第89章
エリヤナのPOV
フェリシティがこっそり私の部屋に持ってきてくれた淹れたてのコーヒー、マジで最高だった。フレンチトーストと一緒に、めっちゃ美味しくって、一滴も残さず飲んだ。ママに見つかる前に、シンクでマグカップを洗って、匂いも残らないようにしたんだ。
フェリシティ、あの朝の行動で私をめちゃくちゃ笑顔にしてくれた。まさか私のためにそんなことしてくれるなんて思ってなかったから。それで、両親が私にくれたコーヒー農園のことを思い出しちゃっ、お父さんに相談して、今どうなってるのか聞いてみようかなって考えたんだ。
部屋に運ばれてきたご飯全部食べ終わって、すぐにベビー室に行った。あの時間なら両親がいるって分かってたし、案の定そうだった。
私の可愛いベイビー、アキはもう起きてて、私が部屋に入ったとき、ママが抱っこしてた。赤ちゃんにキスするために近づいたよ。
お父さんはパソコンに向かってるみたいだった。忙しそうだったけど、私に気づくと、すぐに顔を上げて挨拶してくれた。「調子はどう?」って、挨拶の後すぐに聞いてきた。
「もう大丈夫だよ、お父さん」って笑顔で答えた。
「それはよかった。少し前に医者を呼ぼうかって話してたんだよ。フェリシティが、みんなが動く前に、真っ先に部屋に駆けつけてくれたんだよ」ってお父さんが言って、なんでお父さんがここにいるのか説明してくれた。
あいつ、マジで優しいんだよね。もしあいつが男で、チャンスがあるなら、もうとっくに恋に落ちてるかもしれない。優しくて思いやりがあって、すごい人なんだ。見た目も良いし、スタイルも普通に良い。それに加えて、仕事も成功してるなんて、最高じゃん?
あいつのこと考えてたら、なんでベビー室に来たのか忘れそうになった。
「そういえば、お父さん。農園の件で、農家の人から連絡来た?」って切り出した。「そろそろ私も始めようかなって—」
「まだ早いよ、エリヤナ」って、ママの声で遮られたんだけど、その声の調子で、どうなるかもう分かってた。
「あなた、自分の息子がまだ小さいのに、他のことに集中するのはダメよ。赤ちゃんってすぐに大きくなるんだから、そういう瞬間をちゃんと見守ってあげなきゃ。信じて、私もあなたを産んだときに同じような気持ちになったんだから」って、説教が始まった。思ってた通り。
でも、ママの言うことも正しいんだよな。アキはまだ生まれて1ヶ月で、気づかないうちに毎日成長してる。丸々してきたし、重たくなってきたし。ママはアキに母乳だけを飲ませたかったんだけど、幸いなことに、私は十分すぎるほど母乳が出てた。
「エリーがただ聞いてるだけなんだよ、ダーリン」ってお父さんが私をかばってくれた。ママがもっと色々言い出す前に、お父さんの後ろに隠れたいぐらい怖かった。
「でも、そんなこと考えちゃダメよ。あなた、ストレスになっちゃうだけだし。体にだって良くないわよ」って、ママは答えた。
特に私が原因で、目の前で言い合いするの、本当に嫌なんだよね。胸が苦しくなるし、止めたいんだけど、お父さんなら、ママを簡単に落ち着かせられるって分かってる。
「分かったけど、彼女にも教えてあげて」って、お父さんが言って、それからママは私には何も言わなくなった。
お父さんが私の方を向いた。「先週、世話係の人から電話があって、あなたの農園の空いてる土地の半分で、もう植え始めましたって。カカオの苗ももうすぐ届くし、すぐに植えられるみたいだよ。すべて順調に進んでるから、心配することはないよ、スイートハート」って言ってくれた。
「ありがとう、お父さん」って返事した。お父さんが農園のことで手伝ってくれるのは、本当に嬉しかった。私がオーナーだけど、妊娠が分かってから、お父さんがずっと積極的にやってくれてるんだ。ストレスになることは絶対ダメって。
お父さんとお母さんは、私にとって本当に大きな存在だし、私もアキが大きくなったら、同じようにしてあげたいな。
農園の話をした後、アキがお腹すいたときに母乳をあげて、余ったミルクを出すこと以外、何もすることがなかった。それがほとんど毎日の日課になってた。退屈だったけど、他に選択肢がないから、従うしかなかったんだよね。やりたいこと、たくさんあるんだけどさ。
お父さんがエレベーターを急いでつけてくれたのは、本当にありがたかった。うちの家は2階建てしかないのに。エスカレーターとか、動く床とかもつけたら?って冗談言ってたけど、私は筋肉も動かさないとって言って断ったんだ。
最近はあんまり使ってないんだけど、あれらは全部私のために付けてくれたんだって。朝ご飯は部屋まで運んでくれるし、お昼ご飯はベビー室で、両親と一緒に食べることがほとんど。ベビー室の隅に椅子とテーブルを置いてくれたんだよね。アキが生まれてから、両親は色んなアイデアが頭に浮かんでるみたいで、アキに夢中になってるみたいなんだ。
私の可愛いエンジェルが毎日、私たちにたくさんの喜びを与えてくれることは否定できない。アキのおかげで、両親は思っていたよりずっと長くフィリピンにいてくれるし、それも嬉しい。
退屈を紛らわせるために、本を読んでみた。お昼ご飯の後にもう一度読み始めたんだけど、集中できなくて、読んでる小説のことなんか頭に入ってこないんだよね。携帯で時間ばっかり見てて、5時近くになったら、もう読むのやめちゃった。
本のしおりを挟んで、ページを閉じた。「フェリシティ、まだ来ないな」ってつぶやいた。
「あいつ、言ってなかった?」ってお父さんが答えたときには、本当にびっくりした。近くにいたなんて気づかなかったし、聞かれてたかもしれない。
顔をしかめてお父さんを見た。「何の話?お父さん」って、全然分かってないふりをした。
「今日、セブに行くんだよ。明日まで」って答えたから、あの朝、トイレで言われたことを思い出したんだ。
「あ、思い出した。もう来てるのかと思ってた」って言った。
読みかけのページを開いて、また読もうとしたら、ママがからかい始めた。「今夜、エリー、あいつがいないから寂しいんでしょ?」
「寂しくないよ、ママ」って、ママを見ないで返事したけど、ママは信じてくれなかった。
「嘘よ。目を見れば分かるわ」って言われて、ママが間違ってるってことを証明しようとしたんだけど、そう言う前に、お父さんがママに同調し始めた。
「俺もそう思うよ、プリンセス。寂しがらないで。明日には来るから」って言った。
二人を交互に見ながら、ため息をついた。二人が何を企んでるか分かってるし、絶対うまくいかないって思ってるんだけど、せっかく始まったことだし、フェリシティのことについて、二人に聞いてみることにしたんだ。
私が興味あるように思われたくないからね。ただ、私の親友をどれだけ愛してるのか知りたかっただけなんだ。でも、質問が悪かったみたいで、裏目に出ちゃった。
「あのね、フェリシティはずっとこの家族にとって、すごく大切な存在なのよ。私たちは、あいつが生まれたときから知ってるんだから。あいつは、一度だって変わったことないし、間違ったことなんて一度もないわ。私たち家族にとって、特別な存在なの。あなたたち二人とも、もう大人なんだし、そろそろちゃんとしたデートでもしたら?何か良いことあるかもしれないわよ」
「お父さん、私たちはただの友達だよ。あいつがどんな人か、みんな知ってるし、たぶん、あいつはそれを望んでないと思う」
「あいつは望んでないかもしれないけど、あなたは?」ってママが聞いてきた。
「そ、それは言ってないけど」って言ったら、ママに黙らされた。
「チャンスはあると思うわ。あなたたち二人、一緒に色んなこと経験してきたでしょ。私たちがそばにいられないときでも、フェリシティはいつもあなたのそばにいてくれた。フェリシティは、あなたとアキを信用できる唯一の人だって分かってるし。それを毎日証明し続けてるわ」って、ママが続けた。
ママの言葉は、私の心に響いた。フェリシティは頼れる人だって、ママが言うのは本当だし、でも、あいつがどんな計画をしてるか分からないって考えると、なかなか一歩踏み出せないんだよね。それに、それが正しいことなのかも分からないし。
うん、私もあいつのこと、すごく好きなんだ。でも、あいつも同じ気持ちなのかな?