第21章
お昼ご飯を食べてる間、全然集中できなかったんだよね。周りはからかい声とか笑い声でいっぱいだったし。
フェリックスはプレッツェルをすごく大事にしてて、ご飯あげたり、お皿が空になったらご飯足したり、魚の骨まで取ってあげてたんだもん。
マジで、あたしは彼らから目が離せなかった。見てて面白くもあり、羨ましくもあった。あの時のフェリックスは、あたしが知ってる彼とは全然違っててさ。まるで別人みたいだった。
あいつって、兄弟の中で一番性格悪くて、一番嫌な奴だったのに、あんな風にしてるの見てたら、あたしがフィリピンにいた数年で、一体どれだけ変わったんだろうって思っちゃったんだよね。
フェリックスは変わったけど、フェリシティは相変わらずだった。相変わらずおしゃべりで、うるさくて、元気いっぱい。あたしが知ってる中で一番だよ。でも、彼がプレッツェルを気遣う姿は、あたしが知ってた彼とは違ってたんだよね。
お昼ご飯の後、あたしたちは計画を詰めていった。小さな診療所を建てる場所に実際に行ってみたんだ。それから、彼らは温室を拡張したくて、それがプロジェクトの優先事項の一つだった。だって、その場所って町から遠いんだもん。拡張に加えて、温室を暑い気候とか強い風にもっと強くなるようにしたいらしくて、コテージを建てる場所も見に行ったんだ。
午後はずっと忙しくて、もうこんな時間だってことに気づかなかった。でも、仕事に集中してたから、なんとか一日乗り切れたよ。
「残業?」あたしはフェリックスに聞いた。冗談だって分かってもらうために、笑顔でね。
フェリックスは作業を止めて、自分の腕時計で時間を確認して、ちょっとびっくりした様子だった。頭をかきながら、時間に気づけなかったことを謝ったよ。だって、変更してる設計図に夢中だったんだもん。
「兄貴、残業代払ってよ!」フェリシティはあたしたちから離れたところに座って、足を組んで言った。
あたしは彼がそこに座ってることに気づいてなかった。あたしが彼の方を向いて、携帯の画面をタップしてるのを見るまで。
「これは後で終わらせるよ。ホテルまで送るから」フェリックスはそう言って、急いで荷物をまとめ始めた。
あたしはそれを聞いたら、椅子から立ち上がった。もう休んでシャワー浴びたい気分だったんだよね。汗でベタベタだったし。
「一緒に行く?」あたしはフェリシティに聞いた。移動中にまた唾液で濡れたくなかったから。フェリックスってつまんないんだもん。
「行きたいんだけどさ、今やってることを終わらせなきゃいけないんだ」彼はそう答えて、携帯の画面から目を離さない。「たぶん明日」
それでちょっとだけ笑顔になれた。お願い、そうなってほしいな。彼と話すのが恋しいんだ。
運転手はあたしの予想通り静かだった。移動中はずっと眠くて、ホテルに着く直前になってやっと、話でもしようかなって思ったんだ。
プレッツェルに初めて会った時、あたしは色んな疑問があって、結論を出すのが難しかった。それで、チャンスだと思って、彼に質問してみたんだ。
「そういえば、フェリックス、どうやってプレッツェルと知り合ったの?同じ高校とか大学とか行ってたの?だって、あたしのこと知らないみたいだし」あたしはそう切り出した。
彼はすぐに答えなかったけど、あたしは焦らず待ったよ。邪魔したくなかったからね。
「彼女はあたしたちが通ってた学校とは違うんだ。でも、彼女の両親はそこに送るだけの力はある。彼女とは予想外の出会い方をしたんだ。彼女に車で轢かれそうになったんだよ」彼はやっと話し始めてくれたんだけど、最後の言葉を聞いて、あたしは驚いて目を見開いたよ。
「え、マジで?殺されそうになったってこと?」あたしは大声で叫んだ。だって、ジープの中はうるさかったから、彼に聞こえるようにね。
「それは違うんだ。実はあたしのせいなんだ。あたしが駐車場で突然現れたんだよ。大きな箱を持ってたから、彼女の車に気づかなかったんだ」彼はそう説明した。
「あ、そうなの?轢かれなかったんだ」
「うん、轢かれなかった」
「そっかー。でも、どうしてそうなったの?あの出会い方で、どうして妊娠したの?」
フェリックスはあたしをちらっと見た。彼の喉仏が動くのが見えた。その質問は居心地悪いだろうなって分かってたけど、あたしたちはもう大人なんだし。
「予想外で計画外だったんだけどさ、本当に知りたい?」フェリックスはそう答えた。あたしは彼の声から気まずさを感じたけど、他に気づいたこともあったんだ。
プレッツェルのことになると、彼は何時間でも話せるんだってことに、今やっと気づいたんだよね。
「うん、詳しく知りたい。全部」あたしはそうお願いした。
「全部詳しく話すつもりはないんだ。正直、話したくない部分もある」彼はそう言うから、あたしはすぐに反対したんだ。
「なんで?あたしはジャッジしないよ。絶対!」
あたしは本当に知りたかったんだ。
彼は少しの間黙ってて、それから話し始めた。あたしは邪魔しないで、彼の言うことを全部聞いた。プレッツェルは、何かが起きた時にすごく落ち込んでたんだって。彼女の両親は、仲人、つまりあたしの親友のフェリシティの助けを借りて、彼女を落ち着かせようとしたんだ。
彼女の両親は彼女に結婚して欲しくてたまらなくて、彼女に嘘までついたんだ。お父さんが病気で、唯一の子供である彼女の願いだって。
そんなことってあるんだって、あたしには信じられなかった。プレッツェルは家出しちゃって、それがフェリックスとプレッツェルが会った最後だった。彼らは何ヶ月も彼女を探して、彼女が最終的に開発を決めた島で見つけたんだって。
要するに、あたしの結論としては、二人の間に愛はなかった。でも、フェリックスの目には深い愛情が見えたから、次の質問をしたんだ。
「彼女のこと、好きなの?」
彼は答えなかった。
「たぶん、違うんだね」あたしは挑発的に言った。「もしそうなら、あたしたち、やってみない?だって、あたしの両親はあなたのこと好きだし、あたしはもうあなたの家族とも仲良くなったし」あたしはそう付け加えた。
あたしの言葉に、彼は真剣な顔で、あたしが嘘をついてるのか、それともからかってるのか確かめようとしてるみたいだった。
「自分の言ってること、聞こえる?」彼はその視線の後にあたしに尋ねた。彼の声を聞いて、鳥肌が立ったよ。
「あ、当たり前」あたしはそう言って、少し笑って、彼が話した時に感じた緊張を和らげようとしたんだけど、言ったことは引っ込めたくなかった。「もし子供のことが心配なら、彼女から子供を奪うこともできるよ。必要なのは法的書類だけ。もし彼女が子供を望んでないなら、もっと簡単だよ。産まれたら、あなたが親権を全部持てる」あたしはそう付け加えて、彼にアドバイスしようとしたんだ。
「この話はやめよう。ナンセンスだ」彼はそう言ったけど、あたしは彼だったらこうするなって提案をいくつか持ってたんだ。
「あたしはただ、あなたを助けたいだけなんだよ、フェリックス。プレッツェルはあなたのこと好きじゃないみたいだし。ほら、あたしも女だから、こう言えるの。彼女のこと嫌いだからじゃなくて、良い人だとは思うけど。あなたを思って言ってるんだよ」
あたしたちは、彼からの返事を聞かずにホテルに着いた。彼は去る前に、次の日の朝迎えに来るってだけ言ったんだ。そして、実際に迎えに来た。最後の会話以来、あたしには何も言ってない。
彼は現場で部下たちを助けるのに忙しかった。フェリックスは、あたしにやるべきことをさせてくれただけ。プロジェクトに関連する質問がある時だけ、あたしに近づいて話しかけてきた。
それが本当の彼だったけど、彼とプレッツェルの状況について話して以来、彼はもっとよそよそしくなった。あたしに対してだけそうだったんだ。他の人、特にプレッツェルの前では違ったんだよね。あたしの目をまっすぐに見ることさえできなかったし、それが何日も続いたんだ。
幸いなことに、フェリシティが話相手になってくれたんだけど、彼女はマニラに帰る予定だったんだ。会うべきクライアントがいるんだって。彼が必要だったんだ。もう一つは、その地域の電波が弱くて、彼が必要な時に電話するのが難しかったってこと。
「プレッツェルのこと、どう思う?彼のことも好きそう?」あたしたちは休憩中にフェリシティにそう尋ねた。
あたしたちはバナナキューを食べたし、飲み物にはサゴットゥグラマンも用意されてた。あたしの味覚はシンプルな食べ物に慣れてきてて、ホテルにいる時は、まさにそういうものを求めてたんだよね。
あたしの肌は少し日焼けし始めてて、プレッツェルの肌の色とほぼ同じになった。そんなに黒くもなく、白くもなく、均等にね。
「おい!そんなこと聞かないでよ。あたしの知る限り、二人とも否定してるだけだよ!」彼はそう言って、大きな声を出したから、近くにいたフェリックスがこっちを向いた。
「いつになったら、そんなに声出さなくなるの?」あたしは不満を言った。彼の顔を平手打ちしそうになっちゃったよ。絶対、ファンデーションが落ちるやつだ。一体何考えてるのか分からなかったし、その日はメイクしてたんだよね。
マジで、こんなことが起きてるから、フェリシティがマニラに帰ったら、誰も話す相手がいなくなっちゃうのが怖かったんだ。プレッツェルはいるけど、彼女と話すのは居心地悪いし、彼女の存在自体が一番イライラするんだよね。
「聞かせろ!」彼はそう叫んだ。
あたしの視界の端で、フェリックスが二度もあたしたちのことを見てるのに気づいたんだ。あたしはゆっくりと彼の方向に顔を向けて、双子の顔を見た時に、どれだけ眉をひそめてるかに気づいた。
フェリシティは二人のことを何か知ってるみたいだったし、彼がプレッツェルと親しいってことは、彼が知ってることを全部知りたくなった。でも、フェリックスがいる前でフェリシティに聞くのは、あたしが二人のことを密かに調べてるってバレちゃうかもしれない。
あたしにはチャンスがあるのか、彼女は本当に彼が嫌いなのか知りたかったし、それからフェリックスに、プレッツェルが出産した後、単に子供を引き取って親権を全部持つっていうあたしの提案を検討するように、できる限り説得しようと思ったんだ。
フェリックスとあたしが赤ちゃんと一緒にいることを想像するだけで、笑顔になっちゃった。それは、小さくて完璧で、幸せな家族の絵だった。あたしがずっと夢見てたことなんだよね。もしそれが、疲労、汗、ストレスからのご褒美なら、きっと価値があるに違いないって。