第25章
うちに着いたのは、もうミッドナイト。 ガードたちは、まさか今夜私が来るとは思ってなかったみたい。 誰も私が帰って来るって言ってなかったし、誰にも言うつもりもなかったんだよね。
家に着いて、一番したかったのは、ふかふかの気持ちいいベッドに寝転んで、物音も邪魔もなしに寝ることだったんだけど、それは無理だってことはよく分かってた。だって、まだ心臓がめっちゃ痛かったから。
ガードに荷物はどこでもいいから置いといてって言って、階段を上がった。もう疲れ切ってて、自分の荷物のことなんて、どうでもよくなってたんだよね。
あの島で何があったか思い出すたびに、心臓に突き刺さるんだよね。 プレッツェルに嫉妬する自分がめっちゃ嫌だった。 エリヤナはあんなに愛されてて、双子たちもエリヤナのこと大切にしてたし。
イングランドを出るのが一番いい決断だと思ってた。知ってる二つ目の家族と一緒にいれば、また幸せになれると思ってたのに、結局こうなっちゃった。
その夜は、涙を流して寝た。私の内側の痛みは、ルーカスがくれた痛みよりもずっと大きかったんだ。
寝ちゃって、何時だったか全然気づかなかった。 目を開けたら、明るい朝の光が差し込んでた。 目も体も重くて、お腹も痛いんだけど、夕食食べてなかったこと思い出して納得した。
もう朝の9時35分。お腹ペコペコだったけど、何か食べるのめんどくさくてさ。 そしたら、ちょうどその時、ドアをノックする音が聞こえたんだ。 ヒソヒソ声も聞こえてきて、ドアの向こうで何か言い合ってるみたいだった。
興味が出てきちゃった。裸足でドアまで行って、まるでゾンビみたいにゆっくり歩いた。 帰ってきた時のドレス、まだ着てたんだよね。
ハチみたいに、ブンブン言ってたんだよ。
「本当にここにいるのか?」
「ペドロが昨夜、エリヤナが来たって言ってたよ。 荷物も運んで、下に置いていったって。」
「本当に? 昨夜、夢見てただけじゃないの? マダムだって、娘さんが来るって連絡してなかったし。」
「マジでいるって。 下に荷物あったし、前回出て行った時に持ってたやつと同じだったし。」
「やばい! 昨夜みんな寝てたら、大変なことになってたね!」
みんなめっちゃ怖がってるみたい。 ほとんど囁き声で話してたんだけど、ドアのすぐ前だったから、聞こえちゃった。 なんでそんなに怯えてるのか不思議だった。 昨夜来た時は誰もいなかったから、怒る気にもなれなかったし。
声からすると、外には2人以上いるみたいで、ドアを開けたら、全員のメイドがそこにいた。 私が目の前にいるのを見て、口をあんぐり開けてた。
「え、エリヤナさん?」 みんな口をそろえて言った。 まるでお昼に幽霊を見たみたい。
口だけじゃなくて、目まで…
「幽霊でも見たみたいね」って、笑いをこらえながら言った。
あんなに慌ててる姿見てたら、さっきまで落ち込んでたこと忘れちゃった。 身長がみんな同じくらいだったから、ちょっと笑っちゃったし。
身長がみんな同じくらいだったんだよね。 制服も同じだし、体型も同じで、ぽっちゃり。 それって身長制限あるのかな?って頭によぎったけど、やめといた。
みんな小人みたいだった。7人いたし。 白雪姫と七人の小人思い出した。 小人たちが自分たちの家に人間がいるって気づくシーン。
「どうしたの? なんでみんなここにいるの?」って聞いてみた。
みんなはお互い顔を見合わせて、誰が話すか押し付けあってた。
「あ、あの、エリヤナさんのこと探してる人が…外にいます。」 ようやく一人が勇気を出して言った。
「誰?」
「誰だか分かりません、エリヤナさん。 あなたの親友だって言ってました。」 同じメイドが答えた。
私は眉をひそめた。 誰のことか考えながら、メイドたちをじーっと見てた。 親友って言ったら、一人しか思いつかないし、その人を思い出したら、7人のメイドの前で眉毛がピクッてなった。
「いないって言って。すぐ帰るように言って」って命令して、すぐにドアを閉めた。
ドアを閉めたら、胸が締め付けられるように苦しくなった。 深呼吸して、空気を思いっきり吐き出して、少しでも落ち着こうとした。 目を閉じて、ドアに寄りかかったまま立ってた。
スマホに通知が来てた。 しばらくしてから、やっと見てみることにした。 メッセージが2通あって、どっちもフェリシティからだった。
[昨日のことで怒ってるんでしょ? ごめんね!]
[謝りたいのは私だけじゃないんだ。 ママ、レア、フェリックスも全部悪いと思ってる。 ママがランチに誘ってるから、来てくれない? フェリックスはいないから、安心して!]
びっくりした。また優しくしてくれたし、謝りたいって言ってるんだ。
ふと、自分の両親のこと考えた。 きっと彼らも何か関係してるんだろうなって、だって昨日最後に話したの、彼らだったし。
彼らの家に行って、釈明しようと思ってたけど、もう行かないことにした。 私は別に悪いことしてないし、頭を下げるのは私じゃない。 謝りたいなら、向こうから来るべきなんだよ。
メッセージには返信しなかった。 スマホをベッドに置いて、トイレに行った。 お風呂に入って、身支度して、朝の準備をした。
お腹がすいてて、お腹の痛みもどんどん酷くなってきた。 だから、キッチンに行って何かないか見てみることにした。
「え、エリヤナさん…あの、お部屋に戻って、今日何食べたいか聞こうと思ってたんです。」 料理人は階段で会った時に言った。 まっすぐ私の目を見れなくて、どもってた。
その時まで、屋敷にいるメイドの名前を全然知らなかったんだけど、料理人は一番健康そうで、年上だったから分かってた。
「何かある?」って聞いてみた。
「正直、エリヤナさん、食料が切れちゃってて、美味しい朝食をご用意できなくて。」って、恥ずかしそうに言った。
「マジか! じゃあ、今日買い物に行こう。 冷蔵庫に何もないの? 卵とか、パンとか?」
「卵ならまだあります、エリヤナさん。」 って、すぐに答えて、顔が明るくなった。
「じゃあ、卵焼いて、バター塗ったトースト作って」ってお願いして、ニコッとした。
彼女はキッチンにダッシュで戻っていった。 私は階段に立ってたら、突然、太ももの間に何か温かいものが流れてくるのを感じた。
もうすぐ来るって分かってた。 お腹が痛いのは、空腹だけじゃなかったんだ。
振り返って部屋に急いで戻ったんだけど、階段の一番上まで行く前に、メイドが一人現れて、またさっきの人、つまり私のこと探してる人が外にいるって伝えてきたんだ。
「誰?」って、眉を寄せながら大きい声で聞いた。
外が騒がしくなって、見慣れた顔が家に入ってきた。
「いたぞ!」って叫んだ。
「こっちに来てください、サー!」 ガードがフェリシティを力づくで引っ張ろうとしたんだけど、あいつはガードより強かったみたい。
「嫌だ! 触るな! エリヤナは俺の友達なんだ! エリヤナに聞いて!」 あいつは抵抗した。
「ここに置いといて。誰にも危害を加えるようなことしないから」って、あいつをじーっと見ながら、皮肉っぽく言った。
ガードは渋々従い、去っていった。
「何しに来たの?」って、感情を抑えながら、ガードがいなくなってから聞いてみた。
「個人的に謝りたくて来たんだ、ガール。昨日のこと、ごめんね。フェリックスも自分の過ちを認めたし、彼の代わりに、仲直りしに来たんだ。」 って説明した。
彼の目には誠実さが見えたんだけど、謝罪はフェリックス本人にして欲しかったんだよね。だってあいつがみんなを巻き込んで、あんなことになったんだから。 でも、あいつがどれだけ臆病者か知ってるから、ちょっと自信なかった。
「お兄さんは? なんであんたが来たの?」って聞いてみた。
「まだボラにいるんだ。 今日中にプレッツェルにプロポーズするみたいだよ。 だからまだ帰って来れないんだ。」
それを聞いて、マジで心臓止まりそうになった。 胸が締め付けられるような痛みだったけど、何とか乗り越えようとした。
「あ、そっか」って、そのニュースに全然準備できてなかったから、どもっちゃった。
フェリシティはめっちゃ嬉しそうだった。