Chapter 15: 親子鑑定
ジェッサのぺちゃくちゃした話を聞いてたら、トリクシー・アルバート・ブレイデンの心臓がズキズキ痛んだ。「浮気」なんて言葉、今一番聞きたくないことだった。でも…聞かずにはいられなかった。
「なんでそんなこと、知ってるの?」トリクシーは興味津々。
「なんでって?あいつ、小狐のために家を買ったんだよ。そんで、そのビッチは誰だか知らなくて、家に帰ってきてあたしに文句言ってきたんだから!」ジェッサはすごくバカにした感じで言った。「若いからって?なんだってんだよ。あたしだってあいつのこと何年も見てきたんだから、手段くらいあるわよ。二人の浮気の証拠を掴んで、弁護士に訴えて…やったんだから!で、どうなったと思う?あいつ、自分で小狐と別れて、家をあたしの名義にしたんだから…」
トリクシーは、ジェッサのその後の話は全然聞いてなかった。
ダリルの資産が長年どうなってるか、トリクシーはよく知ってる。会社での自分の株とかも。でも、あいつがこっそり家を買った可能性を否定はできない。
それを考えると、トリクシーは眉をひそめた。いろんなことが頭をよぎって、落ち着かない。もしかしたら、ジェッサが言ってたみたいに、ちゃんと調べてみるべきなのかも。
家に帰って、トリクシーはソファにしばらく座ってた。それから、いてもたってもいられなくなって掃除を始めた。トリクシーとダリルは家にいること少ないし、キンスリーもいたずらっ子じゃないから、リビングも、マスターベッドルームも、セカンドベッドルームもあっという間に終わった。
でも、書斎を掃除してたら、たまたまダリルの机の上に開いた封筒を見つけちゃったんだ。好奇心に駆られて、トリクシーは中の書類を取り出した。
「親子鑑定」って言葉が目に入った瞬間、トリクシーはギョッとして一歩後ずさった。書類も手から落ちて、床に散らばった。なんでここに、親子鑑定の結果のファイルがあるんだ?
トリクシーは我に返って、床に落ちた何枚かの紙を拾い上げた。鑑定人の名前をちゃんと見る前に、ドアの外から足音が聞こえてきた。
そして、書斎のドアが開いて、ダリルが息を切らして現れた。トリクシーが親子鑑定の書類を持ってるのを見て、ダリルの顔色は明らかに変わった。
でも、すぐに落ち着きを取り戻したみたいで、トリクシーはなんだかホッとした。
「マジでビビったよ。これ、なくしたのかと思った」ダリルは、トリクシーの手���ら書類を自然な感じで受け取って、封筒にしまった。
「これは誰の親子鑑定?」トリクシーは、どうしてそんな質問をしたのか分からなかった。頭の中が真っ白で、息苦しさまで感じた。
「これは、友達に頼まれて調べたんだ。奥さんが浮気してるんじゃないかって疑ってて、子供が自分の子じゃないんじゃないかって心配してるんだよ」
ダリルは丁寧に封筒を封印して、出て行こうとした。トリクシーは突然手を伸ばして、ダリルの腕を掴んだ。「どの友達?」
「仕事関係だよ。お前は会ったことない」ダリルはすんなり答えた。
「ちょっと見せて…」トリクシーは食い下がった。
ダリルはイライラした。「他人のプライベートなことなんだから、別に良くないだろ」
そう言って、ダリルは封筒を持ってドアから出て行った。トリクシーはそこに立ち尽くした。ドアの方向を見て、トリクシーは突然崩れ落ちた。
ダリルの態度で、トリクシーはダリルが本当に何か隠してるんだって確信した。トリクシーが落ち着きを取り戻すまで、ずいぶん時間がかかった。
やりすぎちゃダメだ。トリクシーにはまだキンスリーがいる。ブラウンさんが言ってたみたいに、落ち着いてなきゃいけないこともある。ふと見ると、リビングの壁に掛かってる写真の横に、小型カメラがあった。
ある考えが、トリクシーの心の中で静かに芽生えた。
会社で、一週間の出張があることになった。トリクシーは行きたくなかったけど、今思えば、これはまたとないチャンスだ。
トリクシーは、ダリルが、トリクシーがしばらくいないと、我慢できなくなるのかどうか、知りたかった…