CHAPTER SEVEN
CHAPTER SEVEN: 彼女の計画
ローズ・アマラ POV
頑張ってるんだけど、全然集中できないんだよね。瞑想とか休憩しても、あんまり効果ないし。まあ、やるんだけどさ。
今日の仕事中はずっと集中できなかった。
それで、オフィスに座ってライブラリを見渡すと、革張りの椅子に頭を預けてた。大学生活は最悪でさ、ほとんどの授業をオンラインで受けなきゃいけなかったんだ。でも、何とか経営学の学位は取れたんだよね。
それをやるのに、家の苗字なんて必要なかった。頑張って自力でやり遂げたんだ。
ここまで来るのにめっちゃ苦労したのに、それでも、プライドのかたまりみたいなやつと結婚しなきゃいけないんだから。イーサンと結婚するような女にベラがなれなかったら、犠牲になるのはベラなんだよね。
バカじゃないからね。あたしの立場がお父さんの影響が大きいのは分かってる。お父さんがいなくなったら、すぐにクビか降格になるだろうし、あたしにはどうしようもない。だって、あたしは女なんだから。
携帯がバイブって、手に取るとさ。ビデオ通話の相手の名前を見た瞬間、自然と口角が上がっちゃうんだよね。
まさに、今のあたしに必要なものだった。
ニコニコしながら返事した。だって、あたしの甥っ子が画面に映って、「ハーイ!」って。
あたしのそっくりさんだよ。
「ハーイ、マイ・アーデン」って言った。画面が揺れ始めて、また落ち着いて、今度は、あたしのもう一人のママである妹に抱っこされてる。
「あら、誰があいさつしたいって言ってるかな」って、彼女が言うんだ。
アーデンは、ママと同じ金髪だけど、お父さんの緑色の目をしているんだよね。
マリアはニッコリ笑って、「やあ、ローズ」って。
アーデンは「ハーイ、おばちゃん」って言って、乳歯を見せて、チュウって音を出した。「会いたいよ」
「最後に会ったのは、ちょうど1年前だね」
「数えてるの?」
「もちろん数えてるよ。ローズ、あたしにはあなたしかいないんだから」
「そんなことないでしょ。アーデンとカールもいるし。カールのお父さんにも娘みたいに扱われてるでしょ」
「なかなか会えなくてごめんね、マリア。あなたと家族の安全のためなんだ」
あたしに対して、もうベラを利用してるし。でも、せめてベラだけは救えるようにしないと。ベラのお父さんが誰かだからって、突き放すわけにはいかないんだ。
ハーデスと父しか彼女の存在を知らない。あ、違う。7年前にイーサンがベラの乗っ取りから助けてくれたから、彼はもう彼女のこと知ってるんだ。
それも、マリアをできるだけ遠ざけておく理由の一つなんだよね。
レイブンおじさんは妹を傷つけたりしないから、一緒にいて安心できるんだよね。でも、イーサンは違う。彼は躊躇なく、あらゆる手段を使ってくるから。
彼女はため息をついて、アーデンの髪をなでながら、おもちゃを彼女の足に沿って滑らせて言った。「分かってるわ」たまに、あなたみたいな生活がしたいって思うの。
「でも、そうだったかな?もし、誰かの家族にいってたら、違ってたかもしれないよね」
あたしが小さい頃、ママとパパは別れたんだ。レナードが、お金持ちだったママとアジア人の恋愛を認めてなかったから。
それで、ママが孤児院から彼女をもらって、妹になったんだよね。
ママと妹は、ロンドンと彼の男たちから逃げる生活だったけど、あたしはパパに愛されて、安全な環境で育てられたんだ。
ママは、彼女にマフィアのプリンセスみたいな楽な生活を送らせたくなかったんだ。彼女はそうしなきゃいけなかったんだよ。あたしが12歳の時、学校に迎えに来てくれて、一緒に国を出たんだ。一番長く逃げ回ってたけど、一番エキサイティングな月でもあったんだ。
逃げてる時に、妹とあたしは、ママを殺した銃声を聞いた。誰も自殺だって装ってたけど、あたしは絶対に殺されたって思ってる。
それで、あたしはここにいるんだ。このボスと一緒に、お父さんと。彼らが何をしてくるのか怖かったけど、あたしは一度も頭を下げたり、目を合わせるのを避けたりしなかった。パパは、自分が正しいときは絶対に間違ったことをするなって教えてくれた。
若い将軍が、エースの手からあたしを連れ出して、ボスはあたしを生かしておけって言ってた。エースはママにしたみたいに、あたしを殺そうとしてたんだ。
彼は、自分の娘が死ぬつもりなんてなかった、家に連れて帰りたかっただけだって。あたしは彼に、エースがママを殺したって言わなかった。言いたかったけど、証拠がなかったし、パパみたいな有能な人は証拠しか信じないから。
彼の本気度を信じるのに何ヶ月もかかったんだ。それに、エースは自分の立場を危うくする前に、あたしを地下市場に売り飛ばしただろし。
後で、彼と対面した時、お父さんはあたしに落ち着きを取り戻させてくれる言葉をかけてくれた。「強くなることが、あなた自身、妹、そしてお父さんを守る唯一の方法なんだ」
それから、あたしは彼の影響力を使わなきゃいけないって分かったんだ。時が経つにつれて、アンバーの特権意識とか、ママの死が彼にどんなに影響を与えたのかを理解した。彼はよく、あたしが自分の2度目のチャンスだって言ってて、彼女に必要な安全を与えられなかったことを後悔してた。
あたしの人生は突然変わったんだよね。
彼女はよく、あたしが彼女から距離を置いてると、まるで自分の名前をそのままにしとけばよかったのに、とか、バカなこと言うんだよね。
かわいそうな妹は、あたしみたいな環境で生きてたら、ニュースにも出てる敏腕弁護士の旦那に食い物にされてるってことに気づいてないんだよ。
「つまり、あなたは一人で行くつもりはないってこと?」彼女の声が震えて、目に涙がたまり始める。「心配だよ」
「大丈夫だって。あたしは大丈夫だよ」
「もし、何かでできなくなったら?そしたら、誰があなたの面倒を見るの?」
「あたしには、あたしの男と女がいるから。知ってるでしょ?」
「エイヤとゼスは、あなたのガードであって、家族じゃないでしょ」
「そうだけど、あたしはそう思ってるから。あたしの右腕と左腕をからかうのはやめて」
彼女は笑った。「笑うべきか、ガードを家族って見てるあなたに腹を立てるべきか分からないわ」
「彼らは忠実なんだ」
彼女は首を横に振った。アーデンはすぐに彼女の膝から飛び降りて、父親が入ってくるドアに向かって走った。
カールが彼を抱き上げて、お腹をくすぐって、彼は笑いが止まらない。
カールはカメラに向かってニヤリと笑い、緑色の目がキラキラ輝いてる。「やあ、ローズ」
彼の大きな体格は変わってないし、背が高くてカッコいいんだよね。黒い髪で。優しそうだけど、ビジネスライクな感じもあって。
カールがマリアにキスしようとすると、カメラは少し彼女の口元を映すんだ。ただのペロッとか唇と唇って感じじゃないんだよね。彼女は彼が近づくと叫んで、顔を真っ赤にして突き放す。
「ベイビー、ローズと話してるんだよ」
あたしは、まるで二人のイチャイチャに全く影響を受けてないような口調であいさつした。でも、たまに、何て言えばいいのか分からないくらい、あたしに影響を与えてくるんだよね。確かなのは、彼女の幸せな家族を守らなきゃいけないってことだけ。
あたしたちみんな、それが必要なんだよね。少なくとも一人は。パパは、心の底から愛するように教えてくれたから。だから、誰か一人はそうしなきゃいけないんだ。
あたしは、マリアが何年もかけて手に入れた、彼女のハッピーエンドを長続きさせたいんだ。
ハーデスがエイヤとゼスと一緒に入ってくる前に、ドアをノックする音がした。
そう、あたしがこのミーティングをセッティングしたんだよね。
マリアが返事する前に、あたしは言った。「あの、行かなきゃ」って、電話を切ったんだ。
彼女は、もうすぐ旦那が来るから、あたしに会いに来いってしつこく言ってこないだろうし。
あたしは、ワークステーションの隣の席に、他の3人と一緒に座った。絶対に、彼の前には座らないけどね。
エイヤはあたしたちのために飲み物を用意しに、キャビネットの方へ行った。彼女は背が高くてスリムな女性で、いつも後ろで二つのおさげにしている、濃い紫色の髪をしてる。
きつい表情をやめれば、彼女の高い頬骨とそばかすの頬が、ユニークで魅力的な雰囲気になるんだ。
彼女とゼスは似たような特徴を持ってる。
あたしは彼女に言った。「飲み物作らなくてもいいよ」
「お願いします、お嬢様」
あたしはハーデスの隣に座って、首を横に振った。あたしがこの2人に自分の命を預けるのは、ただガードとして選んだからだけじゃないんだ。違うんだ。
彼は当時20歳で、あたしより2つ年上で、いつも勝ってたんだよね。あたしがパパとじいちゃんと一緒に地下格闘技を観てた頃。
昔のパカンが死んだ後、エイヤが来たんだ。彼女はミハイルの売春宿の女にされるはずで、汚いコンテナでロシアから密輸されてきたんだ。
エイヤは、あたしがミハイルの輸送を止め、できるだけ多くの女性を解放しようと決意して助けることができた女性の一人なんだ。
あたしは彼女を抱きしめて、ミハイルの悪質な手から守ったんだ。彼女が空手の黒帯だってこと、偶然彼女の脅威を見て知ったんだ。彼女は、死んだ父親が払えなかった借金のせいで、マフィアに売られたんだ。
ハーデスが、今みたいに唸ってないときは別だけど、この2人は、あたしが頼ってきた柱なんだよね。
「それで?」あたしは聞いた。
「本当にイーサンと結婚する気か?」
あたしの全存在が、彼の名前を聞くだけで反発するけど、あたしは平静を保つように努力してる。もっと悪いことに、彼は戻ってきたんだよね。
正直なところ、結婚の話だけじゃなくて、あたしが今日上手くいかない理由は。
彼があたしのパーソナルスペースに入ってきて、あたしに触って、まるで当然のようにあたしの首に手をかけたこと。あの細くて長い指。
「ローズ」
「何?」ハーデスの威圧的な声が聞こえて、あたしは我に返った。彼は、めったにあたしの名前を呼ばないから、呼ばれるときは深刻な時なんだよね。
「お前がイーサンと結婚するつもりかどうか知りたかったんだ」って、彼は聞いた。
「逆らえないんだ。あたしがそうしないと、彼はベラを追いかけるだろうから」
ハーデスは息を吸い込むけど、返事はしない。彼は、特別な指示がない限り、他人のビジネスには関わらない主義なんだよね。
彼は、あたしたちが意図したようには使えないおもちゃじゃないんだ。それを一番知ってるのはあたしなんだ。彼は、昔あたしのガードだったからね。
「そう、する。あと、彼がいなくなった時、あたしに彼の名前を口にするのはやめてくれって言ったの覚えてる?」あたしは、彼について話すのはやっぱり避けたいんだよね。でも、そうしたからって、いなくなるわけじゃないけど。
「あたしはそうできるよ」
今は違うんだ、色んな理由で、彼はネイサンの息子なんだ。「あの時、彼に対してそんなに恨みを持ってる理由が分からないんだけど」
「本当に、彼がネイサンの息子だと?」
「違うの?」
「分からないんだ。血縁関係だって主張するのは、なんか変じゃない?一体、なんで、今なんだ?」
「それを突き止められるのは、お前だけだ」
「ああ、きっとそうなるだろうね。彼は、あたしと結婚すれば、全部手に入ると思ってるみたいだけど、それが彼を破滅させることになるってことに気づいてないんだよね」
「カードを手元に置いておけ」
「ねえハーデス、蛇は毒だってこと、いちいち言わなくても分かってるから」
「ハーデスは、あたしの名前じゃない」
「どっちでもいいよ」
彼は唸った。4つの部隊の財務報告は、全部おじさんの指示で送られてくるんだ。
あたしは肩越しに振り返って言った。「やあ、ミハイルが困ってるんだ。何か怪しいものが見つかる確率、どれくらいだと思う?」
彼は、ちょっと上品なアクセントで言った。「100だ」
あたしは彼をからかった。「少なすぎ」
エイヤはあたしたちの前にコーヒーのトレイを置いて、ハーデスの隣に立って言った。「500」
あたしはニヤリ。「いいね。それで、あたしに電話して」
ハーデスはコーヒーを一口飲んで。「経営陣からの報告も提出しなきゃいけない」
「誰に?」
「みんなに。今回は、おじさんは全部透明化したいって思ってるんだ」
「なんで今?」
「ネイサンが関わってるかもしれないから。一番長く彼と一緒にいたんだ」
あたしは、ひじを膝に乗せて、人差し指で顎を叩いた。
「彼は、あたしたちの知らないところで何か企んでるってこと?」
「たぶんね。エースが死んでから、彼がおじさんに近づかなかったことを覚えておいて。あの人は、お前には特に注意が必要だ」
「なんで?何か聞いたの?」
彼は少しの間止まって、カップを口に持ってきた。「たぶんね」
「何?」
「今日の会議の前に、ネイサンとイーサンに会ったって、あたしのスパイが言ってた」って、ハーデスは言った。
あたしはこぶしを握りしめて、悪態をついた。
イーサンと一緒なら、大変なことになる。
「なんで、それを知ってて、彼に賛成したの?なんでみんな?父と、そして今度はレイブンがお前をそんなに気に入ってるのか、あたしには理解できないんだ」
「簡単だ。彼は仕事ができるから。彼があたしたちと一緒にいた頃、誰も兄弟に近づこうとしなかったってことは否定できないだろ。彼らは、彼が寝込みを襲うって知ってたんだ」
「彼は、まだ殺人犯だ」
「あたしたちは、みんなそうだ」って、答えが返ってきた。
「あたしたちは、必要に迫られて殺すんだ。自分たちと自分たちの名誉を守るために。彼は、楽しみと金のために殺す。一番信用できないのは、忠誠心も名誉心も持たないやつらなんだ、彼みたいな」
「誰も彼を信じてない。あたしたちは、彼の能力を利用してるだけだ」
ハーデスのコメントに、あたしは止まったんだ。何故か、それが意味してること、好きじゃないんだ。
「プリンセス、あたしが影だって、なんで知ってる?あたしがいなくなっても、誰も気づかないからだよ」
あたしは、イーサンの言葉の重さを拒否して、振り払った。
でも、あたしはまだ頭の中で聞こえるんだ。彼がいなくなった時、彼が全部だって思えるくらい、大きくなっちゃったんだ。
メモを取っただけじゃない。
それは、完全にあたしをズタズタにしたんだよね。そして、その傷が完全に癒えるのかどうか、あたしは分からないんだ。
今、彼と結婚して、自分の手でその傷をさらに深くえぐらなきゃいけない。