第23章 女性の直感
うちの中のレイアウト、めっちゃイケてるんだよね。色使いも基本、黒、白、グレーで統一されててさ。入ってすぐ、デカいフランス窓があって、その下に定番のオフィス用ソファがあるんだよね。
家全体がマジで綺麗で、トリクシーは、その女性心理学者の人、潔癖症なんじゃね?って思った。
「やあ。」
低い男の声が階段から聞こえてきた。
トリクシーが顔を上げると、めっちゃオシャレした若い男が階段を降りてきたんだ。見た目は30歳くらいで、背も高いしスタイルも良くて、顔もイケメンだから、外に出たらきっと女の子たちがキャーキャー言うんだろうな。
その男がトリクシーに近づいてきて、手を差し出したとき、トリクシーはハッとして、慌てて手を差し出して挨拶したんだ。
軽く触れただけだったんだけど、男は手を引っ込めて、近くのソファに座った。「座って。」
トリクシーは座って、ちょっと気まずい感じだった。話す前に、男はアンケートを取り出してトリクシーに押し付けたんだ。
「自己紹介して。俺の苗字はジェイデン。ジェイデンって呼んで。あなたの状況はもう知ってる。具体的な治療プランは、このフォームに記入してから決めるよ。」
彼は簡潔に話し、ペンをトリクシーに渡すと、分厚い本を手に取ってパラパラめくり始めた。書く音とページをめくる音で、トリクシーは人生ってこんなに快適なんだって初めて感じたんだ。
そこで、トリクシーはダリルの浮気のことなんか考えなかった。アンケートを全部書き終えても、この静けさを壊したくなかったんだよね。
「書き終わった?」
ジェイデンは本を脇に置き、自分の腕時計を見た。それから、トリクシーが書くのをやめたのを見て、そのまま腕時計を取った。
彼が上の内容を分析するのに夢中になっているのを見て、トリクシーは急に気まずくなった。
まるで、自分の傷を他人に見せるような気分。手があっちこっちに動いて、気まずいんだよね。
「あなたはもう帰っていいよ。料金表はテーブルの上にあるから。お金を払って、現金で振り込んでね。」
ジェイデンは用紙を折りたたんで、近くのフォルダに入れた。それから、彼は立ち上がって階段を上ったんだ。
トリクシーは慌てて彼のアームを掴んで、眉をひそめながら尋ねた。「お金を払うとしても、診断結果くらい教えてくれてもいいんじゃない? 病院だったら、少なくとも検査結果くれるじゃん。ここでは何も分からずに金だけ要求するの? マジで冗談?」
ジェイデンは彼女のシワくちゃの袖を見て、その顔には「近づかないで」って書いてあるみたいだった。
「あなたは精神的な病気じゃない。」
彼はそんな一言を言い、トリクシーは固まってしまったんだ。
彼女は不安とか、鬱とかないの?
彼は彼女の手から袖を取り、相変わらず無表情だった。「それか、あなたの具体的な状況を教えてくれたら、分析してあげるよ。でも、お金を足してもらわないと。」
マジで金のことしか考えてないんだ! トリクシーは心の中でこっそり文句を言い、彼を追いかけてさっきの場所に座ったんだ。
トリクシーはジェイデンに、下着を見つけたり監視カメラを自分で設置したこと以外、最初から最後まで全部話したんだ。自分の疑問も含めて。
「あなたは心理学者じゃなくて、離婚弁護士を探すべきだよ。」
もしジェイデンの顔が無表情じゃなかったら、トリクシーは彼がからかってるんじゃないかって思ったはず。でも、彼の真剣な表情がトリクシーを動揺させたんだ。
もし彼女が不安なだけじゃなかったら、本当にダリルに問題があることになる。でも、証拠はないし、今の推測はただの疑いなんだ。
「彼に直接聞いてみる?」
彼は尋ねた。
いや、彼は認めないだろう。トリクシーはそう確信してる。何度も間違えてきたから、これのせいでダリルとの関係を壊したくないんだ。でも、心の中で答えが出ない疑念は、彼女を眠れなくさせたんだよね。
「人の直感は、時々当たるものだよ。」
そう言い残して、ジェイデンは本を持って階段を上った。トリクシーだけがソファに座って、ぼうっと一点を見つめていた。しばらくして、彼女は我に返り、お金を置いて立ち去ったんだ。
家に帰ると、ドアを開けるなり、キンスリーが飛んできてトリクシーの腕に飛び込んできた。「ママ!」って言いながら。トリクシーの心は優しくなった。
ダリルは物音に気づいて、キッチンから顔を出した。トリクシーには先にキンスリーと遊んでてって言ってて、ご飯はすぐできるって言ってた。家の中の温かい雰囲気に、トリクシーはちょっと放心状態だった。目の前の全てが、まるで夢みたいで現実味がないって感じたんだ。
前は、ダリルとこの小さな家族を一緒に築いていくことにすごく憧れてたのに、今は、偽りの姿だけなんじゃないかって不安なんだ。ダリルと結婚して9年、一度も彼を疑ったことなかったんだ。もし本当に浮気してたとしたら、もっと前から始まってたのかな…?
色々考えた結果、トリクシーはもう考えるのをやめたんだ。
「ママ!」
トリクシーが何度も呼ばれても返事をしないから、キンスリーは焦ってトリクシーの服を引っ張ったんだ。トリクシーは我に返り、しゃがんでキンスリーを見上げた。「どうしたの、ベイビー?」
「今日、パパが迎えに来てくれたとき、ピアノの先生も一緒に来たの! 先生がいっぱい美味しいもの買ってくれて、それを寝室に置いといてくれたの。ママに見せてあげる…」
キンスリーは興奮して言った。
先生が来た?
それを聞いて、トリクシーは胸騒ぎがしたんだ。また家庭訪問? でも、この前も来たばっかりじゃん?
「人の直感は、時々当たるものだよ。」
ジェイデンの言葉が、突然頭の中で響いた。
トリクシーはキンスリーと一緒に部屋に行こうとした。ちょうど立ち上がろうとしたとき、ダリルが突然料理を持って出てきて、「ご飯食べよう」って言ったんだ。
ご飯の後、ダリルとキンスリーは一緒にキッチンで皿を洗ったんだ。父と娘は一緒に洗って拭いてて、すごくいい感じだった。でも、トリクシーの頭の中はもう二人のことなんかじゃなくて、キンスリーが言ってたことでいっぱいだった。
ついに我慢できなくなって、立ち上がってキンスリーの寝室に行ったんだ。ドアを開けた瞬間、強烈な匂いが鼻をついた。
トリクシーの顔色がすぐに変わり、ドアを直接開けて入ったんだ。部屋は綺麗で、彼女が片付けたときと変わらず、何も動いてない。
でも、ベッドに近づくほど、匂いが強くなるんだよね。
トリクシーは子供じゃない。その匂いには覚えがあるんだ。
ダリルとそういうことをした後はいつも、隠すために香水をかけてたんだ。でも、キンスリーの寝室は、まるで今終わったかのようにいい匂いだったんだよね。
ダリルがキンスリーの部屋の女とベッドにいるかもしれないって考えて…トリクシーの胃が締め付けられたんだ。慌ててバスルームに走り、吐くまで吐いたんだ。
ダリルは物音に気づいて、キッチンから出てきて、トリクシーがバスルームで吐いているのを見て、急いで行って彼女にペーパータオルを渡した。
トリクシーはそれを見て、返事はせずに首を振って、立ち上がって洗面台に行って口をゆすいだんだ。
鏡越しにダリルを見て、彼女は彼に直接問い詰めたいと思った。でも、リビングにある小型カメラのことを思い出して、突然それを我慢したんだ。
カメラの角度なら、リビングとキンスリーの部屋がちょうど見えるんだよね。監視映像を再生すれば、二人に何が起こったか本当に分かる。
ダリルが寝るのを待ってから、携帯電話を持って書斎に走ったんだ。
監視ビデオを再生して、キンスリーが学校から帰ってきてからの映像を見た。
ピアノの先生は、ダリルとキンスリーと一緒に本当に帰ってきたんだ。しばらくリビングでキンスリーのピアノの先生を指導した後、ダリルは彼女をキンスリーの部屋に呼んだんだ。
二人がドアを閉めるのを見て、トリクシーはほとんど叫びそうになった。二人はキンスリーの部屋にいたんだ…
「奥さん?」
ダリルの声が突然して、トリクシーはびっくりして、彼の携帯電話が「パリン」と地面に落ちたんだ。