第71章
エリヤナの視点
自分が妊娠したって分かってから2週間後、ちょっと妊娠の症状が出始めたんだよね。マジでびっくりしたけど、チェルシー博士によると、子宮の中にいる可愛い赤ちゃんはまだ数週間しか経ってないから、普通のことらしい。
そのうち治るかもしれないけど、毎日変な感じがしてマジで嫌で、何かある度にクリニックに戻ってた。怖かったんだよね。
ちょっとした痛みにもビビっちゃうし。家のみんなも同じように感じてて、私が痛いって言う度に屋敷は戦場みたいになってた。医者は私を笑ってたけど、すごく理解してくれてるって言ってた。だって、初めての赤ちゃん相手だし、過保護になっちゃうのは仕方ないよね。
つわりと予期せぬ痛み以外にも、最近はいろんなことに気づくようになったんだ。食べ物に関しても、すごい好みが出てきて、ニンニクとか玉ねぎの匂いが嫌いになったの。急に臭く感じるようになったんだよね。
嗅覚、味覚、聴覚、全部敏感になってて。常に何か食べたいって思ってる。コックに何か作ってって頼むんだけど、結局食べなかったり。
よく酸っぱいフルーツとか探してて、ある日突然ピクルスが食べたくなってさ。パントリーには瓶がなかったから、買い物に行ったんだ。使用人たちは、私が買ったものを運ぶのを手伝ってって頼んだら、車の中の特大サイズのピクルスの瓶を見て、マジで目を見開いてたよ。
使用人の一人に、キッチンに瓶を一つ持ってきてって頼んで、中身をちょっと味見したかったんだ。椅子を持ってきて、ニヤニヤしながらすぐに開けたんだよね。
使用人たちは私を怪しんで見てた。蓋を開けたら、ピクルスの美味しそうな酸っぱい匂いがしてきて、それ見てたらよだれが出てきそうだった。
ゴクって飲み込んで、フォークとボウルを頼んだ。フォークとボウルを持ってきたダルダリタは、私の前に置くときに眉をひそめてた。
「食べる?」って勧めたんだけど、彼女はすぐに嫌そうな顔で首を横に振った。
それから毎日そんな感じで。みんな、日を追うごとに変な目で見始めるようになって、でも誰も質問してこなかった。私がキッチンであいつらの噂話を聞くまでは。
「エリヤナさん、妊娠してるみたいね」ってコックが言ってた。
「ありえないでしょ。彼氏もいないのに。デートとか行かないし、ほとんど家にいるし。妊娠してるわけないよ」って別の使用人が言ってた。
「食べたいものがすごいから、妊娠してるんじゃないかって気がする。私も妊娠した時そうだったもん」って、別の使用人が話してるのが聞こえた。
その日のことをみんなに話せってからかわれて。隠れてた場所から出て行ったら、みんな私が入ってきたのを見て、忙しいふりし始めたんだよね。
「発表があります」って言ったら、みんなゆっくりと私の方に顔を向けた。
「こっちに来て」って頼んで、ダルダリタに庭の掃除をしてる他の人たちを呼んでくるように頼んだ。
全員が集まったところで、私が話し始めた。「みんな、最近私のこと怪しんでるみたいだから、それについて説明したいんだ」って言って、ちょっと間を開けた。
みんな私をじっと見てて、私が何を言うのか待ってる感じだった。少し間を置いて、ちょっとドキドキ感を煽ってみた。もう待ちきれないって感じになったから、発表したんだ。「私、子供を授かることになりました」って。
「え、え、どういうことですか、エリヤナさん?」ってダルダリタが純粋な顔で聞いてきた。
私が妊娠したってことを伝えた方法じゃ、ほとんどの人がすぐに理解できなかったみたいだから、もっと簡単に説明することにした。「妊娠したの」
「OH-EM-GEE!」
「マジかよ?!」
みんな色んな反応してた。何人かは、マジで耳が痛くなるような甲高い声で叫んでた。
「もしかして、元旦那さんとやり直したんですか?」ってダルダリタが興奮して聞いてきた。
「ううん」って答えた。
「だ、誰が…お父さん…なの?」って、その質問をすることに自信がないみたいにゆっくり話した。ダルダリタは最後に「ポ」をつけて、丁寧にしてるつもりみたい。
その質問は予想してたけど、計画通り、屋敷の誰にも赤ちゃんの父親のことだけは教えないつもりだったんだ。
「正直言うと、お父さんのことは秘密なの。人工授精で妊娠したから、誰とも接触する必要はなかったの」って説明した。
使用人たちは一人ずつ頷いてたけど、ダルダリタは本当に父親が誰なのか知りたそうだった。
「お金があれば、色々違うよね」って、シングルマザーだった使用人がコメントしてきた。そっちの方を向いたら、私の視線を避けるように頭を下げてた。
彼女の気持ちはすごく分かった。昔の彼氏が妊娠中も、そして今も助けてくれなかったから、大変だったんだよね。
その場の空気が変わったから、みんなに仕事に戻るように言った。私もそこを去ることにしたんだ。
その日から、妊娠のことだけに集中するようになった。他のことは忘れちゃって、親友のことさえ忘れちゃってた。最後に彼に会ってから1ヶ月経ってたんだけど、検診に行った日に、予想外の出会いがあったんだ。
その日は運転手がいて、屋敷に帰るところだった。渋滞を避けるために違う道を通ったら、教会が見えたんだ。止まってって言って、彼は車を止めた。
なんでか分からなかったんだけど、急に教会に入りたいって気持ちになったんだ。別にいつも教会に行ったり、祈ったりするタイプじゃなかったんだけど、神様はいるって信じてるし、両親が違う宗教で育ったからっていうのもある。
お父さんはイスラム教で、ママはカトリック教徒。お父さんはママに宗教を変えるように強要しなかったし、私は色んな宗教を尊重する家庭で育ったんだ。厳格じゃなくて、自分が心地よいものを選べばいいって感じだった。
車の中に座って、教会の横にある人間サイズの天使の像を見てたら、急に車から出ろって変な力が働いてるのを感じたんだ。
「ここで待ってて」って運転手に言って、車から降りたんだ。教会の外では、花とかロウソクを売ってる人がいた。それを横目に、一度も入ったことのない小さな教会の正面玄関まで歩いて行ったんだ。
中に入った瞬間、聞き覚えのある声が教会の隅々に響き渡った。すぐにどこから聞こえるのか探してたら、修道女が2人と、その声の主である人が見えたんだ
フェリシティが、修道女たちと話してたんだ。こっちには背を向けてたんだけど、あまりにもよく知ってるから、後ろ姿だけでも彼だって分かった。
そこに彼がいるって分かって、マジで興奮した。理由も無く怖くなって、逃げようかと思ったんだけど、後ろに下がろうとした瞬間に、フェリシティがこっちを向いて、固まってるのが見えたんだ。もし指を鳴らすだけで消えれるなら、マジで迷わずそうしてた。
私を見て彼の笑顔が消えると思ったんだけど、意外にも、もっと広がって、すぐに手を振って挨拶してきたんだよね。
心が溶けていくような感じで、目じりに涙が溜まってきた。特に、彼が手で私に待っててって合図した時は、色んな感情が込み上げてきて、マジで困惑したんだ。