何も進まない
次の日の朝、プレストンの裁判の日だった。 前はもっと緊張すると思ってたんだけど、意外とそうでもなかったんだよね。 まず、サイラスとオヤジがいるし、あいつのことめっちゃ調べたし、あいつ、自白もしたんだぜ! マチルダのためにある程度の刑務所行きは確定だし、他の犯罪の証拠も山ほどあるから、これは完勝だ!
一番イケてる服を着て行ったんだけど、でも、あんまりイケすぎないやつ。 これで、オヤジとマムといるのは最後の日だって分かってたから。 裁判が終わったら、別の家に引っ越すんだ。 一つは、ここは一時的な避難場所だから、ずっと住むようには作られてないってことと、もう一つは、昨日サイラスが来たから、あいつから安全じゃなくなるからなんだよね。 結局、ガードにあいつのことずっと見張ってもらってるんだけど。
リビングルームに続く階段を下りて行くと、マムがオヤジのネクタイを締めてたんだ。 先週、グレイにやったみたいに。 グレイのこと言えば、マジで恋しかったりするんだよね。 距離が心を強くするっていうのは、本当のことなんだよな。 いつか、あの時のことについて話さなきゃいけないのは分かってるけど、彼に対してネガティブな気持ちは全然ないんだ。 彼はあの時、正しいと思ったことをしたんだし、それを責めることはできないよね。
で、オヤジとマムだけど、マジで今までで一番かっこよく着飾ってた。 オヤジはスリーピーススーツだし! マムは黒いドレスで、めっちゃスタイル良く見えてた。 マムはいつも、あたしが子供の頃から可愛かったし。 サイラスのメイトみたいに、いつも最新のトレンドとか分かってる感じ! ドアをノックする音がして、あたしに笑顔を向けてきたから、エリックだって分かって「入れ!」って叫んだんだ。
エリックはいつもスマートだけど、今日は特に気合が入ってるって感じだった。 入ってくる時、めっちゃ緊張してるみたいで、最初は何か悪いことでもあったのかって心配したんだけど、あたしの考えてること分かったみたいに、笑顔で首を横に振ってきた。 いやー、よかった!
「今日だよ」って、エリックはあたしに笑いかけてきたんだけど、正直言って、オヤジにそこまで話したことないと思う。「みんなが自分の話通りにして、何かサプライズとか起きなければ、大丈夫だと思う」って続けてたんだけど、あたしの人生はサプライズばっかりだったから、別に新しいことじゃないんだよね、マジで。
細かいことについて、最後にちょっと話してから、出発の時間になった。 オヤジはめっちゃ緊張してるんだけど、マムはうまく慰めてた。 エリックとあたしが先に外に出て、家の外には車が2台待ってた。 1台にはガードが周りにいて、これはあたし用だって分かった。 城とか、女王の生活から離れて、考える時間もできたって認めなきゃいけないんだよね。 確かに、めっちゃストレスで髪の毛をむしりたくなるような時もあるけど、恋に落ちた瞬間もたくさんあったりするんだ。 例えば、みんなに会うと、めっちゃ温かく迎えてくれるし、特に子供達。 あたしが行くと、キラキラした顔になるのを見るのが好きだし、いつも花とか、作ってくれた写真とかくれるし、それ専用の部屋もあるんだ。 大変な仕事だけど、世界で一番大切に思ってるんだ。
三台目の車が止まって、あたしの考えはそこで止まったんだ。 エリックの方を見てみると、なんか混乱してるみたい。 ドアが開いて、出てきたのは、カイルだった。 あいつが来るなんて知らなかったし、両親がどこにいるかも知らなかったはずなのに。 すぐに、めっちゃハグされた。 あれは、彼の心配ハグだって分かったんだ。
「もう二度とそんなことすんなよ。数日前にグレイソンから、お前がいなくなったって電話があったんだ」って言いながら、あたしを強く抱きしめて説明した。 だから、カイルのパックじゃなくて、両親の家に来たんだ。 グレイがあたしを探すとしたら、まずそこだって分かってたから。
「ちょっとだけ休みが欲しかったんだ。 マムとダッドと一緒にいたんだ」ってあたしが言うと、彼はあたしの後ろを向いて、明らかに両親を見てた。
「面倒見てくれてありがとう」って、少しの間だけど、彼らに話しかけてた。 まさか、彼が会話を始めるとは思ってなくて、ビックリした!
「お礼を言う必要はないよ。お前ら2人の面倒を見るのは、何年も前からやっておくべきだったことなんだ」って、オヤジが言った。正直、カイルがそれを聞くのを好きかどうか分かんなかったけど。「そういえば、めっちゃかっこよくなったな息子よ。最後に会った時より、ずっとタフになったな」って、オヤジが会話を始めようと笑顔で言ったんだけど、確かにその通りだったんだ。
「パックのアルファになると、そうなるんだよ」ってカイルも笑顔で答えた。仲良くなってる! まさか、こんな日が来るとは!「グレイソンが呼んでくれたんだ。裁判で、見慣れた顔がいたら、お前の役に立つんじゃないかって思って」って、カイルがあたしに注意を向けた。 もう、両親との会話は十分かなって感じ。
「裁判の話だけど、そろそろ行こう」って、エリックが自分の時計を見て言った。 あー、あたし裁判のこと、一瞬忘れちゃってた。
すぐに、みんな車に乗って裁判所に向かったんだけど、一番大事なのは、グレイ。 すぐに裁判所の1マイルくらい手前で車を止めた。 あたしが裁判に関わってるって、みんなに気付かれたくなかったから。 エリック、カイル、あたしは歩いて行くことにして、両親は車で到着する予定だったんだ。
ほとんど無言で歩いて行ったんだけど、緊張がようやく落ち着いてきた感じ。 特に、あたしとエリックはね。 カイルがいてくれて、本当に良かった。 なんでか分からないけど、彼がいるとすごく落ち着くんだ。 子供の頃から、いつもあたしを落ち着かせてくれたから、サポートシステムなんだよね。 すぐに裁判所が見えてきて、最初に見た時は衝撃だった。 デイジーの裁判の時も、人が多かったと思ったけど、比べ物にならないくらい人がいた。 他のどこかの場所から来たように見られたくなかったから、城から来たように見せようと思って、回り道することにしたんだ。 途中で、エリックとカイルは分かれて、カイルの裁判所へのパスを取りに行ったんだ。 あたしは一人で歩いて行くと、誰かを見つけた。 グレイが一人で立って、自分の靴を見てたんだ。 あたしがいるって気付いたみたいで、すぐに顔を上げて、あたしの方を見てきたから、ちょっと笑って近づいて行ったんだ。 彼は真ん中であたしと会って、ただあたしを見てた。
「久しぶり」ってあたしが笑って彼を見上げると、彼はちょっとだけ笑顔になったんだけど、心配してるって分かった。「あの時、あなたが何をしたのか分かってるよ。あたしのことだけを考えてたんだよね」って言って、彼の両手を取った。 彼はすぐに、その手を強く握り返してくれた。「それに、キングとしては、あたしに言えないこともあるのは知ってるけど、もしまた同じようなことが起きたら、あたしに話して欲しいんだ。2人で解決策を見つけられるから」ってあたしが笑うと、彼はすぐに頷いた。 この時、彼がまだ何も話してないことに気づいたんだ。
「愛してるよ。二度とそんなことにはならないようにするよ。君を軽視された時の怒りは、-」って、彼は話し始めたんだけど、あたしが彼の鼻にキスしたら、すぐに止まって笑顔になった。「お願いだから、もう二度とあたしから逃げないで。君がいなくなった時の苦しみは、想像もできないようなものだったんだ。二度と味わいたくない苦しみだよ」って、彼の声には悲しみがこもってた。
「もう、十分学んだでしょ」って笑って、彼の首に腕を回して抱きしめた。 彼はあたしを近くに引き寄せて、あたしの腰に手を回した。「さあ、お父さんを訴える準備はできた?」ってあたしは眉をひそめて尋ねた。 それは、人生でなかなか言ったり聞いたりすることじゃないよね。
「過去数ヶ月に起きたすべてのネガティブな出来事と一緒に、彼を片付ける準備はできてる」って言って、あたしの唇にキスをした。 キスが終わると、あたしの名前が呼ばれるのが聞こえたんだ。
すぐに、またハグされたんだけど、最初は誰だか分からなかった。 でも、すぐにデイジーだって分かったんだ。 彼女の裁判以来会ってなかったんだけど、何ヶ月ぶりかのハグだったんだ。
「クララ、本当にありがとう。あなたがいなかったら、今ここに立ってなかったわ。裁判で助けてくれて、全部をかけてくれたわ」って泣きながら、あたしを抱きしめたから、あたしはただ笑って首を振ったんだ。
「恩返ししただけだよ。ルパートからあたしを助けるために、あの時全部をかけてくれたんだから、感謝してもしきれないわ」って笑うと、カイルとエリックが近づいてきた。 カイルは首に青いストラップをしてたから、あれがパスなんだろうね。
「2人は裁判でお互いの隣に座ることになるよ」ってエリックが説明して、デイジーとカイルは頷いて、裁判所の中に入って行った。
「準備はいい?」ってエリックが笑顔で尋ねたから、グレイの方を見ると、彼は笑って頭を振ったんだ。
「いつでもいいよ」って答えて、グレイの手を取って、エリックとジョシュを後ろに従えて、裁判所に入って行ったんだ。
さあ、どうなることやら!