教会
3人が起きるのを待ってたんだけど、全然眠れなかったんだよね。アラダが私に言ったこととか考えちゃって。
アラダの言う通りだよ。私のミッションは、パヴェルを悪くすることであって、彼が王様になるのを手伝うことじゃないんだから。パヴェルが王様になろうがなるまいが、私には関係ないし。王様になれるように復活するかどうかは、彼次第だしね。
深呼吸して、パヴェルを悪くする方法を考え始めたんだけど、3人が起きたら教会に行くこととか、全然考えてなかったんだ。私の計算だと、歩いて1時間くらいで教会に着くはずなんだけど、そんなことより、ミッションのことばっかり考えてたんだよね。
時間を無駄にしてるってことに気づいたんだ。教会をどうやって通り過ぎるかとか考えてたけど、もうパヴェルのミッションなんてどうでもよくなったんだ。私が理解してるのは、自分のミッションだけ。それは、パヴェルを悪くすることなんだ。
「起きてたんだね。」
顔を上げたら、パヴェルが起きたとこだった。私を見てニヤけて、伸びをしてる。「おはよう。」って挨拶されたから、私は冷たい視線を送って、深呼吸した。たぶん、彼の笑顔のせいで、3人に少しだけ近づけた気がしたんだよね。でも、もうそんなことはない。私はまた彼らから距離を置いて、自分のミッションに集中しなきゃ。
「気分はどう?」ってパヴェルが聞いてきたから、彼のことを見たんだ。私の前に座って、触ろうとしてきたから避けた。眉をひそめて、睨みつけた。
「大丈夫だよ、全然。」って言ったら、パヴェルは笑った。
「またむっつり顔になってるね。」って笑いながら言われた。少し私から離れたから、ほっとした。
「何か食べた?」ってベッドを整えながら聞いてきた。
「うん。」って短く答えたら、彼は何も言わなかった。私と一緒だった男の子が、いきなり現れたから、眉がピクッて上がった。笑ってない奇跡。まるで一番悪い生き物を見るような、彼の目に宿る恐怖を見てたら、私の額のシワもゆっくりと消えていった。
「なんでそんな目で私を見るの?」って冷たく聞いたら、彼は私から離れた。まるで、私の存在が怖いみたいに。
「わ、俺、あの古い家に戻るよ。」って、すごく緊張した声で言ったから、私は唖然とした。私、何やってるんだ? 何も悪いことしてないのに。結局、彼は人の一部でしかないし、昔は人だった魂なんだよね。人だって、私と同じように怖いんだよ。
「こ、怖いんだ。」って言われたから、私は視線を逸らした。「あいつの体の中の、お前のオーラが見えるんだ。そして…、少し前に一緒にいたシイルとは全然違う。」って言われたから、私は彼を見ないで笑った。
「あ、昨日の夜、お姉ちゃんと話してから、お前のオーラが変わり始めたんだよ。もう…、怖くて近づけないんだ。お前のオーラ、すごく暗いんだ。」って言われたから、彼を見たんだ。彼は頭を下げて、目が合ったから視線を逸らした。
「ごめん、ありがとう。」って言って、私の前からゆっくり消えていった。私は、彼が立っていた場所をじっと見つめた。
「人ってやつは、絶対私たちを見る目を変えないんだよね。私たちを化け物みたいに思って、怖いって言うんだ。悪いのはいつも私たちなんだ。」
アラダがミッションをくれる前に言ってたことを思い出して笑った。彼女の言う通りだった。みんな私たちを怖がって、私たちを最悪だって思ってるんだから。
慣れてるけど、なんでこんなに傷つくんだろう?
「大丈夫?」
パヴェルが、男の子が立ってた場所に立ってた。まるでずっと私に話しかけてたみたいな感じで私を見てる。
あの男の子は、初めて私を信用したし、初めて私をこんなに怖がらせた人でもあったんだ。
人から、他に何を期待できるんだろう?
「起こして、出発するよ。」って席から立ち上がった。
パヴェルは、何が起きてるのか混乱した様子だったけど、私の言う通りにした。まず、私は彼らから離れて歩き出した。ため息をついて、近くの木につかまった。
「こ、怖いんだ。」
男の子が言ってたことを思い出して笑った。
「みんな、私たちを怖がるんだな。」って囁いた。
数分経って、ただそこに立って、何も見てなかった。こんな風になっちゃいけないのに。人について、何を知っておくべきなんだろう? 彼らは、私たちのおもちゃにすぎないのに。
「クサァラ。」
呼ばれた方に顔を向けなかった。誰かが私の邪魔をしたような気がしたから、そっちを見てみると、シンラドが私の見てるところを見ていた。
「深い考え事をしてたね。」って言われて、私は視線を逸らして、深呼吸をした。
「大丈夫?」って彼が聞いてきた。
「心配しないで。」って言ったら、彼は眉をひそめた。「結局、みんな私を怖がるんだよ。」って囁いた。
「何?」って彼は聞いた。私が言ったことを聞き取れなかったみたいだから、彼の方を見た。
「一番怖いものは何?」って聞いてみたら、彼は戸惑った様子だった。
「死ぬこと?」って彼は答えたから、私は彼の方を見て、
「死ぬこと以外で?」って聞いた。
「地獄に行くこと。」って答えたから、私は笑ってしまった。
「何が面白いんだ?」って聞かれたから、唇の笑みを消して、真剣な顔になった。
「出発する。」って言って、私たちがいた場所に歩いて戻った。パヴェルとベールは、準備を終えたところみたいだったから、カバンを持って背負った。
「出発する。」って冷たく言って、彼らのいる方へ歩き始めた。
「悪い夢でも見たのかい、ユニコ?」ってベールが聞いてきたけど、無視した。シンラドを通り過ぎて歩いていったけど、私はそのまま歩き続けた。
「おいユニコ、またパヴェルに怒って不機嫌になってるのか?」ってベールが後ろから話しかけてきた。
「何だよ? 俺、何もしてないのに。起きたら、あいつがあんな感じだったんだ。」ってパヴェルが言った。
「昨日の夜までは、あいつの笑顔は綺麗だったのに。お前ら悪魔、何したんだよ?」ってベールが言ってきたから、彼らはからかい合って会話を続けてた。私は、立ってるところから教会の鐘が見えたから、歩くのを止めた。恐怖が私を襲ってきて、人間の体が熱くなるのが分かった。
「おい、大丈夫か?」
パヴェルが私の隣に立って、私を見てた。彼の目には心配そうな色が浮かんでた。
「もうすぐだよ。」って言って、私は唾を飲み込んだ。立ってるところからでも、あいつらの姿が見える。そして、この場所では歓迎されてないって感じてるんだ。
前とは違って、歩くスピードがすごく遅くなった。動きたくないくらいだったけど、3人が私の行動に驚くのが分かってたから、無理やり歩いた。
数歩歩いて、また止まった。
やっぱり無理だ。まず第一に、それは体の痛みじゃなくて、魂が傷つくから。第二に、聖者の存在は私を吐き気にさせるんだ。
「顔色悪いよ。」ってシンラドが言ったから、もう私の前にいた。ベールとパヴェルも、私の前に来た。
「大丈夫だと思ってたんだけど…?」パヴェルが聞いてきて、私の手に触ろうとしてきたから、私は彼を睨んだ。
「大丈夫。」って言って、また歩こうとしたら、教会の周りに敷き詰められた聖なる地面を踏みそうになって、ほとんど転びそうになった。こんなこと、アホじゃないんだから知らないわけがない。今までにも、私が体を借りてる人がエクソシズムされて、こういう経験を何度もしてるんだから。
歩き続けた。ものすごく痛くて、悲鳴を上げそうになった。体と魂が引き裂かれるような感覚で、教会に着くまでは耐えなきゃって思ってた。教会の中には聖者たちがいて、天国からの見張りが私を見てるのが分かったんだ。
「鼻血が出てるよ。」
シンラドが私を支えてくれた。ほとんど倒れそうになったから。体が弱って、魂が痛みを感じた。
「まだ気分が悪いみたいだけど…」パヴェルが言いかけたけど、シンラドの隣に立って、私のカバンを持ってる。私は、パヴェルの手を取って、疲れた目で彼の目を見た。
まるで、いつも尻尾で私の体と魂を叩かれてるみたいで、いつ意識を失って、この体から離れてしまうかもしれない。
「ドレイケン・ハジェンズ。」って囁いたら、また角が熱くなったから、ほとんど悲鳴を上げそうになった。
「誰のこと?」ってベールが聞いてきた。私はパヴェルの手を強く握った。
「ドレイケン・ハジェンズを洗礼して。」って精一杯の力で言った。パヴェルの額に皺が寄って、それがだんだん消えていった。
「でも、僕たちは…」
「何があっても、ドレイケン・ハジェンズを洗礼すると約束して!」って叫んだ。足がすごく痛くて、まるで足を切り落とされるような痛みだった。
「わ、何があったんだ?」ってパヴェルが心配そうに聞いてきた。私は彼に微笑んで、彼の手を強く握った。
「アーメン。」
「アーメン」って声がどこから聞こえたのか分からなかったけど、そう言った後、私の魂は完全にシンラドが支えてる体から離れた。
「お前のいた場所に帰れ。」って教会の入り口を見た。私と同じくらいの年齢だけど、上から来た、私みたいなエンジェルが、武器を持って私を見てた。3人が私の人間だった体を起こそうとしてるのが分かった。
「ドレイケン・ハジェンズ。」って、また私と同じだけど天国から来た人に言った。彼は私を見てて、彼の目には少しも恐怖の色はなかった。
「ドレイケン・ハジェンズの名前を洗礼して。」って付け加えた。さっき一緒にいたけど、怖がって古い家に戻ってしまった男の子のことをまた思い出した。
「信じてるよ。」
「こ、怖いんだ。」
ほんの短い時間だったけど、一緒にいた男の子が言った言葉をもう一度思い出した。教会の入り口にいる生き物は動かなかったから、私はくるっと向きを変えて、深呼吸をした。
「いつも心に留めておきなさい。エンジェルと私たちみたいなやつらは、永遠の敵なんだ。」
ファーザーに言われたことをまた思い出した。唾を飲み込んだ。彼らは、私が言ったことをするつもりはないみたいだったから、教会の入り口にいるエンジェルと向き合った。
「あなたが権力を持ったら、天国で両親に会いたがってるんです。彼は最初に私を信じてくれた人だったから、あなたはその子のためだけにドレイケン・ハジェンズという名前を洗礼するんです。私のためではなく、その子のために。」って、男のエンジェルを見て言った。私は目を逸らして、頭を下げた。
「お願いします。」って囁いた。
初めて、永遠の敵に懇願したんだ。ただ、最初に私を信じてくれた男の子のために。