証人たち
晩ご飯の後、俺らは部屋で黙って座ってた。ここじゃ明るい時間はあんまりすることないんだよね。外に出るのは危ないし、見つかったら大変だし。だから一日中この家に閉じ込められてる。俺はベッドに座って、グレイが「普通の服」を脱いでた。晩ご飯の時は、誰ともマインドリンクしないってルールがある。携帯もオフ。そうすることで、お互いに集中できるんだ。グレイは、お母さんのことで落ち込んでて、話したくないんだろうなと思ってたんだけど、全然違ってて、めっちゃおしゃべりで楽しそうで、マジびっくりした。でも、ここ数日落ち込んでたから、グレイが楽しそうにしてるのは嬉しかった。
「晩ご飯終わった頃かなって思ったから、連絡したんだ。ブロックされてないし。ごめん、キングに電話で爆弾発言しちゃって。マインドリンクは使えなかったんだよね。俺はもう出たんだけど、アイツも一緒でさ、聞く耳持たなかったんだ」エリックの声がマインドリンクで聞こえた。俺は、まだ着替えてるグレイを見た。
「グレイが会いたがるかな? あのニュースのこと、結構落ち込んでて、『悪い女』ってずっと言ってたし」俺がそう言って、マインドリンクから戻ると、グレイが俺のこと見てた。ため息をついて、誰と話してるか嘘つけないの分かってる。「エリックだよ。お母さんから出てきたんだけど、一緒に来たんだって。置いていけなかったみたい」俺が言うと、グレイはめっちゃ怒って壁を殴った。うわ、そんな反応は予想してなかった!
「来るなよ! あいつの旦那が、俺の仲間の命を危険に晒したんだぞ! どっちのペテン師親父も、同じことさせない!」って、グレイは怒鳴った。俺が何か言おうとしたら、俺より先に「今、俺はめちゃくちゃ怒ってるから、お前も、俺にも近づくな!」って唸った。なるほど、そういうことか。
「状況報告。アイツを、見つけた場所に連れて帰ってもらわないとダメみたいだね。グレイは会いたがらない」俺はエリックにグレイの決定を伝えたんだけど、すぐ返事が来た。
「それは無理だ。クララ。アイツは、息子と話すまでどこにも行かないって言ってる」エリックがパニックになってる。マジでビビってるみたい。なんかあったのかな。車の事故の時でさえ、あいつは結構冷静だったのに。アイツのこと、なんかしてないといいけど、ただの仕事だし。
「お母さんは、帰りたくないんだ?」グレイが聞いてきたから、俺は頷いた。グレイの顔が一瞬で無表情になったけど、誰かとマインドリンクしてたんだ。「問題は片付けた」って言って、マインドリンクを切った。俺は、どうやって片付けたのか分かんなくて、一瞬呆然とした。「エリックに、何させたの?」俺はグレイを見上げて聞いた。怒ってるのは分かるけど、後で後悔するようなことして欲しくないし。「問題に対処してもらったんだ。それ以上は何も言うな、マイ・ラブ」って言って、また俺に何も教えてくれない。なんか嫌な予感がするんだ。「今、怒ってるかもしれないけど、お母さんだよ、グレイー」って言いかけたけど、グレイは首を振って、窓の外を見た。空はどんどん暗くなってた。「違うんだよ、マイ・ラブ。俺のお母さんは、10年以上前に死んだ」って、グレイは振り返りもせずに言った。何したんだ?
次の日の朝
グレイは、昨日の夜何があったのか、全然話してくれなかった。エリックにマインドリンクしようとしても、全然返事がない。エリックに、お母さんを傷つけるように命令してないといいけど、今は良くても、後で後悔するんじゃないかなって。俺は、エリックを待ってる間、グレイと一緒にオフィスに座ってた。会ったら、ほんのちょっとでもいいから、何があったのか教えてくれるといいんだけど。
グレイは、何もなかったかのように振る舞ってた。いつも通りのグレイで、仕事してた。それ見て、ちょっとだけ希望が持てたんだよね。ただエリックに送り返させただけなのかな? なんで言ってくれないんだろう?
「マイ・ラブ、お城の状況だけど、俺らの寝室の修理が終わったし、ガードが周りの修理も始めてるみたい。全部うまくいけば、もうすぐ家に帰れるよ」ってグレイは俺に微笑んだけど、全然気分良くなかった。ルパートがどこにいるか誰も知らないのに、帰るのが怖い。「心配しないで、マイ・ラブ。ルパートの場所が分かって、安全だって確信がない限り、お前を城には戻さないよ」って真剣な顔で言って、俺は頷いて地面を見てた。
グレイに返事する前に、エリックとジョシュがファイルを持ってオフィスに入ってきた。エリックに会えて、俺は嬉しかった。よく見たら、エリックはアザだらけで、顔に切り傷がいっぱい。昨日ここを出た時は、あんなじゃなかったのに、グレイのお母さんにやられたのかな? エリックは俺のところに来て、笑顔で机にファイルを置いた。俺は、何があったのかって感じで眉毛を上げた。エリックの目は、ジョシュと話してるグレイを見て、それから俺に戻ってきた。グレイに言われたことって、この怪我のこと?
別の部屋に行こうかなって思ってた。グレイに邪魔されずに、顔のこととか聞きたかったし。でも、俺が話す前に、グレイが俺とエリックに話しかけてきたんだ。「2人とも、ここに一緒にいてくれないか? 2人がどんなふうに事件を追ってるのか見たいし、あと、ルパートに関してなんか調べてるって聞いたから、それも聞きたいんだ」ってグレイは言って、主に俺を見て微笑んだ。俺はエリックを見たけど、エリックはちょっと困惑してる感じだった。「いいけどさ、お父さんに関して俺らが発見したこと、見たくないと思うけど」って言うと、グレイは一瞬困惑した顔をした。「例えば?」グレイは眉毛を上げて聞いてきた。俺は、またエリックを見た。エリックはゴクリと唾を飲み込んだ。グレイとジョシュは、2人とも困惑した顔をしてる。俺はため息をついて、質問に答えた。「マチルダだけじゃなくて、お父さんが殺した家族がいたんだ」って言って、グレイの方を見たけど、グレイはちょっと引き気味。「だから、同じ部屋で一緒に事件を追うのは、良くないと思うんだ。それに、書類とか、壁に貼ったりしてるし、邪魔になっちゃうでしょ」俺がそう言うと、エリックは机からファイルを取って出て行こうとし始めた。俺も部屋を出ようとしたら、グレイが俺の腕を掴んで止めた。「全部教えて」って、グレイは俺を見て言った。俺を傷つけるわけじゃないけど、逃げられない。「グレイ、信じて。全部話したら、君も知りたいって思うはず。でも、まだ全部は話せないんだ」俺は言って、エリックがドアを開けて待ってるから、全部話す前に、出ていく準備をしてた。「それに、お父さんがマチルダに何をしたのかも分かったんだ。君には聞きたくないだろうけど」悲しそうにグレイを見て、マチルダに何があったのか考えて、涙が出てきそうになった。「兄として、知るべきことだと思う」グレイは言った。俺は、またため息をついて頷いた。エリックがドアを閉めて、部屋に戻ってきた。エリックはゆっくりと机に戻って、ファイルに目を通した。それから、机の上のスペースを空けて、何か話そうとしてた。でも、俺も、何について話すか、心の準備をしてたんだ。「事件を追う中で、マチルダについても調べてて、何があったのか色々分かったんだ。あの時、湖で何があったのか、君に言った時はっきりしてなかったけど、今はもう違う」俺はグレイをちらっと見たけど、特に言いたいことはなかったんだ。「最初、難しかったんだ。お父さんが何をしたのか、目撃者はいないと思ってたんだけど、お父さんとマチルダだけじゃなかったんだ」エリックが話を続けた。俺は書類を整理した。「他の人もいたの?」ジョシュが驚いたように聞いた。お父さんは絶対に話さないと思ってたんだろう。「そうなんだ。全部で3人いたんだ。お父さんとマチルダは当然だけど、あと1人。名前を見た時、マジでびっくりしたよ」俺は書類を取り出して言った。「この数ヶ月、俺らをずっと苦しめてきた人なんだ。この部屋にいる全員が、その人に影響されてるんだ」そう言うと、2人とも動きを止めて考え始めた。すぐに、分かったみたいで、口をあんぐり開けてた。「まじかよ」ジョシュがそう言うと、俺は写真を見せてあげた。