チャプター15
CHAPTER FIFTEEN: 水のせいにする
ローズ・アマラ POV
目がパチッと開いたら、右側からビンタされたみたいな衝撃が走った。誰かが電気を消したんだ。そして、後頭部にズキンと鋭い痛みが走る。
「まさか、そっち系だったとはな」って、イーサンが言った。
声が右から聞こえてきて、一瞬止まる。そんなに遠くない。近すぎる、まるで…
ああ、神様。
しっかりした上腕二頭筋に頭を乗せていたんだ、って気づいて、ゆっくりと顔を上げる。イーサンのだ。痛みをこらえながら、問いかけるように声が裏返る。
「なにしてんだよ、私の部屋で?」
イーサンは俺の指のダイヤの指輪と、自分の指のリングを見せて、「ここは俺の部屋だ、お姫様」って言った。
あの指輪。結婚式。襲撃。頭がぐるんって回って、全部がドーンって戻ってくる。やばい、マジかよ。結婚式の夜に、イーサンの仲間たちと泥酔したんだ。なんでそんなこと考えたんだ?
昨夜何をしたのか思い出そうと目を閉じるけど、頭痛のことしか考えられない。服をめくって自分の体を見ると、パジャマを着ている。これは、良いヒントになるんじゃない?
イーサンの腕から抜け出して、体を起こす。でも、彼の吐きそうな匂いはまだ周りに漂ってる。割れた唇を舐めながら、ストレートに尋ねる。昨夜、何があったの?
イーサンは次の獲物を見るような目でじっと見ている。実際、そうかもしれない。
彼はシャツとジーンズしか着てない。触られる前に、ジャケットを脱いで、たくましい血管の浮き出た腕の袖をまくり上げてたのをぼんやり覚えてる。なんで、下のことは全然思い出せないんだろ?
「何があったと思う?」
「わからないから聞いてるんだけど」
イーサンは眉をひそめる。「結婚式の夜にカップルってどんなことするんだ?」
自分の声が震えて、すごく不安で困惑してるのが嫌だ。「し、したの…?」
「どう思う?」
足は痛くないから、やらなかったのか?じゃあ、他のことで何かされた?私に酒を飲ませたやつは誰だ?ああ、そうだ、私だ。バカ。
自分に言い聞かせるように「してない」って言ったけど、イーサンから目を逸らさない。彼が言ったら、すぐに私を見てほしいから。
イーサンは私がそれを離す前にシーツの端を掴んで、私の体から剥ぎ取って、「酔ってたからしなかった。でも、今は違うだろ」って言った。
「イーサン!」って、怒ろうとしたけど、イーサンは驚いたように声を上げただけだった。
「なんだよ?今日はお前を罰するって言われたんだけど」
もう一度、シーツを奪おうとするけど、私は胸に抱きしめてる。布越しに、私たちの険悪な視線がぶつかり合う。そんな約束、した覚えはないんだけど。
「酔ったローズはしたんだ、信じてやるよ」
「嘘だよ。絶対、そんな約束しない」
「お前の言葉はこうだった」って、イーサンが僕の声に合わせてトーンを落として話し始めた。「イーサン、もう罰してよ?」
「黙って。そんなこと言ってない」
でも、色んなことを抱え込んでた私は、あの量のジャックダニエルを飲んだ後、我を忘れてたかもしれない。もう二度とお酒なんて飲まない。特にイーサンの前では。
彼は指先で私の頬を撫でた。「お前は俺のdickの上を擦りつけて『罰して』って誘ってきたんだ、で、しなかったらすごく落ち込んで、ムッとして寝たんだろ?なんで顔赤くしてんだよ?昨夜は俺のこと求めてたのに、記憶がないフリしてんのか?」
彼のシンプルな言葉で何が起きたのか想像しただけで、顔中に火がついたように感じる。突然、その瞬間のフラッシュバックが頭に蘇る。
「イーサン、もう罰してよ?今?」
「あれは、俺の声だったんだ」
目が大きく開いて、頭痛のことなんて忘れちゃった。イーサン、正解。あのバカに懇願するところだったんだ。
唇が開いたままで、何も出てこない。一体、何を言えばいいんだ?そんなこと、本当思ってなかったって?彼は絶対に信じてくれないだろう。そもそも、今の私は自分でも信じられない。
シーツを掴んで、言葉も出ないままベッドから飛び出す。床に落ちてた汚いドレスにつまずきそうになるけど、とっさに体勢を立て直して、開いてるもう一つのドアに駆け込む。ありがたいことに、そこはトイレだった。
ドアを内側からロックして、背中をドアに預けて、目を閉じて、まるでワークアウトを終えたかのように荒く呼吸をする。
ローズ、もう二度と飲まない。絶対に、二度と。
思考を中断させたのは、ドアをノックする音だった。
「開けろ」
「出てけ」
「俺から隠れる必要はないだろ」
「何をするか、指図しないで」
彼はいつも、私が最後に話すのを嫌がるから、何か返事が来ると思ったけど、何もなかった。自分の立場をわきまえてるんだな。部屋の広さからして、バスルームはもっと狭いのかと思ってたけど。シンプルなつくりで、灰色のタイル、黒い洗面台、トイレ、シャワーブースがある。
私みたいな黒人が好きなんだ、きっと。
イーサンが、この物件を所有してるのか借りてるのか、言ったことはない。7年もいなくなったままなんだから、私は前者の方に賭けてる。
シーツを床に落として、ブラジャーと下着も床に落とす。鏡に何かが見える、それは、私の顔を囲んで妹みたいな頼りない表情にしてる、手入れの行き届いてない、もつれた髪の毛だけじゃないんだ。私の白い肌に、首のくぼみの紫色の跡は、まるで肉を引きちぎろうとしてるみたい。
あのクソ野郎、何か残していったのか…?
もっと力を加えたら消えそうな気がして、指で優しく触ってみる。痛くはないけど、その跡は、彼が昨夜私に触れたこと、そして私が彼を感じたことの物理的な証拠だ。
確かに、触ったんだ。やめたくない瞬間もあった。
キス痕から目をそらして、バスルームに入り、無理矢理、思考をブロックする。指先で水の温度を確かめてから、熱いシャワーの下へ足を踏み入れる。
水に触れると、その跡がピリピリして、もっと痛くなればいいのに、って頭を傾けてる自分に気づく。
乳首が少しずつ見え始めて、自分の体を見て、胸が重く感じる。お腹が何かを求めてるみたいに、きゅっと締め付けられる。
「何だかわからない。冷たい水で、いいんだよね」