第79章 蘇 悦の失踪
パープル・ニンの疲れが吹っ飛んで、ス・ユエの方にダッシュ!心臓バクバク!
ス・ユエが月に関する何かを見つけたって確信があったんだ。
そう思って、パープル・ニンはス・ユエのとこまで走って行ったんだ。結構距離があったんだけど、ス・ユエの手の中にあるものを見てビックリ!
やっぱり、あれは「月」だ!
パープル・ニン、ゴクリと生唾を飲み込んで、冷静なフリして、ス・ユエにゆっくり近づいた。その球体から、一瞬たりとも目を離せない。
「ス・ユエ、それ何?早く見せて!」
ス・ユエが反応する前に、我慢できなくなったパープル・ニンは、月を奪い取ろうと手を伸ばした。
ス・ユエは振り返ると、パープル・ニンの目のギラギラした欲しがり方に気づいて、反射的に手を引っ込めた。そして、パープル・ニンの横をサッとよけたんだ。
「うーん、私もよく分かんないんだよね。でも、タダモノじゃないと思う。」
パープル・ニンの下心に気づいてないフリして、岩の上に座って、ス・ユエはパープル・ニンから少し距離を置いた。
パープル・ニン、あっけにとられて、ちょっとイライラ。顔に出そうになる怒りを必死で抑えて、作り笑顔でス・ユエの隣に座ったんだ。
「あれはさ、この火山の中で一番貴重な宝物だって伝説があるんだよ。手に入れたら、すっごい力がアップするだけじゃなくて、自分の血と一体化して無敵になれるんだって!」
そう話すパープル・ニンの目は、どんどん欲に染まっていく。期待もどんどん大きくなっていく。
絶対に手に入れたい!
ス・ユエは考え深げに頷いて、自分の手にある光るものを見て、考え込んだ。
こんな貴重なもの、学校に提出しなきゃダメだよね?嘘はつきたくないけど、ちゃんと対策しないと…?
しばらく考えて、ポケットにしまっちゃった。
「ちょ、ちょっと、何してんの?ケチだなぁ。ちょっと見ることすらできないの?」
パープル・ニンは人が変わったみたいに、もう丁寧な言葉遣いじゃない。ス・ユエを見ると、まるで宝物を奪い合う敵を見るような目つきになった。
ス・ユエは慌てて説明した。「誤解だよ!私が独り占めしたいわけじゃなくて、学校に渡す前に、私が一時的に預かってるだけなんだ。万が一のことがあっては困るから…」
「何が預かるだよ!偉そうにしてんじゃないよ?私たち二人でここまで来たのに、今になって一人で持って行こうなんて、そんな理由じゃ納得できないよ。それに…」
「それに?」
パープル・ニンは目をキョロキョロさせて、内心ニヤニヤ。「私が持たせてよ。あと二千キロも下山しないといけないんだからさ。私がちょっと持って、君がちょっと持って、先生に手柄もあげられるし、私も触らせてよ。」
パープル・ニンは、ただ見たいだけって顔して言ったけど、ス・ユエは少し心が揺れた。
まぁ、パープル・ニンが道案内してくれなかったら、こんなとこで遭難してたかもしれないし、結局先生に渡すことになるんだし。こういう宝物なら、ちょっとくらいじっくり調べてみるのもアリかも…
ス・ユエは考えたけど、パープル・ニンの提案に返事はしなかった。
ス・ユエがぼーっとしてるのを見て、パープル・ニンの口角がちょっと上がって、手を伸ばして月を奪い取った!
不意をつかれて、月はパープル・ニンの手に渡ってしまった。
ス・ユエはドキッとして、パープル・ニンの手にあるものを見て、不安になったんだ。この月を、簡単に取り返せる気がしない。
「パープル・ニン、早く返して!」
「え、返して?もう私のものになったんだから、そう簡単には返さないよ!」
もう知らないパープル・ニンだ。ほとんどイッちゃってるみたいで、ス・ユエは危険な雰囲気がどんどん近づいてくるのを感じた。一番怖いのは、この底なしの欲。もう満足するまで止まらない。
「ハッキリ言って、私はそれが欲しいだけなんだ。君がいなかったら、どうすることもできなかったと思う。」
どういう意味?
ス・ユエが不思議そうにしているのを見て、パープル・ニンはニヤリ。「月っていうお宝は、才能ある人にしか手に入らないんだよ。私の選択は間違ってなかったってこと!」
そーゆーことか!利用されたんだ!
ス・ユエは、体の両側で拳をギュッと握りしめた。この理由で私を騙したんだ。私もお宝を取り返したい!
「返して!」
ス・ユエの声は、そんなに大きくなかったけど、殺気がこもってた。歯を食いしばってるのを見て、本当に我慢してたんだな、って思った。
「ふーん、私と勝負したいって?君のレベルで?」パープル・ニンはそう言って、立ち去ろうとした。
ス・ユエは、こっそり「テレポート」の魔法を使って、パープル・ニンの前に立ちはだかった。
魔法を使い始めたってことは、宣戦布告ってことだよね。今日、戦わないと、この月は取り返せないのかな?
「ハリケーン」パープル・ニンはもう片方の手で魔法を発動させて、この火山にある大小の岩を、強風と一緒にス・ユエに向かって飛ばしてきた。
ス・ユエの髪は強風で吹き飛ばされ、目が霞んで、パープル・ニンの姿がよく見えない。
「こんなので、私からお宝を奪おうなんて笑える!」
パープル・ニンは服のホコリを払って、堂々と歩き出した。ス・ユエは急いで魔法を使って、この強風に抵抗し始めた。
結局、実力差があって、ようやく落ち着いたのは、30分後。
だけど、まだ終わりじゃない。鋭い石が、ス・ユエのふくらはぎに当たったんだ。前に怪我したとこに、ちょうど。
軽い治療しかしてない傷に、また強烈な一撃。血が出始めた!
ス・ユエはそんなこと構ってられず、立ち上がってパープル・ニンを追いかけた。
パープル・ニンの手にある月、突然暴れだして、落ちそうになるのを、必死に掴んだ。
このお宝、一体どんな性格なんだ?なんでこんなに扱いにくいんだ?
ス・ユエが近づけば近づくほど、お宝は活発になって、パープル・ニンの力じゃ、もう制御できなくなってきて、頭から汗がポタポタ落ちてきた。
ついに、パープル・ニンが息を切らした瞬間、月は彼女の手から逃れて、後ろに転がっていった。
そっちを見ると、ス・ユエが追いかけてきてる!
パープル・ニンは魔法を使おうとしたけど、月が彼女のふくらはぎに転がってくるのを見た。ス・ユエは、まさかお宝が自分に近づいてくるなんて、思ってなかったみたい。
びっくりした顔してる。
ボーッとしてる間に、お宝は彼女の血が出てる場所に貪欲に吸い付いて、ス・ユエの力は少しずつなくなって、顔は真っ青になった。
パープル・ニンは、まさかこんなことが起こるなんて思ってなくて、どうすればいいのか分からなくなった。
ただ呆然としてたら、ス・ユエが地面に倒れたんだ。
強い光が放たれて、パープル・ニンは眩しくて目を開けていられず、手で覆った。
頭の中で、マズイ!って叫んだ!
光が収まって、もう一度見下ろすと、何もなくなってた!
ス・ユエ、消えた…?