5. オリビアをアクセルの家族に連れて行く
マジかよ、って誰もが思うよね、アクセルの言葉!
ジョナサンは目を見開いて、マジかよって感じ。「え、何? 何のために、お父さんがそんなことしたんだよ?!」
アクセルは顔をしかめて、首を振った。「わかんないんだよ。こんなのもう3回目だし。俺、お父さんが推薦してきた相手、ジョナサンさん、イヤなんだよね!」
下唇を噛みながら、ジョナサンは片手を腰に当てた。もう片方の手は、首の後ろをこすってる。
二人とも黙って困ってるんだけど、ジョナサンが何か思いついたみたい。突然、明るい笑顔で指をパチンって鳴らした。
「いっそ、自分で相手連れてくのはどう?」ジョナサンはそう言った。
「マジかよ」アクセルは皮肉な顔をした。「どうやって手に入れるんだよ、そんなの…」
「ジョナサンさん、アクセル!」
二人はその声の方を見た。アクセルはジェーンが歩いてきて、その後ろにオリビアがいるのを見て、眉毛を上げた。オリビアはすごい気まずそうで、顔を上げるのをためらってる感じ。
「はい、ジェーン? どうかした?」ジェーンが二人の前に立った後、ジョナサンが尋ねた。
アクセルの目はオリビアから離れない。オリビアのことを見てる間、頭の中は一つのことだけだった。
お父さんの前に連れてく、偽のパートナーにすること。
アクセルの口角が自然と上がった。何か思いついたって顔で笑ってる。
「…あの、それだけ言いたかったんです。また今度、一緒に仕事できたら嬉しいです」ジェーンはそう言って言葉を締めくくった。
「あ、もちろん…」
「もちろん、また会うべきだわ」ジョナサンの言葉を遮って、ジェーンは言った。
ジョナサンの視線、ジェーンの視線、そしてオリビアの視線が、すぐにアクセルに向けられた。オリビアに向けられたアクセルの目の輝きに、ジェーンは不思議に思った。
オリビアから視線を離さないアクセルは、無意識のうちにこんなことを言った。
「また会うべきだね。そうだろ、オリビア?」
ジェーンはオリビアの方を見たけど、オリビアはぽかんとしてた。アクセルの言ってる意味がわからないみたい。
ジョナサンはこっそりアクセルの腕をつねって、彼を現実に引き戻した。アクセルは気づいて、やっと自分を正した。
「仕事でね。後でまた写真撮影があるんだ。オリビア、今日の俺の専属メイクアップアーティストになってもらえないかな?」
「え?」ジェーンはまだ理解できないみたい。
「ああ、オリビアの手腕に惹かれてさ。だから、今夜の撮影では、オリビアはアシスタントじゃなくて、ってことで」
その時、オリビアは静かに微笑んだ。その笑顔の力強さをアクセルは感じて、彼もまたかすかに微笑んだ。
「オリビアを連れて行きたいってこと? あー、でも、ごめん…」ジェーンが尋ねた。
「メイクアップアーティストは、他に誰も使えないんですか?」アクセルはジェーンの言葉を遮った。
ジェーンは一瞬戸惑った。ジェーンは考え込んで、時々オリビアの方を見てた。
別に好きじゃないんだけど、ジェーンは結局、首を縦に振らざるを得なかった。
「わかったわ。今夜は彼女のサービスを雇ってもいいわよ」
アクセルは安堵のため息をつき、ジェーンのうなずきに応えた。オリビアを見て、アクセルはオリビアに付いてくるように合図した。
「こっちだよ、オリビア。一緒に行こう」ジョナサンが言った。
アクセルはジェーンに自分のスマホの画面を見せた。「さっきの会話、録音したんだ。だから、もし誰かにオリビアのこと聞かれたら、今日は彼女をメイクアップサービスで雇ったって、ちゃんと答えてくれ。
違うこと言ったら、マジでヤバイからな」
オリビアは眉毛を上げた。特にジョナサンは、アクセルがそんなことするなんて思ってなかったから。
ジェーンは一瞬瞬きして、気まずそうに笑った。「まじかよ。私が何したっていうの?」
またスマホを取り出して、アクセルは意味ありげな笑顔を見せた。
「わかんないけど。オリビアに何かあったら、責任感じちゃうなって思ったんだ。特に俺が頼んだことだし」アクセルはすごくあっさり説明した。
ジェーンは気まずそうに笑った。「あらまあ」彼女はアクセルの落ち着いた目を見る勇気がなくて言った。なんだか、そっちの方が怖い。「オリビア、行っていいわよ。誰かがあなたのサービスを待ってるわ」
オリビアはジェーンに頭を下げた。嬉しかったけど、オリビアの顔には不満の色が少し見えた。でも、クライアントが彼女のサービスを使いたがってるなら、仕方ない。
アクセルの隣に立って、オリビアはドキドキした。何かゾクゾクするような。
「行こう、オリビア」アクセルは顔に優しい表情を浮かべて言った。
その瞬間、オリビアは喉が詰まった。アクセルの近くで、どうしたら自分をコントロールできるんだよ?!
***
オリビアは、アクセルの言ってたことが、現実と真逆だって、マジで思わなかった。
アクセルが彼女をどこに連れて行ったか、わかる?
「それで、これがパパに紹介してない、新しい彼氏ってわけ?」
アクセルのパパの前に、恋人として紹介!
「はい、お父さん。ブランドの撮影とか、USファッションウィークとかで忙しくて、言えませんでした」アクセルはすごく落ち着いた声で説明した。こんな緊急事態で、どうしてそんな振る舞いができるんだよ?!
アクセルのお父さんがオリビアの方を見た時、オリビアは小さく頷いた。顔にはかすかな笑顔が浮かんだ。
オリビアは死ぬほど緊張してた。それに、アクセルのお父さんの目は、彼女のことを見透かそうとしてるみたいだったし。
「お父さん、そんな風に見て、怖がらせないでよ」アクセルは、オリビアがなんで緊張してるのか、わかってるみたいだった。
「お前…」アクセルの言葉は無視して、お父さんは目を細めた。「本当に、私の娘を愛してるのか?」
もちろん。オリビアは、アクセルのファンになって、もう5年近くになるんだから。熱狂的なファンってわけじゃないけど、オリビアはアクセルのモデルのスケジュールがいつどこであるか、よく聞いてたんだから。
「はい、お父さん。彼のこと、すごく愛してます」オリビアはそう答えた。
「アクセルの忙しいスケジュールの中でも、やっていけるの?」今度は、アクセルのお母さんのキャサリンが答えた。
オリビアの視線はキャサリンに移った。「大丈夫ですよ、お母さん。メイクアップアーティストの仕事のおかげで、彼に会えることもありますし。だから、会った時に話す時間も取れるんです」
アクセルは、落ち着こうとしてるオリビアを見ていた。正直言うと、アクセルはオリビアを両親の前に連れてくのは、無礼なことだとは思ってなかった。さっき、車の中で、このことについて一緒に話したんだ。
ラッキーなことに、オリビアはすごく対応が早い方だった。
アクセルは他の何かを選ぶこともできた。でも、オリビアは誰よりも彼のことをよく知ってるって感じたから、だってオリビアは彼のファンだし、アクセルは、二人の間に何かしら繋がりができるんじゃないかって感じたんだ。
「まだ信じられないんだけど、本当に付き合ってるんだね」アクセルのお父さんは言った。
アクセルもオリビアも、反応できなかった。しばらくの間、お互いを見つめ合っただけだった。気まずい感情が、すぐに二人を包み込んだ。しかも、アクセルのお父さんの視線は細められて、二人をすごい集中して見てた。隠してる嘘を読み取ろうとしてるみたいに。
ちょっと難しかったけど、アクセルはついに軽く咳払いをした。気まずい雰囲気を中和し、自分の気持ちも落ち着かせた。
「真剣だって、お父さん。ただのフリで、付き合ってるふりとかできるわけないじゃないですか」アクセルは、軽く笑いながら質問を投げ返した。
オリビアは軽く頷いて答えた。
残念ながら、アクセルのお父さんは、それだけでは信用できなかった。背筋を伸ばし、深く息を吸い込んだ。まだアクセルとオリビアに対して、疑わしげな表情をしてる。
「よし。じゃあ、いつ結婚の計画を立てるんだ?」