第95章 マスクの手がかり
「ブレイデンさん?」
トリクシーがエリンを見ると、エリンもびっくりした顔で、何ていうか、めっちゃ動揺してる感じ。フランクの袖をぎゅって掴んでるし。
「マシュー秘書?なんでここに?」
トリクシーも驚いたフリ。フランクとエリンを交互に見ながら、「ダリルが最近、ジェイコブ部長と何か一緒にやってたなんて、聞いてないんだけど?」
この言葉に、エリンはさらに顔を赤くして、俯いてフランクの袖をさらに強く掴んだ。
なんか落ち着かないみたいで、フランクはすぐにエリンを抱き寄せた。
「トリクシー、紹介するよ。俺の妻。」
妻?!
エリンがフランクの奥さんになったって?!トリクシー、笑っちゃいそう。だって、フランクからのアプローチ、ずっと無視してたのに?まさか、結婚しちゃうなんて。
でも、フランクが最近結婚したなんて話、全然聞いてないし。
「そっかー。ジェイコブ部長、結婚したって言ってなかったね。エリンは旦那の秘書でもあるんだ。じゃあ、何かお祝いしなくちゃ。」
「まだ結婚したばっかりで、あんまり人に知られたくないんだ。」フランクは無理矢理笑って、甥っ子とエリンを連れて、そそくさとオフィスに向かった。
ドアが閉まる鈍い音を聞いて、トリクシーは口を尖らせて首を振り、エレベーターに向かった。
トリクシーは、フランクの結婚自体には別に興味ないんだけど、エリンと結婚したことにはちょっと驚いた。ハッキリ言って、エリンはフランクに釣り合わない。
フランクの実家は、この街でもトップクラスのお金持ち。本気で結婚するなら、もっと相応しい相手がいるはず。それに、ダリルとフランクの会社が情報交換で協力したのなんて、たった2回だけだし、フランクがエリンのことそんなに好きになるとは思えないんだよね。
だから、トリクシーは、フランクがエリンと結婚したのには、何か裏があるんじゃないかって思ってる。ま、トリクシーはゴシップとか興味ないから、別にどうでもいいんだけど。
自分が幸せなら、それでいいんだよね。
そしたら、ジェッサから電話がかかってきて、なんか話したいことがあるから会ってほしいって。なんか、すごい大事なことらしくて、急いでトリクシーがよく行くカフェに呼び出した。
トリクシーは電話を切って、タクシーでカフェへ。着くなり、ジェッサは手招きして席に座らせた。
「何?そんなに急いで?旅行に行くんじゃなかったの?」先週、ジェッサはトリクシーに、旅行に行きたいって話してたんだよね。リックがジェッサのプライベートなフィットネスのこと知って、大喧嘩したとかで。
ジェッサは先週、ビデオ通話で空港に行くのを見送ったんだけど、もう1週間も経ってないのに、なんでこんなに早く帰ってきたんだろ?
「実は、先週は旅行じゃなくて、あのクラブの交流会に行ったの。」ジェッサはまだ笑顔だけど、トリクシーは言葉に詰まった。
ジェッサは、リックを落ち着かせるためにクラブに入るって言ってたのに、まさか本気だったなんて!しかも、クラブのパーティーにまで参加してたなんて!
「まさか…」
「詳しく話すね。実は、本当に旦那さんと一緒に入った方がいいと思う。入ったら、あなたも彼も、浮気のことなんて考えなくなると思うよ。交流ゲームとか、前は気持ち悪かったんだけど、実際やってみたら、めっちゃ楽しくて!」
ジェッサの様子を見て、トリクシーは眉をひそめた。話を聞けば聞くほど、受け入れがたい内容だ。
「それに、帰ってきてから、リックがまた私に興味を持ってくれるようになったの。信じられる?何年も一緒にいるのに、昨日の夜は、あっちから誘ってくれたのよ。」
ジェッサの話を聞いて、トリクシーは、以前マイクに同じようなことを話したのを思い出した。ジェッサみたいな狂ったような口調で、まるで悪い影響を受けてるみたい。
トリクシーは突然、何か思いついたように、ジェッサに尋ねた。「そのパーティーって、どこでやってるの?」
トリクシーの質問に、ジェッサはちょっと困った顔になった。笑顔が固まり、それから、申し訳なさそうに答えた。
「ごめん、トリクシー。クラブのルールで、場所とかは言えないの。言ったら、あなたもリックも、大変なことになるかもしれないから。」
マイクとの電話で、トリクシーはジェッサが何を心配しているのかわかっていた。
要は、誓いのセレモニーのビデオとか、自分とリックの情報が漏れて、世間から叩かれて、自分たちの仕事にも影響が出るんじゃないかってこと。
「大丈夫だよ、バカじゃないんだから。」トリクシーの人となりをよく知っているジェッサは、トリクシーの言葉に安心したみたい。
ジェッサはトリクシーの手を掴んで、優しく手の甲を叩き、トリクシーを落ち着かせ、自分自身を落ち着かせようとしているようだった。
「でも、トリクシーにだけ話せること、一つだけあるの。」
「何?」
「私たちが帰る時、責任者みたいな人から、私だけにメッセージが来て、赤いロングスカートを着てって言われたの。私だけへのメッセージかと思ったら、行ってみたら、他の女性メンバーにも送られてたみたいで、クラブの決まり事らしいの。それに、「禁断の愛」クラブの幹部の一人もそこにいて、黒髪ロングで、赤いロングスカートを着てて、顔はマスクで見えなかった。」
「なんで赤いスカートなの?責任者に理由は聞いた?」
「うん、でも、あんまり色々聞かない方がいいって言われたの。トップの人たちの命令で、ただ従えばいいだけだって。このクラブは、どこもかしこもいいんだけど、要求が厳しすぎるっていうか、信じられないことばかり。」ジェッサも口を尖らせた。
トリクシーは考え、さらに尋ねた。「そのマスクの写真とかある?」
ジェッサは頷いた。「うん、そのマスク、結構綺麗だったから、撮っておいたの。でも、送ってきた人の情報とかは、箱にも書いてなかったし、クラブは、そういうところは気をつけてるみたい。」ジェッサはゴソゴソと携帯を取り出して、トリクシーに写真を見せた。
その写真を見て、トリクシーは確信した。あのショートクリップで、あの3人が着けてたマスク、それに、D・ジェイデンの別荘に残ってたアリソンのものも、あのクラブから配布されたものだって!
つまり、アリソンも、あのクラブのメンバーだった可能性があるってこと。
そう考えると、トリクシーはもう一度ジェイデンのところに行く必要があると感じた。
アリソンに直接聞いても、絶対に答えてくれないだろうし、ジェイデンはアリソンと繋がってるから、何か知ってるかもしれない。