転生
ウィンソウの十五代目の王様が、自分の娘であるカルマを悪魔に売って王様になってから、二百七十六年も経ったんだって。
カルマっていう名前のオンナは、五回目の満月の日に死ぬことになってたんだけど、パヴェルがカルマのこと好きすぎてさ、パヴェルはアラダっていう悪魔と取引して、カルマの父と悪魔との契約をチャラにしたんだよ。でも、そうはならなくて、状況はもっと悪化したんだ。なんでかっていうと、パヴェルが話した悪魔がカルマに嫉妬して、アラダの悪魔がウィンソウの町全体を呪ったから。新しい年が来るたびに、町に住んでる人たちは記憶をなくすんだ。家族のことだけは覚えてるけど。
昨日の夜、すごいこと発見しちゃったんだよね。カルマ。パヴェルと私が触れ合ったり、肌が触れ合うたびにいつも見える女の子の名前だよ。昔、宮殿の地下室でその子の写真を見たことあるんだけど。その子は私とそっくりで、違うのは角がないことくらいかな…
自分の小さい角を触って、ため息をついた。
その写真に触れたとき、ベールとシンラドって名前も聞こえた気がする。ベールとシンラドもカルマと関係あるのかな?
「ロロ・ガブリエルの話、まだ考えてるの?」って、顔を上げたら、聖女様が私を見て、グラス持ってた。
「おはよう、あんまり寝れなかった?」って言って、私の前に座った。
彼女のこと見てから話し始めた。
「カルマっていう女の子のこと…」って言って、視線を外した。「…パヴェルが私に触れるたびに、それが見えるし、パヴェルがあの子と話してることとか、聞こえてくるんだ」って言ったら、彼女は目を見開いて、持ってたグラスを隅に置いた。
「マジで?」って間抜けな顔して考え始めた。
「あの女の子は、パヴェルの記憶の一部だと思ってたから、ある日彼にカルマのこと知ってる?って聞いてみたんだけど、知らないって言ってたんだよね」って言ったら、また彼女は私を見た。
「生まれ変わりかもしれないわね」って言われて、何言ってんだコイツって感じだった。
「生まれ…変わりって?」って混乱しながら聞いたら、彼女は椅子に座って、私をじっと見た。
「生まれ変わりっていうのは、もう一回人生が始まることよ。例えば、私が戦争で死んで、何百年か後に、新しい人間として生まれ変わるみたいな」って言われて、笑っちゃった。
「言いたいことは分かったよ」って首を横に振った。「私は何百年も生きてるけど、まだ死んでないから、そんなこと私にはありえないし」って言ったら、彼女はぷいってした。
「パヴェルかもしれないわね。彼が生まれ変わったのかも」って言って、彼女はテーブルからグラスを取った。「でも、カルマはどこなの?パヴェルの前世を、彼が触れるたびに見てるだけってのも、ありえない話だし」って言われて、黙っちゃった。
「そんなわけないよ」って小声で言ったら、彼女も静かになった。「私たち闇の存在は、過去のことなんて見えないんだ。見えるのは未来のことだけ。でも、それも指で数えられるくらいしかないんだ」って言って、彼女を見た。
「なんでパヴェルの過去が見えるの?」って彼女は言って、眉をひそめた。
「あんたらのせいで、頭痛くなってきたわ」って言って、目を閉じた。「三人起こして、もう出発するって言って。あのじいさんと一緒に町に帰るんだから」って言ったら、彼女は咳き込んで、私は目を開けた。
「え?なんでロロ・ガブリエルが来るの?」って聞いてきた。
「パヴェルが王様になるために、彼が必要だからじゃない?」って軽く答えたら、彼女は驚いた顔で私を見て立ち上がった。
「え、ちょ、パヴェルがグランパ・ガブリエルを王にする必要が?! 」って驚いてるから、私は怒りで目を閉じた。
「声、小さくして。小娘」って言ったら、アビアが私のところに来て、まるでお願いするように私の手を握ってきた。
「お願いだから話して。さっきのこと撤回して」って言われて、イライラしながら彼女を見た。
「何があったんだよ?」ってイライラしながら聞いたら、彼女は涙を流し始めた。
「最初から、私は王子様と宮殿の人たちと一緒にいたの」って子供みたいに言うから、私はまた目を回した。「ただの普通の生き物だと思って、たまにパヴェルの頭を叩いてたんだ。まさか彼がウィンソウの十七代目の王様になるなんて」って言って泣いてるから、笑っちゃった。
「誰がお前に彼を殴れって言ったんだよ?」って笑いながら聞いた。
「仕方ないじゃない、クサァラ!嘘だって言ってよ」って言われて、また目を回した。
「お願いだから、私の名前で呼ばないで。別に親しくないし」って言ったけど、彼女は床を転がってる子供みたいだった。
「おはようございます、なに…」
「陛下!」ってアビアがパヴェルを歓迎しながら叫び、部屋を出て行った。
「私がお仕えするにあたって、あなたのことを殴ったり、命令したりしたことは許してください」って言ってパヴェルの前にひざまずいた。パヴェルの唇が少し開いて、アビアがなんでこんな変な行動してるのか理解できなくて、私は笑ってしまった。
「ん?」ってパヴェルは混乱した顔で聞いた。
「許してって言って!」って聖女様が言うから、パヴェルは困惑した顔で私を見て、それからまた聖女様を見た。
「許すよ?」って言ったら、聖女様は突然立ち上がって、パヴェルの肩を抱いた。
「やった!町に帰っても死刑にしないでね」って、困惑したパヴェルに聖女様は言った。
「何が起こってるんだ?」ってパヴェルが聞いてきたから、私は腕を組んで椅子に凭れかかった。
「荷物まとめな。町に帰るよ」って言ったら、パヴェルはさらに眉をひそめた。
「え?まだ何も見てないのに…」
「昨日の夜、あんたが意識ない間に見たの。家にも行ったし…」ってアビアが言いそうになったから、私はすぐに力で黙らせた。
「見たのか?」ってパヴェルが私を見てきたから、私はうなずいた。すると、彼の目は見開いて、すぐに私のところに来た。
「マジで?どうやって?」って聞いてきたから、私は面倒くさそうに言った。
「話すのめんどいから、言うことだけ聞いてて」って言ったら、彼はすぐに顔を上げて笑顔になった。
「了解!」って言って、部屋に走って行って、一緒にいる二人のアホを叩き起こしに行ったんだよね。