アヴィラの死
ミーラとあたしが相談して決めた通り、次の日、アヴィラがいる場所に向かうことになったんだ。めっちゃ遠くまで行かなきゃいけなかったから、ミーラとあたしは太陽が昇る前に出発したよ。
アヴィラがいるのは、ウィンソウルっていう町の外。だから、あたしたちは日の出直後にウィンソウルの町を出たんだ。静かで、誰一人として話しかけてこなかった。アヴィラの家に向かう間、アヴィラは夫と一緒にいたんだけど、その夫はエンジェルだったんだ。
アヴィラの家の前に着いた時、ちょうど太陽が沈むところだった。あたしはミーラのことを見つめた。ちょっと緊張してるみたいだった。
「準備はいい?」
あたしが聞くと、ミーラはコクンって頷いた。それから、木のドアをノックしたんだ。初めてここに来た時みたいに、この場所の空気はまだ変なままだし、この家の周りの死んだ雰囲気もまだ感じられる。
ドアが開いた時、ミーラとあたしは同時に上を見たんだ。アヴィラの夫、エンジェルだった男が、タンだ。
「クサァラ…」
あたしの名前を呼んだ。そして、あたしの隣にいる人を見たから、あたしは微笑んだよ。
「この子はミーラ。アヴィラの本当の妹だよ」
あたしが言うと、キャスティエルは何も言わなかった。確か、名前はそうだったはず。
「私の妹はどこにいるの?」
ミーラがキャスティエルに尋ねた。キャスティエルはあたしの方を見て、すごく悲しそうな顔をしたんだ。
「アヴィラに会いに来たんだ。アヴィラはどこにいるの?」
あたしが聞くと、キャスティエルの涙が突然流れ始めて、ミーラとあたしの前に座り込み、ドアを抱きしめたからびっくりした。
「い、いなくなっちゃった…」
キャスティエルが泣きながら言ったから、あたしは固まっちゃった。あたしの頭は、キャスティエルが言ったことを理解できなかったんだ。
「な、なに?」
あたしは、ためらいながら聞いた。
「嘘つき!」
ミーラが叫んで、キャスティエルの前に座り、彼の服の襟を掴んだ。「私の妹を連れて来い、バカエンジェル!」
ミーラが叫んだ。あたしはキャスティエルを見つめ続けてた。
キャスティエルは泣きながら首を振った。彼の悲しみが感じられたし、彼の言葉には嘘の匂いを感じなかった。
「ア、アヴィラは…いなくなっちゃったんだ」
キャスティエルが悲しそうに言った。ミーラはキャスティエルの襟を掴んだまま立ち上がり、キャスティエルをドアの横に突き飛ばし、家に入っていったんだ。あたしは足が動かない。何て言ったらいいのか、言葉が見つからなかった。
「アヴィラ、どこにいるの?!」
キャスティエルの家の中からミーラの叫び声が聞こえた。あたしは、まだ横に座って泣いているキャスティエルから目を離せなかった。
「ど、どうして?」
ついに、あたしの唇から言葉が出た。キャスティエルはあたしを見て、涙を流し続けた。
「エンジェル、私の妹を連れて行って!」
ミーラが怒って叫び、次の瞬間にはキャスティエルの前にいて、彼を空中に締め上げてた。あたしはすぐに二人の間に割って入り、ミーラをキャスティエルから引き離したんだ。
「今は怒りを爆発させる時じゃないよ、ミーラ!」
あたしが叫んで、息を呑んでいるキャスティエルを見た。
「い、妹の…遺体はどこにあるの?」
あたしは、あたしの隣にいるキャスティエルに尋ねた。
黒い水の激流の隣には、高い枯れ木が立っていた。その周りには、枯れた植物と生気のない色があったんだ。山の裏側の底の空気は濃かった。
ミーラとあたしは今、「アヴィラ」という名前が刻まれた大きな石の前に立っていた。あたしはすぐに頭を下げて、涙が出ないようにした。深呼吸して、落ち着こうと目を閉じた。
アヴィラがどうして、なぜ死んだのか、あたしは知らない。キャスティエルは、何が起こって、なぜ妹がいなくなってしまったのか、何も教えてくれなかったんだ。
ミーラを見た。彼女は、アヴィラの名前をじっと見つめているだけで、彼女の目や顔には何の感情もなかった。
ミーラの体に流れる悲しみ、怒り、後悔を感じることができるんだ。あたしは、キャスティエルの方を向いた。彼は、感情もなく頭を下げていた。
あたしはキャスティエルに近づいた。彼はあたしの気配を感じて顔を上げたんだ。
「どうして?」
あたしは彼を見ながら尋ねた。彼はまずあたしの目を見て、それから再び頭を下げた。
「私が理由を言う立場ではありません」
彼はあたしをイラつかせるように言った。
「キャスティエル、なんでなの…どうして私の妹を助けなかったの?」
あたしは、ためらいながら彼に尋ねた。彼はあたしを見て、あたしの目をじっと見つめた。「あなたたちはエンジェルで、救世主だって言うじゃない…」
彼を見て、すぐに涙が流れ出した。「でも、どうして私の妹を助けなかったの、キャスティエル?」
あたしはすすり泣きながら付け加えた。
うん、あたしはミーラとアヴィラの家族の一員じゃないけど、アヴィラとは仲良くなったんだ。彼女はあたしを本当の妹だって思ってくれてたし、あたしに対する態度も、前回会った時から変わってなかったんだ。
「せめて…せめて、彼女を救ったのね」
あたしはキャスティエルに抱きしめられて、さらに涙がこぼれた。
「アヴィラの最後の言葉は、あなたとミーラのことだった」
キャスティエルが言った。「彼女の命令は…彼女がいなくなってしまった理由をあなたたちに話してはいけないということ。彼女はあなたたちを傷つけたくなかったんだ」
キャスティエルはそう言って、抱擁から離れた。
「彼女は言っていた…ミーラが次のリーダーになることを知っているので、ミーラを誇りに思っていると。そして、最後にここに来た時に会えなかったことを、あなたに許してほしいと願っていると」
キャスティエルが今日あたしに話した言葉には、嘘は混ざってなかった。あたしは掌を曲げて、キャスティエルの言葉にさらに泣いたんだ。
「でも…彼女がいなくなる前に…黒いエンジェルが私たちの前に現れたんだ」
あたしはキャスティエルの言葉に呆然とし、彼を真剣に見つめながら顔をしかめた。
「それが誰だかわからないけど…アヴィラが彼女のことをアラダって呼んでたって聞いた」
今度はミーラが私たちの方を向いた。あたしは、キャスティエルを見つめながら、掌を曲げた。
「アラダ」
ミーラが言った。あたしは突然、ミーラから強烈な怒りと憎しみの匂いを感じ、彼女の目が暗くなるのを見たんだ。
アラダ、あなたはアヴィラの死に関係があるの?