第82章 追跡
トリクシーは一瞬止まった。彼女は認めも否定もしなかった。
フランクはため息をつき、彼女にはどうしようもないように見えたが、何も言わなかった。
実際、トリクシーはフランクがなぜ彼女に「禁断の愛」を調査させないのか理解できなかった。それはただのクラブで、ヘビがうようよいる沼地のドラゴンの洞窟なんかじゃない。
「ただ、うちの旦那が参加してるのか知りたいだけなの」
フランクは彼女にずいぶん協力してくれた。彼女は彼にとても感謝していたので、自分の考えを率直に口に出した。
トリクシーが驚いたことに、フランクは以前のように彼女を警告することはなかった。
「もし調査したいなら、マイク・アンドリュースってやつを探してみるといい」
その名前を聞いて、トリクシーは少し驚いた。
昨夜、ダリルは彼と電話で話していたのだ。
「彼はクラブのメンバーなの?ほかの人に聞いたけど、クラブの情報は公開されてないの。何か聞けるのかしら?」
「彼は数少ないメンバーの審査と対応を担当してるから、彼の口から何か聞き出せるかもしれないな」
フランクはとてもはっきりと言ったので、トリクシーは彼がクラブに入っているのではないかとさえ感じた。そうでなければ、どうしてそんなに知っているのだろうか?
「知ってるわ。でも、どうしてそんなに知ってるの、フランク・ジェイコブ・ディレクター?もう行ったことあるの?」
トリクシーは半分冗談で尋ねた。フランクはただそこに立っていて、もうこの話題には関わりたくないようだった。
「このクラブに入れるのは夫婦だけだ。結婚証明書なしでどうやって入れるんだ?前に聞いたときは少し興味があっただけだ。お前は早く終わらせるんだな、明日は計画が実行されるんだから」
自分のオフィスに向かって歩いていく彼の背中を見て、トリクシーは、フランクが何か秘密を隠しているように感じた。
夜、家に帰ると、ダリルはすでに夕食を作っていた。
トリクシーとキンスリーがドアに入ってくるのを見て、彼は大急ぎで彼らに食べに来るように呼びかけた。
「うちのプリンセス2人が帰ってきたぞ!」
彼は笑顔でキンスリーを抱き上げ、3回ぐるっと回って、まるで子供のように楽しそうに笑った。
トリクシーは目の前の光景を見て、突然途方に暮れた。知らないことがたくさんあった。こんなに温かい瞬間を見たのは、いつのことだっただろうか?
この光景を見て、彼女はとても温かい気持ちになった。でも今は、ダリルが罪悪感を感じているだけだと思い、彼女とキンスリーへの報酬を2倍にし始めた。
トリクシーはそんな愛は欲しくなかった。
食事の後、トリクシーはキンスリーを寝かしつけた。キンスリーが眠りにつくと、彼女とダリルは寝室でテレビを見ていた。
「今日、会社で誰かが私に写真を送ってきたの」
トリクシーは突然、その写真について話し始めた。ダリルは最初はあまり気にせず、むしろ興味深く見たいと思っていた。
しかし、写真の内容を見ると、彼はすぐに固まった。ほぼ次の瞬間、彼はトリクシーの手をしっかりと握り、その目は不安でいっぱいだった。
「奥さん…」
「話して」
トリクシーの口調はとても穏やかだった。彼女の心はすでに怒っていたが、それでもダリルの説明を辛抱強く聞いた。
「数日前、エリンに服を替えてもらおうと思って、汚れたやつをオフィスに置いといたんだけど、後で見たら見つからなくて…誰が持っていったのかも分からないし、あの人のことも知らないんだ」
ダリルはトリクシーに彼を信じさせようと誓い、トリクシーはその真剣な態度に心を動かされた。
「彼女に聞こうとしたんだけど、ブロックされちゃったの」
トリクシーはダリルに、チャット記録のスクリーンショットをもう一度見せ、ダリルはさらに腹を立てた。
彼は友達を追加しようとクリックしたが、ページには追加できないと表示されたので、自分のマイクロシグナルで彼らを追加した。
しかし、確認情報が送信されるとすぐに、相手は同意した。
ダリルはためらうことなくビデオ通話を開始し、相手はすぐに接続した。
しかし、相手のカメラは2回揺れ、真っ暗で何も見えなかった。
ダリルは眉をひそめ、直接口を開いて試した、「僕の服を持っていったのか?」
長い間待っても、相手は応答せず、何も聞こえなかった。ダリルは我慢できず、数回叫んだが、それでも応答はなかった。そして、ビデオは切られた。
トリクシーとダリルはお互いを見つめ合い、その時、どう反応すればいいのか分からなかった。ダリルを見たとき、彼は嘘をついたり、他の人と共謀して彼女をだましたりしているようには見えなかった。
しかし、もし服が本当に奪われたとしたら、誰がやったのだろうか?
「今、奥さん、そんなくだらないこと考えないで、ただの事故かもしれないよな?もし本当に気が済まないなら、明日会社に行って、お前のために監視してやるよ」
ダリルの言葉はトリクシーをためらわせたが、今では確認と監視以外に方法はない。しかし、トリクシーが落ち着いた後、彼女はこの問題についてあまり気にかけなくなった。
これと比べて、彼女がもっと知りたかったのは、ダリルが「禁断の愛」に参加したかどうかということだった。
昨日フランクとの会話を通して、彼女は、いわゆる「禁断の愛」がジェッサが言っていたような特別なクラブであることを知った。しかし、何が特別なのか?フランクはとにかく言うことを拒否し、トリクシー自身に確認させているだけだった。
彼からマイク・アンドリュースの連絡先を入手した後、トリクシーはすぐにマイク・アンドリュースを探しに行くのではなく、フランクに会いに行き、水曜日に休みを申請した。
ナタリーに関する彼女の調査は、まだ終わっていない。
水曜日の朝が来て、彼女は意図的にダリルに、今日はナタリーを連れてきて目の検査を受けるように促した。ダリルは返事をし、キンスリーを学校に連れて行った。
約10分後、トリクシーも階下に降りた。ダリルに見つからないように、彼女は車を運転せず、タクシーを予約した。
彼女は運転手と距離を保ち、ダリルを追跡した。ダリルはキンスリーを学校に送った後、ナタリーの学校に行ったことが分かった。トリクシーは運転手に、ダリルの車が見える目立たない場所に車を停めるように頼んだ。
ダリルは約20分間中に入り、ナタリーと一緒に出てきた。
トリクシーは、ナタリーは出てきたときも同じ場所を見ていたが、盲人用の杖を持っていなかったことに気づいた。意味が分からない。前にナタリーに会ったとき、彼女は盲人用の杖を持って出てきた。
寮から図書館まで、いつも杖を持っていたのに、なぜ病院に着くまで持っていなかったのだろう?ダリルが原因?しかし、ダリルは彼女を抱きしめることもなく、ただ車のドアを開けるのを手伝っただけだ。
その考えで、彼女は彼らが出て行くのを見た。トリクシーはナタリーに対してより深い疑念を持ち、彼女はナタリーが全く見えていないのではないかと感じた。しかし、証拠がないため、まだ結論を出すことはできなかった。彼女は後でナタリーの主治医に会いたいと思った。
ダリルはナタリーをダウンタウンの病院に連れて行った。
彼らが止まるのを見て、彼女も急いで料金を払い、降りた。
彼女の目は彼らにしっかりと向けられ、決して離れることはなかった。彼女は注意深く彼らを追いかけ、4階の眼科まで行った。トリクシーは角に隠れて、ダリルがナタリーの手を取り、医者のオフィスに入るのを見た。
その瞬間、トリクシーは飛び出したが、理性は彼女を止めた。真実を知るために、彼女は彼らを驚かせることはできなかった。そうでなければ、他のすべては失敗に終わるだろう。