チャプター31
部屋にこもって壁をじっと見つめてるけど、オースティンはあたしに何をしろって言うんだろ? ローマンが知ったらどうなる? 帰ってきたら、なかったことにするつもり? 前にも言ったけど、ローマンは部屋の空気を読むのが得意だから、すぐに変だって気づいて何があったのか聞いてくるはずだよ。
オースティンがちょっと可哀想になっちゃった。もしホントで、学校の頃からずっと隠してたんだとしたら、何年も前からってことになるじゃん。さっきの話ぶりからして、あたしに話すのがどれだけ大変だったか、よく分かったよ。
そんなこと考えてたら、オースティンがキッチンで夕食できたって叫んだ。さっきの話の後に、なんでそんなに普通にしてられるんだよ?! ちょっとため息をついてベッドから起き上がった。オースティンを避け続けるのは無理だって分かってた。まず、あたし達は同じアパートに住んでるし、それに、まだマーカスの前では恋人ごっこしなきゃいけないし。ベッドから出て、ドアに向かって歩き出した。ドアを開けて廊下に出ると、キッチンにオースティンがいて、笑ってる。まだスーツのままで、ジャケットだけ脱いでた。あれじゃあ、ちょっと動きにくかっただろうな。でも、あたしも同じドレスだったから、あんまり文句は言えないんだけど。
「やあ、ペイトン、座って」って笑ってから、カウンターに向き直った。言われた通りにテーブルに座ると、オースティンはあたしの前に料理を置いてくれた。「これはうちの秘伝のレシピで、おばあちゃんがいつも作ってたんだ」って笑いながら、後ろから水を取りに行った。あたしは「ありがとう」って言って、一口食べたら、マジで美味しかった!
あたし達は沈黙したまま、永遠みたいな時間が過ぎた。もうオースティンとどう話せばいいのか、全然分からなかった。あたし達は、彼が言ったことをなかったことにするの? それとも、座って話すの? どっちにしても気まずいよ。食べ終わると、彼は笑顔で皿をシンクに運んだ。あたしはそこに座ったまま。
「夕食どうだった?」って聞かれて、あたし達は何もなかったかのようにふるまうつもり?
「めっちゃ美味しかったよ。思ってたよりずっと料理上手なんだね」って笑顔で彼に言うと、もう一度テーブルを見た。ローマンが帰ってきても、オースティンにはもっと料理を作ってもらわなきゃ!
「俺の才能の一つだよ」って笑ってから、テーブルに戻ってきた。あたしの前に座って笑顔で「ペイトン、あたし達の関係は変えたくないんだけど、言わなきゃいけないことだったんだ」って言われて、あたしは頷いて同意した。こんなに長い間、全部一人で抱え込んでたなんて、可哀想だよ。
「でも、ローマンには隠しとけないよ」って言って、彼の顔を見た。どっちがローマンに話すことになるんだろう? あたしじゃないといいんだけど!
「恋人を2ヶ月も一人にするような男がどこにいるんだよ? そっちの方がフェアじゃないだろ」って、ちょっとイライラしながら言ってきた。ローマンは仕事のために行くしかなかったんだよ。
「仕事で行くしかないんだよ、他に選択肢はなかったんだよ」ってローマンを擁護した。ローマンは本当は行きたくなかったはず。特に、オースティンに何かあるんじゃないかって思ってた時に、ローマンが行く前に。でも、オースティンは首を横に振っただけ。
「いや、ローマンは、お前がお前なしじゃ家から出れないって分かってるから、2ヶ月もお前をほったらかしにしてるんだよ! お前を自分の操り人形みたいにしてるって分かってるんだよ! ペイトン、お前は彼なんかよりずっといい男に相応しい!」って、あたし達が話してる内容にマジギレしだした。まさか、こんな感情を抱いてたなんて知らなかったよ。あたしが鈍感すぎたのか、それとも、隠すのが上手すぎたのか!
「オースティン、お前はローマンの一番の親友でしょ? なんでそんなこと言うの?」って、椅子から立ち上がって問い詰めた。ローマンは、オースティンがこんなこと陰で言ってるって知ったら、裏切られたって感じるだろうよ!
「そうだよ、ローマンの友達だけど、あの男の言うことに全部賛成しなきゃいけないわけじゃないだろ!」って叫んで、あたしも立ち上がった。あたし達の声はまったく同じトーン。「ローマンには何度も話したんだけど、いつも『余計なことすんな』って言われるんだ」って言われて、あたしは初めて知ったよ。オースティンとローマンが、ローマンがあたしにどう接してるかって話してたなんて。
「うん、ローマンの言う通りかも。あたし達のことには口出ししなくていいよ」って叫んで、振り返って自分の部屋に入っていった。彼がそこに立って、あたしのボーイフレンドを侮辱するのを聞く必要なんてない。
「あたしが愛してる女のことなんだから、口出しするに決まってるだろ!」って後ろから叫ばれて、あたしは一瞬固まったけど、振り返らなかった。
「あたしを愛してないでしょ、そう思ってるだけ」って、あたしは彼の頭に叩き込もうとした。また、あたし達が長い間恋人のフリをしてたから、彼の頭がおかしくなっちゃったんだ。
「いや、絶対に愛してるよ。学校で初めてお前に会ったときからずっと」って、今度は叫ばずに言ったけど、あたしはまた首を横に振った。「ローマンがお前を知る前から、お前に恋してたんだ」って言われて、ちょっと胸が痛んだ。振り返って見ると、彼はあたしが部屋を出た時と同じ場所に立ってた。
「なんで、あの時言わなかったの?」って、眉をひそめて聞いた。オースティンは、会ってからずっとこんな風にはっきり言うやつだったんだから、もしあたしに恋してたなら、絶対にあの時に言ってたはずだよ。
「何よりも言いたかったけど、お前に『ノー』って言われるのが怖かったんだ。でも、言おうと決めた日に、お前とローマンが正式に付き合うことになったんだ」ってため息をついた。あたしはあの日のことを鮮明に覚えてる。オースティンに初めて会った時、彼は何も言わずにちょっと微笑んだだけだった。「もしあの時言ったら、お前はイエスって言ってくれたと思う?」って、希望に満ちた目で聞いてくるけど、そんなの、あたしにどう答えろって言うんだよ?!
「そんなこと、答えられないよ。今はローマンと一緒だし、ローマンを愛してる」って、そう答えるしかなかった。「じゃあ、もっと早く言ってよ!」って両手を上げて言った。もし彼があの時言ってたなら、こんなことにはならなかったのに!
「信じてくれ、あたしは頑張ったんだ」ってため息をつくから、あたしは首を横に振った。あたしは、彼に今何をすればいいのか分からない!
「全然頑張ってなかったじゃん!」って叫んで、振り返って自分の部屋に向かい、ドアをバタンと閉めた。もう、今回は追いかけてこないでって意味を込めて。