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ニューヨーク、ミア
セバスチャンのマンションっていうか、一時的な避難場所に移動中、スマホを取り出してベラにLINEしたんだ。急な予定変更で、ちょっと変かなって思ったけど、あのパパラッチどもから逃げるためなら、セバスチャンの家に泊まることへの抵抗なんて吹っ飛んだ。
すぐに返信が来て、やっぱりいつものノリ。『了解、ほぼソーントン夫人』
思わずフッと笑っちゃったよね。ベラって、どんな状況でも面白いこと見つける天才なんだから。今の私の状況に、ちょっとだけ笑いを加えてくれた感じ。
でも、車がセバスチャンのマンションに近づくにつれて、頭の中は両親のことでいっぱいになった。絶対面倒なことになるだろうなーって心の準備しとかないと。がっかりされたり、反対されたりするのって、マジで嫌だもん。
それに、別の心配事も出てきた。『服も歯ブラシもないじゃん』ってセバスチャンに思わず言っちゃった。一晩泊まることなんて、全然考えてなかったから。
セバスチャンは優しく答えた。『大丈夫だよ。着るものもあるし、歯ブラシも余分にあるから。一晩だけだし』
セバスチャンの服を着て、彼の歯ブラシを使うとか、ちょっと変な感じ。だから、ちょっと抵抗があったんだ。『マジで、あんたの服着なきゃダメ?』って信じられないって感じで聞いた。『それに、パンツも?』
私の顔を見て、セバスチャンはニヤニヤ笑った。『俺のボクサーパンツ、めっちゃ履き心地いいんだよ』って、ちょっと楽しそうに言った。『わかるよ』
『マジ無理』って鼻をしかめた。
セバスチャンは、ちょっと信じられないって顔して眉毛を上げた。『お前の全部、俺のモノになったのに、俺のボクサーパンツは“マジ無理”?マジで?』って、声に出して笑ってるし、あの熱い夜のことを思い出して、顔が赤くなっちゃった。
『やめてよ』って小声で言った。
セバスチャンはまだ笑いながら、目的地について説明した。車はそびえ立つ高層ビルの前に止まり、上を指差して『最上階だよ』って自慢げに言った。『明日の朝には、マジで雲の上で目が覚めることになるよ』
セバスチャンの言葉に、私も笑っちゃった。『起きたら、部屋に飛行機が入ってくるような感じだよ』って言って、可笑しくて頭を振った。『金持ちって、マジで違うな』
ふと、昔のことを思い出した。ギャビン(元夫)が、曾祖母がアルパカに生まれ変わったって信じて、アルパカを買った時のこと。ホント、あいつの決断って、意味わかんないんだよなーって笑っちゃった。金持ちって、本当に変わってるっていうか、派手な暮らししてるよなーって思った。
高層ビルの入り口に着くと、セバスチャンはドアを開けてくれて、私は中に入った。ホテルのスタッフはセバスチャンの到着を知ってたみたいで、一人が私を見て、ちょっと批判的な視線を感じた。こういうのには、もう慣れないとな。
エレベーターに入ると、セバスチャンはカードキーをスムーズに出して、小さい画面にピッてやった。エレベーターのドアが閉まって、最上階へ向けて上昇し始めた。だけど、突然ガクンってなって、真っ暗になっちゃったんだ。
『キャー!』って驚いて、とっさに何かにつかまろうとした。
セバスチャンの声は落ち着いてたけど、『またかよ』って、ちょっとイライしてるのが聞こえた。どうやら、このマンションのエレベーター、しょっちゅうトラブルがあるみたい。
パニックになり始めて、手すりを掴んで、心臓がドキドキしてた。狭い空間で真っ暗って、マジで落ち着かない。
でも、セバスチャンは冷静だった。『大丈夫だよ』って、少しだけ苛立ちを見せながらも言った。『すぐ直るはずだよ』
暗いエレベーターの中でパニックになり始めた私は、なんでセバスチャンがこんなことに慣れてるのか不思議だった。あんなにお金持ちなのに、エレベーターは一流じゃないのかなって。高い金払ってこんなことって、マジで嫌だ。
『マジかよ!』って、イライラと恐怖で震えながら叫んだ。過去の記憶が蘇ってきて、狭くて暗いエレベーターの中は、余計に気分が悪くなった。暗い場所って、マジで嫌い。父に髪を引っ張られて、暗い部屋に何時間も閉じ込められた時のことを思い出させるから。
『ごめんなさい、ごめんなさい』って、心の中でつぶやいた。涙が止まらない。子供の頃のトラウマのせいで、暗闇が耐えられない。
突然、遠くから声が聞こえた。『ミア、ミア、何謝ってるんだ?』誰の声?キーラン、兄?誰の声?
『キーラン、兄?』ってホッとして、震える声で言った。彼の声が聞こえたことで、暗闇の中に少しだけ希望が見えた。手が震えて、頭も不安でぼーっとしてた。
『ごめんなさい、ごめんなさい』って、恐怖と後悔の呪文みたいに繰り返した。まるで過去が蘇って、子供の頃の孤独と暗闇の恐怖をまた味わってるみたいだった。
パニックの中で、突然足に何かを感じて叫んだ。『キャー!』頭の中は、現実とトラウマの記憶が入り混じって、何も区別がつかない。
手が震えて、パニックになりそうになった。その時、誰かの温かい抱擁を感じて、安心できる声で、呼吸するように言われた。知らない人の腕の中に身を任せて、なぜかすごく安心できた。頭を彼の肩に乗せて、必死に囁いた。『出して…出して』
突然、明かりがついて、エレベーターが動き出した。私はまだその人の腕の中にいて、ゆっくり目を開けた。誰だかわかった。セバスチャンだった。この恐ろしい間、ずっとセバスチャンがそばにいてくれたんだ。
『離して』って、髪を直して、冷静になろうとした。彼の目を見ることができなかった。自分の弱いところを見せちゃって、すごく恥ずかしかった。でも、彼の視線は私から離れなくて、心配そうな顔をしてた。
『何見てんの?』って、眉を上げて、ちょっと強がってみた。セバスチャンは首を振って、視線を外そうとしない。
『キャンベルのこと?』って、怒った口調で聞いてきた。私は眉をひそめて、わけがわからなかった。『あの…クソ野郎のキャンベルが、お前に酷いことしたのか?!』ギャビン・キャンベルの名前を出すと、セバスチャンの声が大きくなって、目には怒りがこもってた。
私は首を振って、小声で言った。『父だった』