第7章
あたしの人生で一番しんどくて、一番長かった一週間だった。 ルーカスは、あたしが離婚を進めるって決めたって言ってるのに、全然構ってくれなくなった。 あたしは、彼がやったことをあっさり忘れられるほどバカじゃないし、浮気されたのに夫と離婚しない気の毒なルーカスのママみたいにはなれないよ。
ルーカスには二度目のチャンスなんて必要ないし、彼が許しを請うときは、全然本気だって感じなかったんだよね。 あたしは、彼のパパが、自分たちの評判とか、失うかもしれない資産のために、あたしと交渉するよう彼にけしかけたんだって確信してる。 あの手の男は、あたしを操り人形にできると思ってたんだよ。 彼の息子は、パパの命令には逆らえないやつで、結婚しても、息子の人生の決断、つまりあたしたちの人生にまで口出ししてたんだから。
「ルーカスとやっと離婚できたら嬉しいな。 あたしにもう義理の家族はいないんだから」ってあたしは思った。
もしルーカスとの関係が新しくて、もしかしたら、もしかしたら許せたかもしれないけど、ちょっと待って! 彼は1年半も浮気してたんだよ! 思ってたより長かった。
もっとムカついたのは、彼らが逆転しようとしてきたこと。 真実を捻じ曲げようとして、あたしに銃口を向けようとしてきたんだ。
離婚の請願書を審査している判事に、あたしがお金が欲しくて全部作り話をしてるって言ったんだ。 彼に愛人がいるっていう証拠として見せた写真も、全部偽物で加工したものだって。 あたしが悪いことにして、あたしが子供を産めなかったから、彼が他の女を探したってことにしようとしたんだ。自分たちの名前を守るためだってさ。 あたしを悪いやつにしたかったんだね。
「まじかよ!」あたしは、あたしを金の亡者みたいに見せるために、あんなことするなんて信じられなかった。 あの親子には、本当にイライラさせられた。 あいつらは汚い手を使ってきたから、たぶん…あたしも同じようにやるのが一番いいんじゃないかって思ったんだ。
それからすぐのことだけど、浮気者のルーカスのことについて、会社で噂が広がったんだ。 あたしにメッセージを送ってくれた従業員の一人が、会社がプライバシーに関する新しい方針を作ったって教えてくれた。機密事項に関するものだよ。
知ったときは笑っちゃった。 もう遅いよ。 みんな知ってるし、その理由はダイアンなんだから。
「他に何を隠したいんだ?」
なにもないよ。
彼らの逆転劇のせいで、あたしはルーカスを尾行させていた私立探偵に連絡する必要があった。 彼にカメラと、彼が撮った写真のオリジナルを送ってもらったんだ。
幸いなことに、彼は削除してなかった。 彼はこうなるって分かってたから、準備してたんだって。 彼は、あたしがそうなるって予想してたって言ってて、本当に感謝してる。 彼はあたしの名誉を守ってくれたんだから。
結局、ルーカスがすぐに書類にサインしてくれれば、こんなことにはならなかったはずなんだよね。 彼は愛人と一緒に自由に過ごせたはずだし、あたし達の邪魔にもならなかったはずなのに。
彼はあたしの人生を地獄にしたんだから、因果応報ってやつだよね。 判事の事務所から電話が来るまで、あと数日待ったんだ。 ついに結果が出るんだって。 次の日、両方とも来るようにって言われた。
言われた日、あたしと弁護士は、ほぼ同時に到着した。 彼はあたしのお父さんの信頼できる弁護士でもあるんだ。 あたしは、イングランドで友達になった弁護士もいたんだけど、ルーカスは彼を知ってて、仲が良かったんだ。 だから、お父さんは自分の弁護士にこの問題を任せることを提案したんだよ。
2人で建物に入ったんだけど、緊張してるのはあたしだけみたいだった。 イギリスでは不倫は大した問題じゃないって知ってたから、ちょっとイラッとしたけど。 結婚してる人が浮気しても、犯罪リストから外されてるんだもん。 正直、不公平に感じたけど、それが、配偶者から自由になれる理由として使えて、その結果も良かったから、それは気に入ったんだけど、ルーカスのママが、何度も不倫してるのに、なんで旦那さんの側にいるんだろうって不思議だった。
本当のところは、あたしはルーカスのママと仲が良かったんだよね。 彼女は、たくさんのことを教えてくれた、優しくて愛情深い女性だった。
もしあの家族の中で、まともだって言える人がいるとしたら、それは彼女だけだった。
彼女が自分の人生を全部、旦那さんに操られてたって考えると、心が痛んだ。 詳しい事情は分からなかったんだよね。 ルーカスは、その話をしたくなかったし、あたしがその話題に触れるたびに、彼は真実を話すのを恐れてるみたいに、あたしを避けてたから。
あたしはそれが変だと思った。 あの家族には、3人だけが知ってる秘密があるみたいだったんだ。
そんなことを考えてたら、もう判事の事務所に着いてた。 ノックして、判事の秘書だって自己紹介した若い女性がドアを開けてくれた。
中に入ると、他に誰もいなかった。 彼女は、あたし達に座ってコーヒーを勧めてくれたけど、あたしと弁護士は、両方とも遠慮したんだ。
到着したのが早かったけどね。早く来たのに、興奮してるのは明らかじゃないんだけど。 でも正直、緊張してたし、その緊張は分が経つにつれて増していった。
待ってたんだ。 判事が来たんだけど、ルーカスはまだ来てなかった。
「ウィルヘムスさんは電話したかしら?」って判事が秘書に尋ねた。
「いいえ、奥様」って秘書は簡単に答えた。
なんでだろってあたしは思った。
秘書は彼に電話してみた。 彼は、今行くところだって言ってて、ちょっと急な用事ができたんだって。
秘書が判事に伝えてるのを聞いて、あたしはイライラして目を回した。
30分以上経って、やっと彼が来たんだけど、あることに気づいたんだよね。 彼の唇の横に切り傷があったんだ。
あたしは、急に心配になった。 どうしたのかって聞きたくなったけど、義理の両親が入ってきたから、やめといた。
ルーカスのパパがドアを閉めて、あたしたちの反対側のソファーに座ったんだ。
あたし一人になったら、ウィルヘムス家が総出でかかってきたんだよね。 弁護士はいたけどね。
あたしの両親はトルコに帰っちゃったけど、何が起こってるかは常に把握してた。 弁護士と一緒に来なかったのは、驚いた。 彼らも遅刻したか、あるいは、来なかったかのどっちかだ。
何か起きそうな気がした。 入ってきた直後から、明らかだったけど。
ルーカスが、あたしをものすごく冷たい目で見てるのが見えた。 長い説教から帰ってきた子供みたいだった。 彼のお父さんがあたしを見た時、彼はあたしを見つめてて、ルーカスのママは、あたしに、すごく困惑したような、あたしを応援してるような、奇妙な目つきで見てたんだよね。
ルーカスのママとあたしは、何の問題もなかったんだ。 彼女は、旦那さんがまた浮気してるって知ったときに、あたしに電話してきたんだよね。 あの時、彼女が泣いたのが最後だったと思う。 それから彼女はあたしを避けるようになって、あたしは誰が彼女をそうさせたか知ってたんだ。
彼女はあたしが知ってる中で一番優しい女性の一人だったのに、旦那さんと、そして今では息子の後を追ってるルーカスのせいで、浮気者のせいで囲まれてて、悲しかったんだよね。
「まだ誰か待ってるんですか? それとも、もう始められますか?」って判事は、向こう側の弁護士がまだ来てないってことに気づいて尋ねた。
「もう始められます」ってルーカスは答えなかったけど、判事は彼を見てたんだけど、彼のパパが答えた。
「じゃあ、始めましょう」って判事は、机の上に置いてあった封筒を取って、席から立った。 あたしたちの近くにある一人掛けの椅子に移動したんだ。
彼女は、あたしが提出した離婚の請願書の分析結果が印刷されたものを読み始めたんだけど、あたし達はみんな静かに聞いてた。 あたしは話してる判事を見てたけど、誰かの鋭い視線を感じてたんだよね。 ちょっと嫌だったけど、肩をすくめて、この日がスムーズに進んで、全部終わりますようにって静かに祈ったんだ。
彼女は、ルーカスの不誠実さの証拠を添えて、あたしが提出した離婚の請願書の結果を全部読んだ後、最終的な判決を下したんだ。
ルーカスは書類にサインするしかなくなった。 あたしたちは、ストレス、痛み、涙がほとんど一週間続いた後に、2人ともサインしたんだ。 あたしの心は生き返ったみたいだった。 檻の中に閉じ込められてたのが解放されたみたいだった。 新しい人生を与えられたみたいだったんだ。
すごく気分が良かったんだよね。 ふと、同じような経験をした女性はみんな、同じように感じるのかなって思った。 多分そうだろうね、もし彼女たちが、自分の価値を知ってて、配偶者に誠実であり続けたのに、浮気された場合なら。 あたしは、彼らとの関係を断ち切るっていうあたしの意図が明確だったし、あたしをそう見せるために彼らが作り上げた理由ではなかったから、嬉しかったんだ。
関係を断ち切るのはフェアなことだったんだ。 延長すると、もっと難しくなるだけ。 誠実な女性は、浮気者の夫にふさわしくない。 彼女はもっとふさわしいんだ。 素晴らしい男性、尊敬する男性、あたしが自分で決める意思がないみたいに操ろうとする人じゃない男性。
やっとルーカスから解放されて嬉しかった。 彼のパパからも。
なんとなく、元姑が可哀想だった。 彼女が、あたしがどうすればいいかを見せた後に、彼女も自分の道を見つけられますようにって願ってる。