第99章
このスナップチャットのアカウントは、前にナターシャ・クインが使っていたアカウントとは違うんだ。マキシンがジンと別れた後に作ったやつ。
その頃、お母さんは毎日学校を辞めろって言ってきて、ジンやマキシンにも出会ったんだけど、結局みんな裏切られたんだよね。本当に悲しくて、どうしようもなくなって。誰にも相談できない時は、スナップチャットに何か書いて憂さ晴らししてたんだ。
そしたら、2人ネット友達が慰めてくれたんだよね。
ここはナターシャにとって、一番素の自分でいられる場所みたいな感じ。
後で、時間がある時に面白い話を投稿するようになったんだ。
そうしたら、何百人ものファンができたんだ。
もちろん、そんなに多くないし、コメントくれる人だけ。
学校が始まる2日前くらいに、スナップチャットにログインしたら、アストリッド・ライリーの写真をこっそり撮って送ってる人がいたんだよね。アトリッドの写真、悪くないなって思って、ついでにリツイートしたんだ。そしたら、大物Vにリツイートされて、びっくりしたんだけど、アストリッドが大炎上したんだ。
アストリッド・ライリーが大炎上したら、みんなナターシャのスナップチャットを見つけちゃったらしくて、メッセージが増えて、ファンもどんどん増えていったんだ。最初は毎日数十人増えてたのが、後には数百人増えるようになって。この2日間は、毎日何千人もファンが増えてるんだよ。
もともと寂しかったアカウントが、大炎上って感じ。
みんな、ナターシャの話を見に来るだけじゃなくて、たまにDMでやり取りしたり、自分の話をしてくれたりするんだよね。
ネット民はすごい才能があって、コメントも面白いし。ナターシャはパソコンの前でそれを眺めてたら、面白くて。マキシンとブライアンに無視されてたこととか、忘れちゃった感じ。
今日のコメントを読んだ後、ナターシャはもう一度DMを開いてみたら、見覚えのあるアイコンがあったんだ。一瞬止まって、会話を開いたら、相手からメッセージが来てて、お昼に送られたみたいで、甘い口調で「お姉さん、いますか?ちょっとお願いがあるんですけど」って。
ナターシャは寮でマキシンを見てみたら、マキシンは今、真剣にスマホを見てるんだよね…
まさかマキシンからメッセージが来るとは!
興味本位で、ナターシャは返信した。「どうしたの?」って。
マキシンのスマホが2回鳴った。
すぐに、ナターシャに返信が来た。
マキシン:「アストリッド・ライリーのこと、詳しい?」
ナターシャ:「知らない」
マキシン:「じゃあ、どうやって写真見つけたの?」
マキシンは全然炎上しなくて、何日も研究した結果、アストリッドが炎上してる時に、「エンドレスアカシア」っていうスナップチャットにリツイートされてるのを見つけて、その人に連絡を取ったらしいんだ。
ナターシャ:「ネットで見た」
マキシン:「私の写真、リツイートしてくれない?」
ナターシャは返信しなかった。
マキシンのをリツイート?
なんで?
マキシンは炎上したくてたまらないみたいで、ナターシャは助けてあげたくないんだよね。
ナターシャは、あの時はただ運が良かっただけで、他の大物Vのステファニー・スーにリツイートされて炎上しただけで、マキシンが思ってるみたいに最初から人気があったわけじゃないってわかってるし。
ナターシャは心の中でそう思ってたんだけど、まさかマキシンがまた話しかけてくるとは思わなかった。「お金あげるよ、2000円でどう?」
「プッ…」
堪えきれなくて、ナターシャは吹き出して笑っちゃった。
2000円!
マキシンは、自分のスナップチャットをリツイートしてもらうためだけに、2000円もくれるって言うの?
マキシンがお小遣いをたくさん持ってるのは知ってたけど、こんなに太っ腹だとは思わなかったんだよね。2000円なんて、ただの数字みたいなもんだし。
どれだけ炎上したいんだ?
ナターシャの笑い声を聞いて、マキシンは顔を上げてナターシャを睨んだ。自分とブライアンがあんなに酷い態度をとってるのに、ナターシャはまだ笑えるんだって。
ナターシャを見下した後、マキシンはまたスマホを見た。
もともと2000円でも多いと思ったんだ。昨日、大物Vに頼んだんだけど、2000円だったんだよね。この人はあの人ほどファンもいないし。
それが…
相手は全然返信してこない。
ちょっと焦って、マキシンはナターシャにメッセージを送った。「お金少ないと思う?もっと足せるよ、500円追加して、いい?」
2500円…
ナターシャは、スナップチャットをリツイートするだけで、こんなにお金がもらえるなんて、考えもしなかったんだよね。
バイト頑張って、ずっとやってるのに。
もちろん、この2500円なんて、マキシンにとっては全然大したことないんだけど。
でも、ナターシャはマキシンを断った。「私のスナップチャットは、今は短編小説書いてるだけだから、商売にはならないんだ。ごめんね、手伝えません」