呪われた神
クルクルって巻かれた角、長くて鋭い黒い爪、デカい赤い羽、三つに分かれててそれぞれ先っちょが尖ってる黒い尻尾、黒い瞳、尖った耳、ライオンみたいな足、それに勝手に動く長い白い髪。それが今、シンラドが見てるもの。
ぐるっと振り返って、深呼吸した。背中向けたままでも、あいつの魂に走る恐怖が匂いでわかるんだよね。魂への欲求を抑えるために、目を閉じた。シンラドを傷つけるわけにはいかない。彼はパヴェルの友達で、あたしの過去の一部だし。
我慢しなきゃ。
「これが理由だよ、シンラド」あたしの声は、死のメロディーみたいだった。あたしが人間の体と合体するたびに、いつもと全然違う。
「あたしを怖がってるなら、また出て行ってもいいんだよ」彼を見てそう言った。あたしの突然の視線に、彼は驚いたみたい。
「でもお願い、パヴェルにはあたしの正体を内緒にしてて。あたしたち二人の秘密にしてて」そう言ったけど、彼は何も言わなかった。まるで、何が起きたのかまだ頭に入ってないみたい。悪魔に遭遇したら、誰だって怖がるもんね。
「ク…クサァラ…」名前を呼ばれて、頭を下げた。それからまた彼の方を向いて、なんとか彼の恐怖を消そうとしたんだ。
「傷つけるつもりはないよ。パヴェルを助けたいんだ」そう言った。あたしたちの間には沈黙が流れた。
あたしは、彼に何が怖いのか尋ねた時の答えを思い出した。彼は地獄に行くのが怖いって言ったんだ。もしあたしとアラエのところに行ったら、そうなっちゃうかもしれない。
「ど、どうすれば…あなたは…あなたが…」彼は最後まで言い切れなかった。あたしが彼の目の前でひざまずいて、地面を見てたからだ。彼はあたしの行動に驚いたみたいだけど、これが、彼を傷つけないと保証できる唯一の方法なんだ。
人間ってやつは、他の人間は簡単に信用するくせに、あたしたちのことは敵だと思って信用しないんだよね。それが現実。
「悪魔は、人の前でひざまずく時、自分の視線を下げるんだ。あたしもそうだよ」ひざまずきながら言った。「傷つけようとか思ってないよ。ただ助けたいだけなんだ」
「でも、あんたみたいな人が助けるってのはおかしいだろ。パヴェルはあんたと取引したのか?」彼の質問に、あたしはすぐに首を横に振った。
「もしそうでも、あたしは断るよ」あたしはそう言って、彼はまた黙ってしまった。
「なんで…パヴェルを助けるんだ?」彼はそう尋ねてきた。あたしは突然笑って、まだ彼の前にひざまずいたままだった。
「彼があたしにしたことへの埋め合わせだよ。200年経ったんだからね」あたしは答えた。彼の体に衝撃が走るのがわかったから、彼を見た。
「な、何だって?」彼は気まずそうにそう尋ねた。
「カルマとあたしは一体なんだ」あたしがそう言うと、彼の目は見開かれた。あたしはゆっくりと立ち上がり、彼から背を向けた。また彼の魂に恐怖が匂ってきたから。
「そんなのありえない。カルマはたった一人だし、あんたは…」
「あり得るんだよ、シンラド。妹に話したら、彼女が知ってることを教えてくれた。あたしがこうなったのは、あたしをこうなるように、そしてあたしの過去の一部だった人たちを忘れさせるために、あたしが知ってる両親が何かしたからかもしれない」そう言うと、あたしが匂った恐怖が少しずつ消えていった。
「今は、あたしが怖いなら、わかるよ。自分の体に戻って、パヴェルのところに戻ってもいいんだよ」そう言ったら、あたしの手を掴まれた。驚いて彼の方を見ると、彼はあたしに微笑んでいた。
「ああ、怖かったよ。でも、あんたがカルマだってわかった時、あたしはあんたが危害を加えないってわかったんだ」彼はそう言ったから、あたしは彼の顔を見つめた。「だって、あたしたちの過去を知ってるから、あたしを傷つけるなんてできないだろ」彼はささやいたから、あたしは止まったんだ。
「シンラド!」あたしはすぐに彼の立っているところまで走り、彼を支えた。「大丈夫?頭どうしたの?なんで血が出てんの?」心配しながら彼に尋ねた。彼はあたしを見て笑うと、あたしを近くに引き寄せたから驚いたんだ。
「もう誰もあんたを敵視しないよ、カルマ」彼はそうささやいたから、あたしは固まった。彼の顔を見ると、黒いオーラが見えた。
「な、何したの?」あたしが尋ねると、彼はあたしに微笑んで、また抱きしめて、目を閉じたんだ。
「や、やめてよ、シンラドがやったこと繰り返すのは。また傷つくのは見たくない」
あたしの目にいくつかの映像が飛び込んできた時、稲妻が走ったみたい。あたしは目を閉じて、落ち着いて、ため息をついて、あたしを見ていたシンラドを見た。
「だ、大丈夫?」彼はそう尋ねた。あたしはただ彼を見て、彼の手があたしの手を握っているのを見て、ゆっくりと手を引っ込めて、歩き始めたんだ。
「あんたは、一番怖いのは地獄に行くことだって言った」そう言って歩くのを止めて、少しの間彼を見た。「あたしはパヴェルを助けられる人に話すために、そこに向かうんだ」あたしがそう言うと、彼は間違いなく笑顔で近づいてきたんだ。
「よし、行こう。そうすればすぐにパヴェルのところに戻れる」彼はそう言って、あたしは笑った。あたしは彼に手を差し出すと、彼はそれを見た。
「掴まってて、地獄に飛ぶよ」あたしがそう言うと、彼は笑顔で恐れることなくあたしの手を掴んだ。あたしは笑って、翼を準備したんだ。
「すぐ終わるよ」あたしがそう言ってポータルに向かって飛び始めると、彼はあたしの速い飛行に驚いたので笑った。あたしは彼の手をしっかり握って、抱きしめて体を支えながら飛んだんだ。ポータルに入ると、熱くなった。
「あたしの後ろに乗って、地獄の様子を見て」そう言って、あたしは彼に背中に乗るのを手伝った。彼が乗った時、ゆっくりと翼をはばたかせたんだ。
「ここには火しか見えないよ」あたしがそう言って、一番低いところに向かった。
「なんで魂が見えないんだ?」彼は尋ねた。
「あっちだよ。そこに行ったら、アラダがきっとあんたをあたしから奪って、罰を与えるだろうね」あたしがそう言うと、彼の毛が逆立つのがわかった。
「え、他の悪魔たちは?地獄に入ったら、怖い顔の悪魔たちに出迎えられると思ってたんだ」あたしはそう言われて笑ったんだ。
「宮殿の外には悪魔はいないよ。みんな中にいて、父と母に仕えているんだ。魂が罰せられるために死がやってくる時だけ出てくるんだよ」あたしがそう言った。
「クサァラも魂を罰するのか?」彼は尋ねて、あたしはそちらを向いた。
「うん。あたしは第四サークルの持ち主で、欲深い魂が連れて行かれるところなんだ」あたしがそう言うと、彼は驚いた。
「マジ?罰するのは簡単?」彼はそう尋ねて、あたしは笑ったんだ。
「アラダにとっては簡単だけど、あたしにとっては罰するのは退屈なんだよね。ただ繰り返すだけで、人間の魂は弱って、煙のように消えていくんだ」あたしの答え。
「つまり、あたしたちの魂も死んでるってこと?」彼は尋ねて、あたしは頷いたんだ。
「しっかり掴まってて。落ちるよ」あたしがそう言うと、彼はすぐにあたしの言葉に従ったから、翼を畳んで、ポータルから来たエネルギーを吸収して、世界の底まで落ちたんだ。
「クサァラ!」シンラドが叫んで、ほとんど落ちそうになったので、あたしはすぐに彼の腕を掴んで、あたしの体に引き寄せて、抱きしめて翼で守ったんだ。数分後、あたしたちは世界の底まで降りた。
上とは違って、この場所は暗かったので、あたしは自分の尻尾と翼に光をつけ始めた。あたしはゆっくりとシンラドを床に降ろしたんだ。
「着いたよ」あたしがそう言うと、彼は周りを見回したけど、見えるのは暗闇だけだった。
「暗すぎる」彼がそう言うと、周りが明るくなり始めたので、あたしは警戒した。すぐに彼を翼の中に閉じ込めて、ナイフを準備したんだ。
「ク…クサァラ…」周りにいるモンスターの恐ろしい音を聞いて、彼はパニックになって言ったんだ。
「落ち着いて、シンラド。あんたの恐怖が、あたしたちみたいな人を強くするんだよ」ささやいたんだ。あたしは顔をしかめた。モンスターたちはあたし達を攻撃してこなかったから。
「お客さんが来たみたいね」あたしたちが立っていた場所の上の方を見ると、炎で覆われた女がいたんだ。体は蛇の体で、髪は赤くて先っちょが燃えていて、炎で作られた武器を持っていて、目はワシの目みたいだったんだ。
彼女はあたしに微笑んだ。でも、その笑顔が悪い意味だってことはあたしは知ってたんだ。
「ようこそ、私のところへ」
この場所では、歓迎されないんだよね。