CHAPTER 55
うるさかった。客たちの話し声がたくさんあって、金曜日の夜のライブバンドが曲をガンガン流してるし。
最初に担当したテーブルにショットを運んだ。9番テーブルに向かってる途中で、6番テーブルの3人組に呼び止められたんだ。
「すみません、奥さん。もう30分近く待ってるんですけど、誰も来ないんです。注文、お願いできますか?」
「かしこまりました。ご注文は何にしましょうか?」
注文を受けて、キッチンにオーダー通して、飲み物作った。テーブルに運んで、また9番テーブルに向かった。
「すみません、お嬢さん! お嬢さん!」8番テーブルが呼んでる。振り返った。
「何かお手伝いできることありますか?」
「注文いいですか? もう1時間も前に頼んだのに、まだ来ないんです。確認してもらえませんか?」
「かしこまりました、奥様。申し訳ありません」って言って、キッチンに走った。
またマイケルにぶつかっちゃって、睨まれた。
「ごめん、マイケル」謝った。
「前見ろ、バカ!」って怒鳴られた。
無視して歩き続けた。
「8番テーブルの料理!」って、熱気ムンムンのキッチンに入って叫んだ。
「はい! はい! はい!」シェフのアントニオが叫んだ。キューバ人で、彼のアクセントが好きだった。
3人分の皿を持って8番テーブルに向かい、それから9番テーブルへ。
「こんばんは」って挨拶して、注文を取るためにメモ帳をポケットから出した。
「やっと!」って女の人が叫んだ。「私は、フィレステーキとサツマイモと野菜ライス。飲み物は、メルローのグラスで」
全部メモに書いた。
「あなたは何がいい?」って、向かいに座ってる男性に聞いた。
彼の方を向いた瞬間、彼の目を見て、メモ帳が手から滑り落ちた。
エヴァンの視点
ジャスミンからのメッセージはもう来ない。ようやく理解して、前に進んだんだな。
俺もだよ。
2週間前、両親と妹と一緒に行ったパーティーでアリア・グードに会ったんだ。彼女のヒット曲の一つを歌ってて、一発でやられた。父が彼女の両親と知り合いだったから、素晴らしいパフォーマンスの後、彼女らは両親に挨拶に来た。
アリアと俺はそこから始まった。
彼女は本当に美しい女性だった。長くてサラサラのブラウンの髪、明るいハニーブラウンの瞳、そして最高のスタイル。一目惚れだった。俺も大ファンだったから、まさにwin-winの関係だった。彼女のカントリーミュージックが大好きだったんだ。
それから連絡を取り合って、すごく仲良くなった。
ある日、エミリーと一緒にオフィスに遊びに来て、俺はいつものように、彼女をディナーに誘ったんだ。
2週間後、彼女のスケジュールが空いて、少し時間ができたから、彼女の元バックアップシンガーがアルバイトしてるレストランでディナーに行くことにした。
俺は黒いTシャツに黒い色褪せたジーンズ、足にはシンプルなダークブラウンの革靴、手首にはロレックス。いつもみたいに髪をセットして、ヴェルサーチのエロスをつけて、黒いベントレーのキーを掴んだ。
「あー、ここのサービス、最悪ね」ってアリアが、俺たち2人がレストランに座って、注文を取りに来るのを待ってる時に言った。
「満員だからな」って冗談言った。
メニューをまた見て、1時間くらい経った気がして、ようやくサービスが来た。
「あなたは何がいい?」ってアリアが言ってるのが聞こえた。顔からメニューをどけて、ウェイトレスの方を見た。
心臓が止まりそうになって、まるでタイミングを合わせたみたいに、彼女のメモ帳も俺の目の前に落ちた。拾って、彼女の汗ばんだ手に返した。
「ご注文は何ですか?」って、まるで俺のこと知らないみたいな声だった。
「彼女と...同じ」って答えた。彼女は頷いて、何か書いてる。
メニューを返して、俺の手が彼女の手に触れちゃった。彼女は震えたのがわかった。
まだ俺のこと、意識してるんだな。
「もう結構よ。あなたたちはもう行って」ってアリアが、ジャスミンに手を振って追い払った。
アリアが近づいてきて、俺の頬にキスした。ジャスミンの顔がさらに暗くなって、彼女は振り返ってテーブルから去った。
ジャスミンの視点
ブルックリンは暑かった。額から胸、そして胸の間に汗が流れてきて目が覚めた。布団をどけて、洗面所に行って身支度した。
シャワーに入って、歯を磨いて、髪を洗って、長くお風呂に入った。エヴァンとアリア・グードがレストランに一緒にいるのを見て、また落ち込んで、壊れかけてたんだ。
アリア・フリッキング・グード。
カントリーシンガー。顔は美しくて、長くてサラサラの茶色の髪、美しい瞳、可愛らしい唇、そして素晴らしい性格。みんな彼女が好きで、彼女の音楽を聴いた瞬間から熱烈なファンになる。ギターを持った女神で、マイクの前では歌姫だった。
彼女は全てを持ってる。
外は猛暑だけど、仕事に行かなきゃいけない。今日は給料日で、どうしてもお金が必要だった。
着替えて、キッチンに行った。
「朝シフト?」ってママが聞いた。秘密の材料が入った美味しいパンケーキを作ってた。ナツメグ。