第57章
マジでムカつくやつだよ、アイツ。今までで一番ムカつく奴。アルカディアはアイツの攻撃をかわして、アイツの金属がファーザーのとぶつかり合う。
「俺と勝負しろっつーの!」
ファーザーはアイツをちょっと押し戻して、アルカディアは攻撃のチャンスだって思った。アイツの目に一撃食らわせて、力で粉々になるのがわかった。そんで、アイツの顔を爪で引っ掻いて、また傷をつけちゃった。
アイツは地面に倒れて、痛そうに足バタバタさせて、血まみれの顔を抑えてる。アルカディアはメイスの方に向き直って、倒れた兵士から奪った短剣を取り出した。
「降伏する?」
アイツの首にギリギリのところに刃を突きつけて脅す。
「…はい…降伏します…」
アイツは負けたって感じで言うと、クセルクセスはめっちゃ嬉しそう。
「いいね!みじめな人生は許してやるよ」
アイツを地面に叩きつけて、相応しい場所に置いた。「ファーザー、片付けよう。シェイラはどこ?!」
アルカディアは異母妹を探そうとすると、ファーザーが
「アルカディア、あいつら見とけよ。俺はシェイラ探しに行く」
って言って、代わりに探すことにした。アルカディアは、自分の野望を叶えるために、アイツらを玉座の間に連れて行って、メイスの玉座によじ登ったんだ。
「アルカディア女王万歳!北と南の支配者!世界の女王様!」
自分を褒めて、大勢の人が歓声を上げてるのを想像した。マザーが生きてるって思い出して、顔が優しくなる。コナンも。アルカディアは歯を食いしばった。アッシャーに任せといたから、そのうち連れてくるはず。
「妊娠?ありえない!」
アルカディアは絶望して叫んで、体を起こそうとしたけど、オクタビアが髪を優しく撫でて落ち着かせた。「妊娠してない!」
信じたくないけど、最近体調悪いのは、そのせいかもしれない。
「検査しないとわかんないけど、妊娠してるみたい。最近、体調悪かった?」
オクタビアは、アルカディアの手を優しく引いて、ゆっくりと歩き出した。だって、今はデリケートな時期だからね。シェイラはうなずいて、オクタビアの目は周りを見回した。「ロキ?」
傷つくのがわかってたし、実際に傷ついた。
熱い涙が頬を伝う。頭からあのイメージが消えない。あいつは武器を向けてきた。殺そうとしてた。一緒に色んなこと乗り越えてきたのに。武器を向けてきた。
「シェイラ、ここにはいられないわ。医者に見てもらわなきゃ」
オクタビアは、ショックを受けてる狼を前に進ませて、本当に可哀想だって思った。ロキはもうシェイラのこと嫌いだし、子供には父親がいないんじゃないかって考え始めたんだ。
「なんでこんな目に遭わなきゃいけないの?何が悪かったの?」
シェイラは、これらの疑問に対する答えを求めていたけど、女王様は何も持ってなかった。女王様はただ、シェイラの肩をさすって、さらに宮殿の中へ入っていく。床には死体が散らばってて、二匹の狼の怒りの結果だった。大勢の人が死んだんだ。
その光景を見て、オクタビアは若い頃の戦争を思い出した。マグナスの権力欲のせいで、兄弟姉妹をたくさん失ったんだ。シェイラをしっかりと抱きしめながら、足を死体の上を跨いだ。人生のこの転換期には、全てのサポートが必要だった。
「シェイラ!シェイラ!」
クセルクセスが呼んで、シェイラは返事をしなきゃって思った。だって、クセルクセスは、シェイラにとって、ある意味お父さんみたいな存在だったから。
「ファーザー!」
シェイラは、声のする方へ走っていった。
「シェイラ、気をつけろ!」
オクタビアもシェイラを追いかけて、夫に泣いてるのを見て、急ブレーキ。
「大丈夫だよ、なんで泣いてるの?」
クセルクセスの声はか細かったけど、オクタビアの呼吸は聞こえるくらい大きくなって、人生の愛を見て、メイトを見た。左目から涙がこぼれて、息を荒げ始めた。少しだけ、笑顔が浮かんだ。シェイラは、大きな声で涙を流して、クセルクセスはシェイラを抱きしめて、一人じゃないことを伝えた。何が原因なのかはわからなかったけど、また子供みたいに泣いてるのを見て、大変なことだって感じたんだ。
匂いが鼻孔に入ってきて、思い出がフェロモンの味と共に蘇る。顔を上げて、涙を浮かべて笑顔の妻を見て、青い目が震え始めた。オクタビアを見て。
「クセルクセス…本当に君?」
オクタビアは涙を拭いながら、クセルクセスに近づいていく。足が地面に着くたびに、優しく音がして、近づいてくるにつれて、クセルクセスの心臓はドキドキした。「愛しい人…」
オクタビアは、もう一度抱きしめてもらおうと、手を伸ばした。
クセルクセスはゾッとした。マグナスに殺された時の記憶が、ものすごいスピードで蘇る。オクタビアが本物なのか、それとも幻なのかわからなかった。それから、ある朝、鏡台で見つけたバラのことを思い出した。オクタビアの匂いだったけど、死んでたはずなのに。今は本物を見ている。
無意識のうちに、クセルクセスの手がオクタビアの手に伸びて、指が絡み合った。胸は明らかに激しく上下してたけど、嬉しすぎて、他のことはどうでもよくなった。
「オクタ…オクタビア?」
クレイジーな笑顔が広がり、ハグをした。オクタビアはクセルクセスに泣きつき、クセルクセスも涙を止めることはなかった。「永遠に失ったと思ってた」
自分のメイトを連れ戻してくれた女神に感謝した。
「約束は絶対に破らないよ。特に君にはね」
オクタビアは、クセルクセスから離れて、あの瞳を見た。毎晩夢に見てた瞳。死んで土の中で朽ち果てそうになった時、戦う力をくれた瞳。クセルクセスはオクタビアを生かしてくれた。一緒にいたいという気持ちが、オクタビアに毎日息をさせてくれた。今は息ができないくらい感動してる。
シェイラは、王と女王のハグを見て、満たされた気持ちになった。もう泣き止んで、喜びの涙を流し始めた。自分にとっては、一族が襲われた時に失った家族だった。
「アルカディアは?私の娘はどこ?また会いたい!」
北の新しい女王に会いたくてたまらないシェイラに、クセルクセスは笑いをこらえきれなかった。
「あの娘は、自分のいるべき玉座にいるんじゃないかな。メイスは諦めたみたいだし、俺たちがこの地を支配することになったんだ」
嬉しい知らせに、女性たちは飛び跳ねて喜んだ。オクタビアは感情が込み上げてきて、涙が止まらない。クセルクセスは涙を拭いて、額にキスをして言った。「会いたかったよ、オクタビア」
オクタビアは何も言わなかったけど、キスをした。
私もだよ。
「なんでお前の命を助ける必要があるのか教えてくれ」
アルカディアは玉座に座って、コナンのことを見下ろした。
「陛下、アッシャーのせいなんです!アッシャーがそうさせたんです!」
コナンの置かれた状況はひどいもので、兄弟というやつはどこにもいない。
「嘘だ!」
アルカディアは扇子を出し、コナンの魂は体から出て女神の元へ帰った。
「女王様、待ってください!」
アッシャーが玉座の間に走ってきて、メイスとツァーが縛られているのを見て、連れてきた仲間はロキをコナンの兄弟とベータの隣に落とした。「全部俺のせいなんです。あなたはどうなってもいいから、コイツだけは助けてください。コイツは命令に従っただけなんです、盗んだわけじゃありません」
アッシャーが白状すると、アルカディアは明らかにピクピクした。
「お前のジョークのせいで、戦争することになったってか!?」
アルカディアは、もうこんな男たちにはうんざりだ。「出てけ!二度と顔も見たくない!」
そして、アッシャーの心は粉々になった。
「ほら見ろ、お前は一体何をしたんだ」
コナンが横からコメントすると、アッシャーはひざまずいた。
「お願いです、少し個人的な話をさせてください」
その要求に、みんな目を見開いた。アルカディアは少し考えて、まだ怒ってたけど、うなずいた。それでも、アッシャーのこと、ちょっとだけ好きだったんだ。
「兄貴、大丈夫?」
ロキがメイスに囁いたけど、メイスはほとんど話す力もなくて、うなずくだけ。「逃げようと思ったけど、今は従うしかないな」
「もう終わりだ。あいつは俺たちを許さないだろう。死んだと思え」
ツァーが言うと、アルカディアは、やつらがこそこそ話してるのが見えた。
「黙れ、お前らのベラベラ喋る口を切り刻んでやる!」
アルカディアが怒鳴ると、やつらは従うしかなかった。「役立たずめ!お前らの口から出てくるのは、そんなことばかりだ!」
アルカディアはしかめっ面をしてから、また落ち着いた。
「言ったでしょ、あの娘は私に似てるって」