CHAPTER 7
全力で足を使ってバス停まで走った。ラッキーなことに、着いたと同時にサウスブルックリン行きのバスが来たんだ。腕時計を見た。
午前9時50分。
15分で着くから、10時5分にホレンタワーに着いたことになる。つまり、自分のデスクに座るまであと25分しかないってこと。
社員証は持ってたから、セキュリティで止められることもなかった。入り口に走って、エレベーターに乗った、上へ。まるで動物園から逃げ出す動物みたいだって周りに見られても、気にしなかった。
10時15分、ようやく自分のデスクに座れた。向かいには3人の顔があって、私を皮肉げに見ている。
面接だ!って頭がよみがえった。
疲れきってため息をつき、すぐに仕事に取り掛かった。
電話が鳴った。
「次の人を入れて。」
「次の人って誰ですか、サー?」って彼に尋ねた。
「時間通りに来てたら、そんなバカな質問しなくて済んだんだよ。誰でもいいから入れろ!もうどうでもいい!」
彼の言葉は、私の肉を切り裂くナイフのように痛かった。
なんでこんなに意地悪なんだろう?
「次の方、どうぞ」って応募者に言った。
若い女性が、私と同年代くらいに見える人が立ち上がり、ホレンさんのオフィスに向かって歩いていった。涙が胸にこみ上げてきて、目にこぼれそうになったけど、ここで泣くわけにはいかない。
重すぎる。
デスクを離れてトイレに行き、5分間泣いた。ティッシュで目を拭いて、また自分を落ち着かせて、デスクに戻った。
デスクの手前で立ち止まった。数分前に彼のオフィスに入ったあの若い女性が、そこにいたんだ。
「あなたはミス・ブラックマンですか?」って彼女が尋ねた。
私はうなずいた。
「ホレンさんが、すぐオフィスに来てほしいそうです」って彼女はまた言った。もうすでにプロフェッショナルな感じがした。
ああ、もう私をクビにしたんだ。彼が「すぐ」って言葉を使って誰かのオフィスへの呼び出しを命じる時は、悪い知らせに決まってる。
彼のオフィスに向かい、ノックしてドアノブを回した。ドアを開けて入った。恐怖が私の動きを遅くさせた。
彼は私に背を向けていた。
椅子の上でくるっと向きを変え、私と対面した。彼の目は私を捉え、どんどん暗くなっていく。
これは絶対、マズイ。
エバンの視点
彼女が自分のオフィスで私のデスクの前に立っているのを見ていた。彼女の態度にイライラしたんだ。すでに遅刻してきて、やっと来たと思ったら、彼女のデスクに電話しても出ない。ミス・ブラックマンが見当たらないから、代わりに面接者を入れなきゃいけなかったんだ。
彼女こそ、もっとわかってるはずなのに。私は怠け者が嫌いで、彼女はそうなってきていた。それはすごくガッカリだ。彼女は私が雇った最高の従業員の一人だったし、彼女を雇ったことを後悔したくなかった。
「ミス・ブラックマン、これはどういう意味ですか?」って私は彼女に尋ねた。さっきデスクにいなかったことについて言ったんだ。
彼女は答えを躊躇した。っていうか、何か間違ったことを言うのが怖いんだろう。彼女をよく見てたら、メイクがにじんでることに気づいた。
泣いてたんだ。
もしかして、お母さんのことかな。
一体、彼女のお母さんに何があったんだろう?
「すみません、ホレンさん」って彼女はどもりながら、恐る恐る頭を下げた。震えてる。彼女がクビになるかもしれないような状況にいることへの恐怖のサインを全部出してるんだ。
「デスクを片付けて」って私は彼女に言った。彼女はその言葉にたじろいだ。
彼女はゆっくりと踵を返し、何も言わずにドアから出て行った。
デスクの上の携帯電話が鳴った。発信者番号を見て、すぐにニヤリとしたけど、鳴らしっぱなしにした。
彼女がまた電話してきたとき、私は仰向けに笑った。
ジェシカ・ヒルズだった、高校時代の元カノだ。どうやら、ジェシカは私とまた連絡を取り合って、仲良くなりたいらしい。最後に彼女のことを聞いたのは、カナダに行って従兄弟たちと暮らすってことだった。
「もうブルックリンに戻ってきたんだな」って私は心の中で思った。
「なんで私の携帯に電話してくるんだ?」
「一体どうやって私の番号を知ったんだ?」
「きっと最初にうちの家族の豪邸に電話したんだな。パパなら誰にでも私の番号を教えるだろう。」
ううっ!!
携帯電話の電源を切って、オフィスを出た。
ミス・ブラックマンは最後の持ち物を集めて、箱に投げ込んでいた。私が雇った面接者はデスクで電話を受けながら、ミス・ブラックマンをちらちら見ていた。私は他の面接者を別の階に移動させて、そこで面接をすることにした。もうやる気になれなかったんだ。
ミス・ブラックマンが荷物を詰め終わると、デスクの後ろから出てきて、適切な距離に立った。
「機会をいただき、ありがとうございました、ホレンさん。本当に感謝していますし、あなたのために働くことができて光栄でした」って彼女は言い、喉に涙を詰まらせて、ゆっくりと踵を返し、エレベーターに向かって歩き始めた。
一体どこへ行くんだ?
「ミス・ブラックマン」って私は彼女を呼び止めた。
彼女の歩みが遅くなり、私の方を向いた。
「大丈夫です、サー。私は大丈夫です」彼女は再び去ろうとするところで、私は彼女の後を追いかけ、エレベーターに乗る直前で彼女を止めた。