CHAPTER 19
結局、人間って絶対いなくなるじゃん。
だったら、私が先にやった方がいい。
「何がしたいの?」って、やっと聞いた。
「またやり直したいんだ。ベイビー、最初から」
マジかよ、って思った。こんなクソみたいなこと言うために電話してくんのかよ。
「無理」って、ハッキリ言った。動じない。
「どういうこと?」って、アイツはアホみたいに聞いてきた。
「もう4年も経ってんのよ、ブラッドリー!!」って、最後の3つの言葉をまくしたてた。「4年間も話してないし、顔も見てないのに、今更電話してきて、こんなこと言ってんの? もうやり直したくないし、あなたのことなんて、どうでもいいんだから」
「ジャスミン、そんなこと言うなよ。俺だけがお前を愛して、大切にしてきた男だろ。お前、まだ彼氏いないんだろ? 俺にさせてくれよ」
フン、って鼻で笑った。
確かに一つだけ当たってた。アイツの後に誰かいたりはしなかった。でも、もうブラッドリーの声とか、あの胡散臭い誘い文句とか、そんなの聞いたら、また好きになっちゃうなんてゴメンだった。
誤解しないでほしいんだけど、ブラッドリーはめちゃくちゃイケメンだったし、あの綺麗な薄茶色の瞳なんて、どんな女の子でも釘付けにできるレベルだった。でも、付き合ってる時は全然落ち着かなかったんだよね。だって、大学のほとんどの女の子があいつの股間に群がってたんだから。でも、もう見た目とか、どうでもよくなってた。あいつの別れ方も嫌だったし。信用できなかったし。信用したくなかったし。それに、すごく束縛してくるタイプだったから。いつも、自分の操り人形みたいに私を命令してきて、私はそれに夢中で、何もかもどうでもよくなってたんだ。
「ブラッドリー、もう私の携帯に電話しないで」って言って、電話を切った。驚いたことに、本当に電話してこなかったんだよね。
次の日、私はいつも通り早起きして、仕事の準備をした。朝ご飯を食べて、仕事用の服を選んで、シャワーを浴びて、着替えて、朝8時のバスに乗った。
オフィスに着いたら、新しい秘書が、お客さんがいるって教えてくれて、受付の椅子に座ってる紳士を指さした。
仕事場に誰か来るなんて、今までなかったこと。
誰かが私を訪ねてくること自体、今までなかったから。
その座ってる人に近づいて、彼の前に立った。彼は雑誌に顔をうずめてた。
「こんにちは、何かご用ですか?」って、私は尋ねた。すごく不思議だった。彼が本を置いて、私と目を合わせた時、誰だかわかったんだ。
「えっ、なんでここにいるの? どうやって見つけたの?」って、私は怒って聞いた。でも、新しい秘書には聞こえないように。
「電話じゃ話したくねえんだろ? だから、直接来たんだよ」
「ブラッドリー、ここはデートするところじゃないの。私の仕事場に、こんな風に来るなんて。頭おかしいの? 」すごくイライラした。「何しに来たの? 何がしたいの?」って、また聞いた。
「話したいんだ、ジャスミン」って、彼は私の低いトーンに合わせてきた。
「あっち行って!」って、できる限り大きな声で囁いた。
「話してくれるまで、行かない!」って、彼は囁き返してきた。
彼の目には、決意と頑固さが見て取れた。ジョシュ・ブライアンさんが来る前に、何とかしないと。こういうことは、社員には許されてないことだから。
「分かった! 一緒にランチしよ。場所は後でメールするわ」って、私は急いで言った。
彼はニヤリと笑った。
「ほらね? そんなに難しくなかっただろ。嘘つくんじゃねえぞ。4時には外で待ってるからな」
彼は立ち上がって、私に近づいてきた。唇が数センチしか離れてない。
マジで、勘弁してくれよ。
「12時にね」って、すごくセクシーな、小さな囁き声が聞こえて、鳥肌が立った。彼は行ってしまい、私はオフィスに急いだ。
12時が来るのが嫌だった。でも、あっという間に来ちゃったみたい。本当に、いつも一人で食べてる、こじんまりとしたレストランの場所をメールしたんだ。
着いた時には、彼はもうテーブルに座ってた。彼は私に手招きして、私はゆっくりと彼に向かって歩いた。席に着いて、メニューを顔の前に高く掲げて、彼の視線から隠れた。彼は無言だったけど、絶対私を見てるって確信してた。
ウェイトレスが注文を取りに来て、メニューを持って行った。
クソ! もう彼の顔を見ないわけにはいかないじゃん。
「元気にしてた?」って、彼は沈黙を破った。
「うん、元気だよ」って、私は答えた。
自分の問題、特にママのことなんか、絶対言うつもりはなかった。
「そういや、全然変わってないな。大学時代のあの可愛いジャスミンのままだよ」
私は作り笑いをした。
「あなたは? 最近どうしてるの?」って、私は聞いた。別に彼の人生に興味があったわけじゃなくて、ただレディっぽく振る舞っただけ。
「ああ、俺はすごくうまくいってるよ。お父さんの何百万ドルもする貿易会社を引き継いで、最近は旅行ばっかりしてるんだ……」って彼は言った。
正直、また自分のことばっかり話してるけど、彼が何百万ドルもする貿易会社を引き継いだって言った時、私は自分の考えに没頭してしまった。