変化
「つまり、アラダが今、君の体にいて、君じゃないってこと?」 事情を説明して、なんで僕の体じゃなくて、ここにいるのかを話した後に、シンラドが僕にそう尋ねてきた。僕はこくりと頷いた。シンラドは眉をひそめ、おじいさんの方を見た。
「だから、なんか違うんだな」 彼は僕を見て言った。「その…、体は君なんだけどさ。なんか違うから、ちょっとびっくりしちゃって。だって、君の体の中にいるのは君じゃないんだもんね」 そう言った。僕は深呼吸した。
「パヴェルに、私の体の中にいるのは私じゃなくて、別のやつだってことを伝えたいんだけど、そんな力はないんだよね。だってパヴェルが気づいたら、私の体の中にいるやつと戦うことになるって分かってるから。それが怖いんだ。だって、あいつは強すぎるんだもん」 僕はそう言った。シンラドは優しく微笑んで、僕の手を掴もうとしたけど、彼の体は僕を通り抜けてしまったから、少し笑った。
「大丈夫だよ、アラダから君の体を取り返してあげるから」 彼はそう言って、僕は微笑んだ。
過去のこと、パヴェルとの過去について、みんなに話すかどうか分からない。シイルのこととか、アヴィラの死についても話すべきなのかも分からない。きっと、理解してもらえないだろうな。
「まず、君の体の中にいるやつをどうにかしなきゃ」 シンラドはそう言って、グランパ・ガブリエルを見た。
「おじいさん、クサァラが自分の体に戻れるように、手伝ってくれない?」 シンラドがおじいさんに尋ねた。ガブリエルは僕らを見て考え込み、首を振って、深呼吸した。
「ごめん、クサァラの体からそんな強力な存在を追い出すことはできないんだ」 そう言って、目を閉じた。
「年を取りすぎて、エクソシズムの儀式なんてできないんだよ。それに、クサァラ、誰かに助けてもらうって言ってたよね?」 彼はそう言って、シンラドが僕を見た。
「そういえば、誰に助けてもらうって言ってたんだ?」 シンラドが尋ねてきた。僕は彼の目を見て、微笑んだ。
「誰でもいいんだ」 僕はそう言った。シイルの正体を明かしたくなかった。アラダを倒すための僕らの計画を台無しにしてしまうかもしれないから。
「今は、アラダとパヴェルの前では普通にしててほしいんだ。私が自分の体に戻る方法を考えるまでね。私がみんなと話したことは秘密にしておいて」 僕はそう言って、僕を見ていた二人を見た。
「私たちに同情してほしくないんだ。必要なのは、協力と味方だよ」 僕はそう言った。シンラドは微笑んだ。
「そういうことなら、いつでも頼ってくれよ」 シンラドは僕に微笑みながら言った。僕は微笑んで、おじいさんを見た。
「パヴェルをアラダから守るために、できることは全部やるよ。君が助けてくれるのを待ってる間はね」 ガブリエルがそう言って、僕は彼らを見ながら頷いた。
「ありがとう」 さらに数時間、僕は意識を失った時に何が起きたのかを話した。その時のことは覚えてないんだけど、アビアとの約束のことがすぐに頭に浮かんだ。
今、僕は一人でシイルの部屋に向かう道を進みながら、アビアとの約束について考えていた。
「お願い、クサァラ。あなたと取引したいんだけど、私の両親の命や魂を対価にしないでほしいの」 彼女はそう言ったので、僕は彼女の方を向いた。彼女は真剣で、まるで彼らと一緒にお家に帰りたいように見えた。
「お願い、クサァラ」 彼女は僕を見て、両手を握りしめた。僕は彼女を見て、また彼女の顔を見た。
「交換って言ったこと、絶対に変えないよ」 僕はそう言って、彼女の手はゆっくりと僕から離れた。僕は唾を飲み込み、目を閉じた。彼女とまた和解するためなら、人生の半分を賭けてもいい。
「そう…?」 彼女は優しく言った。僕はすぐに彼女の手を掴んだ。彼女は僕を見て、今度は僕が彼女の目を見た。懇願するような視線だった。それにしても、悪魔の命は完全に消滅するまで数百年は続くんだ。僕は200年も生きていて、パヴェルを悪くするためにアビアと取引したせいで、人生が100年減った。今、もう一度彼女と取引する。そして、このチャンスで、残りの人生の半分を失うことになる。
「ク…クサァラ、なんで…」
「私が…、あなたと取引する」 僕はそう言って、彼女は立ち止まり、固まった。「私たちが約束したこと、覚えてる?」 僕は尋ねた。彼女は僕を見続けた。「あなたから何かを奪ったり、見返りを求めたりはしなかった」 僕は頭を下げた。「パヴェルを王にしたいから、あなたと約束するんだ」 僕はそう言って微笑んだ。
「ク…クサァラ…」 彼女は僕を呼んだ。
僕は彼女を見た。「あ…あなたの取引を受け入れても、私やあなたに何も起こらないのよね?」 彼女が尋ねたので、僕は彼女の目をじっと見つめ、頷いた。
「うん、あなたにも私にも、何も起こらないよ」 僕は嘘をついた。彼女の唇に微笑みが浮かんだのを見た。
「それなら…、あなたから提供されたものを受け入れ、私達のもとに帰って、パヴェルを王にできるわ」 彼女はそう言って、僕は微笑んだ。正しいことをする。パヴェルに影響はないし、私たちがウィンソウルに戻るのも簡単になるだろう。
「じゃあ…、これが私の条件」 僕はそう言って彼女に微笑んだ。「ウィンソウルの呪いは一時的に消えて、あなたは記憶を失わずにそこに戻れる」 僕はそう言うと、彼女は驚いた。
「一時的…?」 彼女は尋ねた。
「アラダは強すぎるから、ほんの少しの間しか猶予を与えられない」 僕は言った。
「じゃあ、呪いはいつ戻ってくるの?」 彼女は尋ねた。僕は微笑んだ。
「ウィンソウルの呪いは一時的に消えて、角が切り落とされ、尻尾が折れ、獣が微笑んで塵になる時にだけ戻ってくる」 僕は彼女の手を握りながら言った。
僕は歩みを止め、輝く星で覆われた空を見上げた。
「一瞬だけ」 僕は空を見上げながら言った。アビアとの約束を思い出したので、なぜか急に悲しくなった。
空を見上げながら、涙がこぼれ落ちた。
ただパヴェルと楽しい時間を過ごしたいだけなのに、運命までもが私たちを引き離そうとするのなら、どうしたら私が求める幸せを手にすることができるんだろう?
「だって、夜は寒いから」 誰かが話しかけてきたので、僕はすぐにそちらを向いた。パヴェルも空を見ていて、彼の目には悲しみがあった。彼の悲しい目を見ていると、涙がどんどん溢れてきた。
「君の行動が変わったね」 彼は空を見上げながら言った。
「君は冷たくなったみたいだ」 彼はささやき、頭を下げた。
「パヴェル…」 僕は彼の名前を呼んだ。彼には聞こえないと分かっていても。
「ただ…、元に戻りたいんだ、カルマ」 彼はささやき、同時に彼の目から涙が流れ始めた。僕は彼に近づき、抱きしめようとしたけれど、彼の体を通り抜けてしまい、涙がさらにたくさんこぼれ落ちた。
「パヴェル…パヴェル、ここにいるよ」 僕は泣きながら、彼も泣いているのを見ていた。
「パヴェル…パヴェル、私じゃないんだ」 僕は彼の耳元でささやいた。彼が突然僕の方を見て、驚いたようにしていたので、僕は呆然とした。
「カルマ…」 彼は僕の方を見ながら呼んだ。
「パヴェル、私が見えるの?」 僕は尋ねたけど、彼は答えなかった。深呼吸をして、彼の目から落ちた涙を拭った。
「ここからも聞こえるよ」 彼はそう言って、空を見上げた。まるで空と大地が僕を打ちのめしたかのようだった。彼は僕が見えると思ったのに、もう一度彼と話せると思ったのに。
「なんで変わってしまったんだ…カルマ」 彼は空を見上げながらささやいた。僕は彼の隣に立ち、空を見上げた。
「私は変わってないよ、パヴェル」 僕は空を眺めながら答えた。