第141章 同僚のWeChat
ううん、フランクはそういう人じゃない。
そう思った瞬間、トリクシーは即否定した。
フランクとのやり取りからすると、彼はそんなことするタイプじゃない。
正直、ダリルよりずっと色んな面で良いし、こんなことでトリクシーとダリルの関係を悪くする理由もない。前にダリルの浮気を調べた時、フランクはすごく協力してくれた。リスクを冒してまで、トリクシーがそういうのに遭遇するのを手伝ってくれた。たとえそれがひどいことだとしても。あの時は、すぐに証拠を見つけて、トリクシーがダリルと離婚するかどうかの決断を待つだけだったんだから。
でも、これはただの疑いであって、真実なんてない。
トリクシーは途方に暮れた。
トリクシーはフランク・ジェイコブを信用してた。でも、よく考えると、彼以外にこんなことする人っているのかなって思ったら、ちょっと不安になったりして。
次の日、トリクシーは会社の前で立ち止まって、迷ってた。
っていうか、会社の人に告白するのも恥ずかしいのに。その上、昨日の写真のせいで、フランク・ジェイコブとどう接したらいいのか、ますます分からなくなっちゃった。
震えるような気持ちで、朝からずっと、社長室をチラチラ見てた。
幸いなことに、フランクは今日はすごく忙しいみたい。ほぼ一日中、オフィスにいて、全然出てこない。たまに出てきても、社員が提出した資料に何か問題があった時くらい。
それに、トリクシーは彼が今日、機嫌悪いことにも気づいた。
でも、今までどんなに資料が悪くても、部下にきつい言葉を言ったりはしなかったのに。今日は、もう4回も怒ってて、会社全体がピリピリして、誰も話しかけようとしない。
お昼、パールがトリクシーに電話して、一緒にご飯食べようって誘ってくれた。2人はよく行く、下の階のレストランに行って、美味しい料理を注文して、一緒に座った。
「今日の社長、どうしたの?急にそんなに機嫌悪くなって、マジでビビったんだけど」パールが座るなり、すぐに聞いてきた。
「うーん、ただ気分が悪かっただけじゃない?」トリクシーは上の空で、ずっと写真のこと考えてた。
「そういえば、お姉さん、社長が帰った後、どれだけムカついてたか知ってる?私が会社に入ってから、あんな顔見たことない!」パールがそう言うと、トリクシーはハッと我に返って、「その時、社長は何て言ってたの?」って聞いた。
「別に何も」パールは首を振った。「ただバラをゴミ箱に捨てて、それから帰っただけ。誰も聞けなかったし。実は、お姉さんが来る前に、社長は同僚全員に、お姉さんに告白したって言ってたんだけど、それから男たちはヤジって、お姉さんが約束しないって言ったんだよね。それが社長の怒りの大きな部分だと思う」
パールは真剣に、フランク・ジェイコブがなんでずっと怒ってたのか分析してくれたけど、トリクシーはあんまり興味なかった。でも、パールは悪気なく言ったんだろうけど、トリクシーは自分が薄情者な気がした。
だって、トリクシーにとってはただの同僚で、こんなことで気まずい状況を作りたくなかったから。
「そうそう、お姉さん、今日の社長のマイクロブログ見せてあげる」パールはスプーンを口にあてて、スマホの画面をじっと見てた。
でも、トリクシーはフランク・ジェイコブにはあんまり興味なかったから、全然気にしてなかった。だから、スープを飲んでた。
そしたら、パールがスマホをトリクシーに向けて、トリクシーは顔を上げた。
そこには、フランク・ジェイコブが風景の写真をアップしてるだけで、他には何もなかった。
トリクシーは彼の投稿を見て、特に何も思わなかった。それに、フランク・ジェイコブのことに興味ないし、全然気にしてなかった。
何か適当なこと言おうとしたら、パールのスマホが振動して、WeChatのメッセージが突然表示された。
そこからは、WeChatのアイコンもニックネームも見えない。表示されてるのはメッセージの内容だけ。
「彼女とご飯食べてるの?」
この一言で、トリクシーは眉をひそめた。
メッセージをちゃんと見たかったけど、パールはすぐにスマホを引っ込めて、返信し始めた。でも、トリクシーは人のプライベートを尊重して、それ以上聞けなかった。でも、メッセージの内容が本当に気になった。
「もしかして、彼氏から?」トリクシーはそれとなく聞いてみたけど、パールは驚いたみたいで、トリクシーを数秒間じっと見てた。
それから、恥ずかしそうに頷いた。「新しい彼氏だよ。何してるの?って聞かれたから、お姉さんとご飯食べてるって言ったの」
パールの返事は普通のことだったけど、その態度と反応に、トリクシーは何か疑わしいって感じた。
なんで、彼氏と話すのにそんなに緊張するんだろう?
だから、トリクシーは半分冗談で、パールの反応を見たかった。
「マジ?まさか、フランク社長に何か買ってもらったりしてないよね?」
「え?」パールは勢いよく首を振った。「トリクシーお姉さん、社長のこと好きじゃないでしょ。社長が何か買ってくれたとしても、意味ないじゃん」
そう言って、トリクシーに近づいて、小声で言った。「でもトリクシーお姉さん、マジで旦那さんに夢中なの?で、社長みたいな良い条件の人に、全然揺るがないの?」
トリクシーは微笑んでため息をついた。「私は欲張りじゃないから。旦那は9年間ずっとプレゼントしてくれてるし。なんで、また他の男の人に惚れなきゃいけないの?」
「そうだね」パールはそう答えて、またスープを一口飲んだ。普段通りで、何も変わったところは見えなかった。
でも、トリクシーは、会話が終わった後、彼女の手がひざの上で強く握りしめられてるのに気づいた。
トリクシーは行動心理学を履修してたから、パールのその行動が人の緊張を表してるってよく分かってた。
ご飯を食べ終わって、2人は会社に戻った。
周りの女の子と楽しそうに話してるパールの様子を見て、トリクシーは自分が幻を見たのかって疑った。
でも、さっき確かに、逆流にすごく緊張してるパールを見たはずなんだ。
色々考えると、トリクシーはフランク・ジェイコブの動きも監視しなきゃいけないのかなって思った。
でも、別にいいや。結局、誰だって時間とお金を無駄にしたくないだろうし。特にパールみたいに、会社に入って間もない新入社員には。
3時まで会社にいて、トリクシーは自分の荷物をまとめて、学校にキンスリーを迎えに行った。
娘が元気な子鹿みたいに飛び出してくるのを見て、トリクシーの嫌な気持ちは吹き飛んだ。今のトリクシーにとって、一番リラックスできる時間は、娘と2人きりでいる時なんだ。
「あら、今日はキンスリーのお迎えですか」後ろから少し低い男の声がして、トリクシーは振り返ると、フランク・ジェイコブだった。
少しの間があって、小さな男の子が彼の手を握ってるのを見て、フランクが甥っ子を迎えに来たんだって分かった。
最後の告白は気まずかったけど、まあ、向こうから話しかけてきたんだし。
トリクシーは笑顔を作って、丁寧だけどよそよそしく言った。「はい、今日は旦那がちょっと忙しくて」
フランク・ジェイコブは腕時計を見て、何気なく言った。「時間ありますか?どこかでお茶でもしませんか?少し話したいことがあるんです」
「それは…」トリクシーは困ったように言った。「社長、私たち2人で話すのは、ちょっと…特に今は…」
「大丈夫です。ただの世間話ですから、それ以外のことではありません」社長はすぐに答えた。
トリクシーはフランクの目をまっすぐに見つめた。まるで、本当に彼女に誘いを受けてほしいって言ってるみたいだった。