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ニューヨーク、ミア
セバスチャンと電話を切った瞬間、なんだかよくわかんなくなっちゃって。
電話の内容は、答えより疑問ばっかりだった。
セバスチャンは、もう迎えに行くから準備しろって言うし、詳しく聞こうとしたら、パトリックから電話があったから、とにかく早く来てくれって言うだけなんだもん。
頭の中は、ありえないことばっかりグルグルして、ドキドキが止まらない。
怖いけど、セバスチャンの言う通りにすることにした。
急いでシャワーを浴びて、濡れた髪を慌ててお団子にして、ゆったりしたブラウスと動きやすいパンツを選んだ。
ファッションに時間かけてる場合じゃないし、とにかく急いでるんだから。
キッチンに行くと、緊張しすぎてソワソワしちゃって、落ち着かなくて行ったり来たりしてた。
不安がものすごくて、ドキドキを落ち着かせようと、オレンジジュースを注いだ。
ベラはリビングで、ネイルを塗るのに夢中になってた。
「セバスチャンが来るのって、何か知ってる?」
ベラが聞いてきたから、どうしたのかなって思ってたら、さっきの会話を聞いてたみたいで、声のトーンで察したみたい。
「パトリックのことみたい」
状況を理解しようと必死で、ちょっと震えながら答えた。
「ストーカーが誰か、わかったのかも」
ベラはイライラしたようにため息をついて、私も同じ気持ちだった。
「やっとだね」って、安堵と苛立ちが混ざったような口調だった。
ストーカーの件はずっと私たちを苦しめてたから、何か進展があったのは嬉しいけど。
そしたら、私のスマホがピコンってなって、見たらセバスチャンからのメッセージだった。
「もう着いた」
バッグを持って出て行く準備をしながら、不安が募っていく。
「何かあったら教えてね」
ベラが心配そうに声をかけてきた。
わかった、って頷いて、何かあったらすぐに教えるって約束して、外に出たら、セバスチャンが待ってた。
パトリックの家までの道のりは、シーンとしてて、すごく緊張した。
セバスチャンは明らかに考え込んでて、仕方ないよね。
状況が緊迫してるし、ストーカーの正体が明らかになるかもしれないってことで、私たちも気が気じゃなかった。
私はブラウスの裾をいじりながら、胸にこみ上げてくる不安を抑えられなかった。
目的地に着くと、パトリックはもう待ってた。
いつもの明るい感じとは違って、真剣な表情だった。
簡単に挨拶を交わして、パトリックはすぐに本題に入った。
「ストーカーが誰か、わかった」
パトリックが言った瞬間、心臓が飛び出しそうになった。
セバスチャンと顔を見合わせて、私もセバスチャンも期待に胸を膨らませた。
パトリックは続けた。
「数週間、探偵の人と協力してて、やっと突破口が見つかったんだ。
ストーカーは、俺たちが知ってる人だよ。身近な人だ」
頭の中は、その言葉を理解しようと必死だった。
ストーカー、身近な人?
いろんなことが頭に浮かんで、不安が募った。
パトリックが私たちを見てて、何か重大なことを言おうとしてる。
「誰なんだ?」
セバスチャンは怒りと不安が入り混じった声で聞いた。
パトリックは、書類や写真がたくさんある部屋に私たちを案内した。
ここは、彼がストーカーの正体を突き止めるために、必死で調べていた場所なんだ。
私はセバスチャンと不安そうな顔を見合わせた。
「たぶん、お前らは気に入らないと思う。マジで」
パトリックは、重々しい口調で言った。
ごちゃごちゃした机の上にファイルを投げ捨てて、嫌な予感がした。
パトリックの深刻な様子が、さらに不安を煽る。
セバスチャンは震える手でファイルに手を伸ばして、部屋の緊張感がすごかった。
「どれくらいヤバいの?」
心配そうな声で聞いた。
「マジでヤバい」
パトリックは、これから何が起こるのかを理解しているように、重い声で呟いた。
隅っこからソフィアが入ってくるのが見えた。
彼女の存在は、静かな支えになって、私の肩に手を置いて、黙って励ましてくれた。
彼女も何が起こるのか分かってるみたいで、深刻な表情だった。
パトリックはパソコンを起動して、部屋の中に起動音が響いた。
ファイルを色々開いて、画面に名前と写真が現れた。
胃がキューってなって、私たちが今まで耐え忍んできた苦しみの原因となった人物の顔を見た。
「一人だけじゃない」
パトリックは落ち着いた声で言った。
「三人だ」
パトリックが話を進めるにつれて、私はその信じられない事実に頭がついていけなかった。
写真に写ってる男、マドックス・イモガンは、警備員を撃ったり、アパートを破壊したり、侵入したり、殺害予告をしたり、悪いことをした張本人だった。
前科もあるから、一番怪しい。
「でも」
パトリックは強調した。
重々しい言葉が部屋に響き渡る。
「すべての黒幕ではなかった」
セバスチャンと私はお互いを見合わせて、混乱して、新しい事実に頭を悩ませた。
ストーカーの真の首謀者は、私たちが全く予想していなかった人たちだった。
ギャビン・キャンベル、私の元旦那、そしてセバスチャンの母親であるエレナ・ソーントンだったんだ。