔女を探したの?」
「もう死んだ」
「他の魔女がその呪いを解ける?」
「いや、その魔女か、その血筋の人しか無理なんだ」
「へえ」
「ああ。だから、俺と一緒じゃ嫌だって言うなら、それは理解できる」
「なんで私が、あなたが呪われてるからって理由で嫌だと思うの?」
「だって、俺はお前に子供を産ませることも、お前に刻印することもできないんだぞ」
「そんなことがなくても、私はあなたと一緒にいたい」
「なんで?」彼は驚いてそう聞いた。
「だって、そうなれない理由は、あなたが私を嫌いだからじゃなくて、呪いを解く方法が見つかってないからでしょ」
「もし俺が呪いを解けなかったら?」
「それでも私はあなたを離れないわ」
「マジで?俺と一緒にいてくれるのか?」
「うん、そうする」
「俺のこと、そんなに大切なのか?」彼は驚いたように聞いた。
「うん、そうだよ」俺はセオドアへの気持ちがどんどん強くなってることに気づいて、笑顔で答えた。
「ありがとう」セオドアはそう言って、俺を抱きしめてくれた。
「別に、ありがとうって言わなくてもいいよ」俺は彼の胸に顔をうずめた。
「言うよ。だって、子供を産ませられないとか、刻印できないとかで、一緒にいてくれない人、たくさんいるんだもん」
「あなたのいない生活なんて、考えられない」
「俺もだよ」セオドアはそう言って、俺にキスした。
キスが終わって、俺はセオドアに、自分がハイブリッドだってことを話そうかと思ったけど、やめた。彼はヴァンパイアが父親を殺して、母親がメイトの仇を討ったせいで呪われてるんだ。セオドアは、エカテリーナとは友達なのに、ヴァンパイアのこと、めっちゃ嫌ってるだろうし。それに、セオドアに言う必要もないのかもしれない。俺のウェアウルフの血の方が、ヴァンパイアの血より強い。ヴァンパイアのふりしなくても、セオドアと幸せに暮らせるんだから。
数週間後、セオドアとの仲は相変わらず良好だった。今は、セオドアと番になれないことで悩むことはなくなった。だって、理由がわかったから。俺は彼のオフィスで、彼が仕事を終えるのを待ってた。今日は料理する気分じゃなかったんだ。
「セオドア、もうどれくらい?」俺は彼のオフィスのソファで退屈してそう尋ねた。
「あと少しだ」彼はそう言って、ラップトップのキーボードを叩いてる。
「さっきもそう言ってたよ」俺は彼のデスクに近づいて言った。
「わかってる。すぐ終わらせるから」
「わかった」俺は彼のデスクの前の椅子に座った。
俺はスマホを取り出して、何か読む本を探した。人間が俺たちのことを書いた話は、笑っちゃうんだよね。たまに当たってるけど、たまに間違ってる。でも、読むのは楽しいんだ。
数分後、スマホをいじるのに飽きて、セオドアがまだ終わらない理由を探ることにした。
「セオドア」俺は彼の注意を引こうとしたけど、彼は「ん」って言っただけだった。でも、心の中で質問した。「セオドア、人間になりたいって思ったことある?」すると、すぐに彼の注意が俺に向いた。
「なんでそんなこと聞くんだ?」
「誤解しないで。ウェアウルフでいるのは好きだけど、もし私たちが一緒になる相手を選んでたら、どうなってたのかなって思ったの」
「俺はウェアウルフじゃなくても、お前と一緒にいるって決めてただろうな」セオドアはそう言って、俺は彼の言葉で頬が熱くなるのを感じた。
「私もそうだったと思う。それで、もし一日だけ、ウェアウルフだってこと、隠して付き合ったらどうなるのかなって思って」
「なんでそんなことするんだ?」
「愛し合うって、どんな感じか体験するためだよ」
「愛を体験するのに、一日だけ人間を装う必要はないと思うけど」
「わかってるけど、人間みたいにデートしたら楽しいかなって思ったんだ」
「なんでお前は退屈してて、もっと俺と時間を過ごしたいって言ってるみたいなんだ?」
「ううん、そうじゃないよ。二人の関係にスパイスを加えたいなって」
「こっち来い」
「なんで?」
「ただ、来いよ」
「わかった」俺はそう言って、椅子から立ち上がって、彼のところへ行った。彼の前に着くと、彼は俺を抱き寄せて、彼の太ももの上に座らせた。
「こういう時は、寂しいって言えばいいんだぞ」セオドアは俺の腰に手を回しながら言った。嘘じゃない。最近、彼がいなくて、すごく寂しかったんだ。彼は最近、仕事が忙しくて、俺一人だとつまらないんだよね。シャーロットとクロエに会いに行くんだけど、いつも邪魔するわけにもいかないし。
「そんなにわかりやすい?」俺は彼の顔から目をそらして尋ねた。彼に、人間みたいにデートしたいって言った理由がバレて、ちょっと恥ずかしい。
「ああ」
「文句言わないでよ。寂しかったんだから」俺は彼の肩に頭を預けて言った。「いつも帰りが遅いんだもん」俺は不満そうに言った。
「ごめん。埋め合わせするよ」
「謝らないで。わかってるから」
「りがとう。さあ、ご飯食べに行こう」
「やっと」俺は彼の膝から立ち上がって言った。
次の日の朝、スナップチャットを見てたら、インスタグラムで新しいフォロワーリクエストが来た。いつも新しいリクエストが来るけど、今回はちょっと違う。その人の名前が。King Theodoreって名前なんだ。その人のページを開いてみたけど、まだ写真はなかった。セオドアかなって思ったけど、違ったみたい。インスタを閉じて、スナップチャットに戻った。誰かの動画を見ようとしたとき、セオドアから電話がかかってきた。
「なんでフォローバックしてないんだ?」俺が電話に出るなり、彼はそう言った。
「本当にあなただ!なんでインスタのアカウント作ったの?」彼だって思ったけど、自信なかったんだ。だって、彼はSNS嫌いだし。
「フォローバックしたらわかる」
「わかった、フォローするよ」俺はそう言って電話を切った。
彼が言うとおりにした。フォローバックしたら、すぐにメッセージが来た。
「やあ、美しい人」って書いてあった。
「やあ、ハンサムさん」って返信した。
「返信が違う。俺がどんな顔か知らないのに、どうしてハンサムだってわかるんだ?」
彼は顔を覆う絵文字を送ってきた。ますます混乱する俺。
「大丈夫?セオドア」
「なんで俺が大丈夫じゃないんだ?」彼は、今度は俺の後ろから言った。
「セオドア、なんでこんな時間に家にいるの?」
「説明しに来たんだよ。お前が自分でわからないなら、説明してやる」
「何を説明するの?」
「インスタでは、俺はお前のメイトのセオドアじゃない。インスタで会った美しい女の子と友達になろうとしてるセオドアだ」
「私がお願いしたこと、やってるんだね」俺はそう言って笑った。
「ああ」
「なんでそうしようと思ったの?」
「俺はほとんど家にいないから、できるだけお前を喜ばせたいんだ」
「ありがとう」俺は笑って言った。
「女王のためなら何でもするよ」