第107章:嘘は真実か
トリクシーはダリルのオフィスに行くためにサドロに電話をかけたんだけど、マスクの持ち主と、その裏にある真実を知って、マジでビックリしちゃった。
「すみません、ブレイデン夫人。昨日ダリルのオフィスに来た時、うっかりここに置きっぱなしにしちゃったんです。」
サドロはゴミ箱からマスクを拾い上げて、丁寧に拭いてから説明した。「これ、僕が出席したクラブから送られてきたんですよ。返さなきゃいけなかったんですけど、ここに忘れちゃって。本当にすみません、ブレイデン夫人、ダリルを誤解させてしまって。」
サドロの謝罪の顔には嘘はないように見えたけど、トリクシーはまだ何か変だって感じてたんだ。
「なんでマスクをここに置きっぱなしにしたの?」
「昨日、仕事終わりに何人かの友達と約束してたんです。それで、ダリルに書類を一時的に持ってきてくれって言われて、書類をバッグから出した時に、マスクも一緒に取り出しちゃったんです。急いでたから、そのまま忘れちゃって。」
トリクシーを恐れているようなサドロの顔、まるで攻撃されるんじゃないかって。すごくみじめに見えて、トリクシーはもう怒る気にもなれなかった。ため息をつくことしかできなかったんだ。
トリクシーはよく考えてみた。この種のマスクは、「禁断の愛」クラブだけのものではないんだ。色んなマスクパーティーやクラブで使える。それに、このマスクは下品でもなければ高級でもない。クラブとかにはすごく向いてるし、卸値もすごく安いんだ。
心配することが何もないとわかって、トリクシーの最初の怒りはだんだん落ち着いていった。ダリルとサドロの説明も辻褄が合ってるし、欠点も見つからない。一体、何を言えばいいんだろう?
トリクシーは笑顔でサドロに説明した。「誤解だったんだけど、ごめんなさいね。私がちょっと神経質すぎたわ。」
サドロが帰った後、トリクシーは明らかに怒っているダリルを見て、ダリルをなだめなきゃって思ったんだ。
「ごめんね、ハニー。自分を怒らせちゃだめだったわ。あなたが言ったことを信じるべきだったの。最近、ウィルソン夫人がね、友達が旦那さんと特別なクラブに入ったんだって。そこに入ったら、マスクとか何かをつけなきゃいけないんだって。それで、このマスクを見たとき、色々考えちゃって…」
ダリルはため息をついた。トリクシーの謝罪には逆らえなくて、突然トリクシーを抱きしめたんだ。
「お前の心配してること、よくわかるよ。前にも俺が浮気してるんじゃないかって疑っただろ?でもさ、なんで俺があんなことしないと思う?それは、お前みたいな優しくて貞淑な妻と、キンスリーみたいな可愛い娘がいるからだよ。もし何かあったら、まず俺に話してくれ。いきなり結論を出すのはやめてくれよ。俺はただ、お前が俺に飽きて、離婚したいのかと思ってたんだ。」
トリクシーは慌てて否定した。「まさか!」
ダリルはトリクシーに笑って言った。「じゃあ、なんで毎日俺のこと疑うんだよ?」
仕事の後、ダリルはトリクシーとキンスリーを学校に迎えに行って、新しくオープンした洋食レストランで一緒にご飯を食べたんだ。トリクシーは、父と娘の可愛い絆を目撃したんだけど、まるで夢の中にいるみたいにふわふわした気分だった。
正直、サドロがマスクの出どころをちゃんと説明したけど、トリクシーはその後もずっと、事が単純じゃないって感じてたんだ。ダリルの引き出しにマスクがあったのも、偶然じゃないってずっと思ってたんだ。
次の土曜日、ダリルはいつものようにキンスリーを連れて釣りに出かけた。
ダリルは普段、キンスリーの世話を頻繁にするわけじゃないけど、キンスリーはダリルとすごく仲良くて、会うたびにたくさんキスしてた。
ダリルとキンスリーが出かけた後、トリクシーは家を掃除し始めて、シーツ、キルト、ソファーカバーを全部取り外して洗濯機に突っ込んだんだ。
突然、電話が鳴った。
トリクシーは急いで手を拭いて電話に出た。相手の名前も見ずに、すぐに繋いだんだ。
「もしもし?」
「ブレイデン夫人です。」
トリクシーは、相手からの低く冷たい声に、思わず一瞬止まった。この冷たい声は、トリクシーにはすごく聞き覚えがあった。もしかして、ジェイデン・ロバーツ先生?
「ロバーツ先生?どうしてこんな時間に電話を?治療回数はもう使い切ったはずですけど。」
ロバーツ先生がトリクシーに電話してきた理由は、何か報告するべきことがあったからなんだ。トリクシーはなんで電話してきたのかわからなかったけど、自分の双極性障害の治療について考えていたんだ。
「治療のことじゃありません。以前お願いした件について、何か見つけました。」
その時、トリクシーは最後の治療の時に、アリーソンを見張っててってロバーツ先生に頼んだのを思い出したんだ。
まさかロバーツ先生がアリーソンのことを報告してくるとは思ってなかったし、意外なことに、あの冷たい声の男は何か企んでるみたいだったんだ。
「何が見つかったんですか?」
「アリーソンは以前結婚していて、あることが原因で離婚したそうです。」
「どうしてそんなことがわかるんですか?」
「彼女に夕食に誘われて、お酒を飲みすぎたみたいで、うっかり話してました。」
トリクシーは何を言えばいいのかわからなかった。でも、ロバーツ先生の情報だけじゃ足りないから、次の質問をしたんだ。
「彼女が離婚したってことは知ってるけど、元夫のことはわからないんです。」
「その男の名前はオリバー・フィンリーです。弁護士をしています。今はこの街にいて、数日前にアリーソンに会ったようです。」
ロバーツ先生の言葉は、トリクシーを動揺させた。この男を探すのはやめようと思ってたのに、ロバーツ先生が突然、道を開いてくれたんだ。
でも、よく考えたら、アリーソンはロバーツ先生と繋がりがあるんだ。アリーソンはなかなか真実を話さないけど、この破局した女は、自分の過去の恋愛歴を好きな人に知られたんだ。
最初は、トリクシーは少し罪悪感を感じたんだ。こんな風に利用するのは、ちょっと意地悪かなって。でも、マスクの事件の後、真実を突き止めたいって思ってたんだ。いつも何かがおかしいって感じてたから、見逃したくなかったんだ。
「オリバーの連絡先はありますか?」
「はい。」
そう言うと、ロバーツ先生は直接トリクシーに番号を送ってきたんだ。
「ありがとうございます。今度ご飯に誘いますね。」
トリクシーは丁寧にしたかったんだけど、ロバーツ先生はちょっと強引だったんだ。
「今度はないです。今すぐ会う必要があります。直接来てください。食べ物は買っておきました。」
「でも…」
「アリーソンも色々と話してくれました。もし興味があるなら、来てください。」
そう言うと、ロバーツ先生は、トリクシーに話す隙も与えずに、電話を切ってしまったんだ。
電話の向こうからの「プー」という音を聞いて、トリクシーは呆然として、その場から動けなかったんだ。我に返った時、トリクシーは、ロバーツ先生のやり方はちょっと乱暴だって感じた。
これが、ロバーツ先生のキャラクターなのか? 彼は人を脅して、何かさせるような人なのか? もしかしたら、彼は双極性障害の治療のことだけを気にしてるのかもしれない。トリクシーは心の中でそう思ったんだ。
洗濯機が終わり、洗濯物を全部干し終わると、軽く身支度をして、鍵とコートを持って出かけたんだ。
トリクシーはロバーツ先生の別荘まで車で行き、車を停めた。ドアをノックする前に、ドアは直接開いたんだ。
変わらないロバーツ先生の氷のような顔を見て、トリクシーは笑顔を作った。どうしてか、彼の顔を見ると、緊張せずにはいられないんだけど、それでも礼儀正しく「ロバーツ先生」って言ったんだ。
ロバーツ先生は一歩前に出て「入りなさい」って言ったんだ。