7. あなたを知る方法
オリビアは、今夜の出来事をまだ消化しきれてなかったんだよね。で、アクセルのクルマがそのチキン屋さんみたいなとこに停まったと思ったら、オリビアを待ってる人がいたんだ。
「オリビア、お前…もしかして…」
オリビアは、親友のキャテスのあぜんとした顔を見て、顔をしかめた。そりゃあキャテスだって、アクセルが目の前に現れたらビックリするよね。まさか、超有名なモデルのアクセルが、こんな普通の近所に夜に来るなんて、誰が想像できる?
キャテスは、信じられないって顔でアクセルを見ながら、オリビアの肩を何度もポンポンって叩いてくるんだ。最初は軽くポンって感じだったのに、だんだん本気で叩くようになっててさ。なんか、どこからもなく湧いて出た熱意が、一瞬で注入されたみたいな。
「アクセル!マジでアクセル様!?」キャテス、自分で気づいてないだろうけど、思わず大声出しちゃってるし。
オリビアはギロッって睨んで、すぐに親友の口を塞いだ。もう必死な顔だよ。
「うるさいよ、キャテス!声、でかすぎ!他の人に気づかれちゃうでしょ!」オリビアは、キャテスに警告するように小声で言った。その目には真剣な光が宿ってる。
「んー…」キャテスは、オリビアの手の甲を何度もペシペシ叩く。
オリビアとキャテスの様子を見ていたアクセルは、楽しそうに、くすくす笑った。一方、ジョナサンは、この小さなチキン屋さんの鶏のマークから目を離さない。
「アクセル、お腹空いてないの?」ジョナサンは、視線を外すことなく尋ねた。手は、お腹をさすりながら、空腹だって顔してる。
アクセルは、ジョナサンの方を見た。一瞬で笑いが消え、ジョナサンの反応に少し驚いた様子。何度も言うけど、アクセルが食べ物を見た時のジョナサンの態度は、これが初めてじゃないんだよね。
「食べたいの?」アクセルは、作り笑いを浮かべながら尋ねた。
ジョナサンは、アクセルの方に視線を移した。アクセルの鋭い視線を感じたジョナサンは、すぐに気まずそうな顔になった。
アクセルは、ゆっくりとジョナサンに近づき、彼の隣に立って、静かにマネージャーの耳に口を寄せた。
「他の人に見られたくないなら、食べれば?」アクセルは、そう警告した。
アクセルは、すぐに距離を取り、オリビアには何でもないかのように笑顔を作った。チキン屋さんに誰がいるのか分かんなかったけど、熱狂的なファンがいるかもしれないってだけは予想してたから…
「食べる?」キャテスが、突然話に割り込んできて、すごい勢いで尋ねた。
突然のキャテスの行動に、アクセルとヒョンアは目を見開いた。その上、ジョナサンは、さっきのアクセルの警告を無視して、めちゃくちゃ嬉しそうに頷いてるし。
「半額サービスしちゃうよー」
「ちょっと!ここはあなたの店だと思ってんの?」オリビアは、キャテスの暴走をすぐに察知して、もう一度警告するように睨んだ。「割引なし!アクセルは休む必要があるから、もう帰んなきゃ」
キャテスは、オリビアをムカつくって顔で見た。「お前の店じゃないし、お父さんの店だろ。残念ながら、お父さんは私のこと息子だって思ってるから、私の店でもあるんだよ」
「え…」オリビアは、言葉に詰まって、ほぼ呆然としてる。
二人の目の前で、アクセルはすでに首を横に振っていた。こめかみを揉みながら、荒い息を吐く。
「いや、いや。とにかく、誰もここで食べない」オリビアはそう言うと、ジョナサンに視線を向けた。「すみません、ジョナサンさん。でも、アクセルは休む必要あるんじゃないですか?ファッションウィークのイベントの後で疲れてるでしょうし」
アクセルは、指を鳴らして、オリビアに同意した。「そうだね、オリビア。あー…マジ疲れた」顔をしかめて、上を見上げながらつぶやいた。
「でしょ?パクマネージャーにも言ったでしょ、ジョングクに無理させないでって」オリビアは、ジョナサンの気持ちを変えようと、また説得し始めた。
困惑した顔のジョナサンは、「疲れてるなら、食べる必要もあるんじゃないの?」と尋ねてきた。
オリビアは、答えるのを少し躊躇した。一方、アクセルが中に入るのを嫌がってるみたいで、かわいそうな気もする。特に、韓国のファッションウィークのステージに出た後じゃ、アクセルが店に入るのは、すごく危険なことだって、よく分かってたから。
すると、キャテスがオリビアをじっと見て、目を細めた。なんか、疑いの気持ちとか、色んな疑問が頭の中に渦巻いてる感じ。オリビアがアクセルと親しげに話してたり、しかもこんな風に送り迎えされてるのを見て…
どうしてオリビアが突然、アクセルと仲良くなったんだろう?
オリビアは、キャテスにすごく話したいこと、いっぱいあるはずだよ。
「アクセル、一緒に食べようよ。せめて…」
「何、騒いでるの?オリビア、もう家に着いたの?」
みんなの視線が、その声の主に向けられた。オリビアと同じくらいの身長の男が、緑のエプロンをして歩いてくる。ちょっとくたびれた感じのフランネルシャツを着てて、40歳くらいに見えるけど、もうすぐ50歳になりそう。
その男は、オリビアとキャテスに近づいてきた。そしてすぐに、アクセルとジョナサンに視線を向けた。
「あ、こんばんは」ジョナサンは、敬意を払って頭を下げた。
アクセルも、丁寧に頭を下げた。オリビアのお父さんと思われる男性に、気まずそうに笑顔を見せる。
「お父さん」オリビアは、慌ててそう呼んだ。「これ…」
父親と呼ばれた男は、すぐに笑顔を広げた。アクセルをじっと見つめた後、目がキラキラ輝いた。
「あら、あなた…見たことある!」その男は、興奮したようにアクセルを指さして叫んだ。「待って、どこでだっけ?あ!オリビアの部屋で見た!オリビア、あなたの写真を4枚も額に入れて飾ってたわよ!」
オリビアは、父親の正直さに、突然目を見開いた。一方、アクセルは、両方の眉を上げて、楽しそうに笑うように促された。キャテスは、いたずらっぽい笑みを浮かべながら、オリビアの肩を小突いて、オリビアの困惑を笑った。
オリビアの頬が熱くなる。しかも、アクセルは、理解不能な表情でオリビアのこと見てるし。でも、マジで、アクセル、その顔もかっこいいんだよな!
「お父さん…なんでそんなこと言うの!」
オリビア、もう終わりだ…これから、どこに顔置けばいいの!?
***
「あら、まさか、あなたみたいな有名モデルが来るとはね」
結果として、アクセルとジョナサンは、オリビアの父親から一緒に食事に行くように言われた。もちろんジョナサンは、食べ物のこととなると、すごく嬉しそう。
オリビアの父親の前で、アクセルは軽く微笑んで、軽く頷いた。オリビアが落ち着かない様子で座ってて、時々、嫌そうな顔で彼の方を見てるのを見かけた。たぶん、お父さんがここに寄るように言ったからかな。
アクセルは、ぎこちない雰囲気をなくそうとして、くすくす笑ってみた。
「いやー、有名モデルじゃないんですけどね。ありがとうございます、ごちそうさまです」
オリビアの父親は、すぐに驚いた顔をして、アクセルを指さした。「ほら、有名モデルじゃないって言うよ。私を騙そうとしてるんじゃないのかい?」彼は冗談を言って、肩を揺らして笑った。
「僕の顔が、あちこちに載ってるんですよ。先週、雑誌の表紙になってたのは、今気がつきました。雑誌の名前と号は忘れちゃったけど」オリビアの父親は、考え事をしているような顔で、そう続けた。
オリビアの父親の冗談が、アクセルに通じたみたいで、他の人たちも笑った。オリビアも、小さな笑顔を浮かべ始めた。それは小さな笑顔だったけど、なぜかアクセルは安心した気持ちになった。
「あの…多分、僕に似てる人がいるだけですよ」アクセルはそう答えてから、チキンを一口食べた。
「そんなわけないよ。ねえ、あなたは実物もイケメンなんだ。あなたの容姿に匹敵する人は、まだいないと思うよ」
アクセルは、すぐに照れくさそうに目を伏せて、くすくす笑った。軽く首を横に振る。
「いやいや、そんなことないですよ。もっとイケメンな人、絶対いますよ。あなたの方が僕よりずっとイケメンですよ」アクセルはそう答えた。
「若い頃の話なら、君の容姿にも負けないくらいだったかもしれないな、息子よ」オリビアの父親は目を細めながら、わざとからかうような表情で言った。
「本当のこと言うと、僕の方がイケメンですけどね」ジョナサンは、アクセルとオリビアの父親の冗談に答えた。
キャテスは笑って、首を横に振った。オリビアも同じく。オリビアの父親は、その冗談を嫌がるどころか、困った顔をした。納得できないって顔をしてる。
「えー、そうだな。君が一番イケメンだよ。君の自信、いいね」
「でしょ?」ジョナサンは興奮してきた。「僕がモデルになるべきだったんだよ。あいつじゃなくて。でも、僕はマネージャーを選んだんだ。アクセル、君はラッキーだね。僕がモデルだったら、君はすぐに追い抜かれてたよ」
アクセルは、ただくすくす笑った。「まあ、ジョナサンさん、どうでもいいけど。あなたが幸せならいいんだよ。ていうか、モデルは僕だし」
その夜、なぜか、アクセルとオリビアの父親は仲良くなった。そしてジョナサンは、冗談を言うことを恐れなかった。
オリビアは、今の気持ちがよく分からなかった。一番大切なのは、アクセルがこんな風にそばにいること、それは彼女が長い間夢見てきたことだったから。
キャテスも、オリビアがアクセルと親しくなりたいって夢をよく馬鹿にしてたんだよね。そんなこと、ありえないって言って。それが今、オリビアは、自分の願いが叶ったって感じてるんだ!