第24章 - 狂気 - マヤの視点
彼をじっと見つめて、息ができない。心臓が肋骨にガンガンぶつかって、ベッドボードに背中をつけたままだ。どこにも行けないけど。指でベッドの端っこを掴んで、現実に戻れる何かを探してる。
ダミアンは部屋の真ん中に立っていて、大きく息を吸ったり吐いたりして落ち着きを取り戻してる。でも、彼はもうただの男じゃない。全く別の何かだ。
目の前で彼が変わるのを見た。今、私が何と向き合ってるのか、全然わからない。噂は本当だったみたいだけど、こんなことになるとは思ってなかった。
彼はオオカミに変身するんだ。
どうしてこんなことが?
「ほんのちょっと前までオオカミだったのに」って、私は沈黙を破って言った。
「ああ」
「で、今は男」って、私は付け加えた。
彼はただうなずく。「ああ」
「肌が波打って、体がグニャグニャって男になった。骨がバキバキって、すごく原始的でワイルドだった。いったい何なの?本に書いてあるのと違う」って、声が裏返って言った。
「オオカミに変身するんだ、マヤ。俺はそうなんだ」
「オオカミに変身するんだ」って繰り返して、本は正しかったんだってわかった。「どう考えたらいいのか、わからない」
彼が何者なのかってことが、私にドーンと突き刺さる。人狼かオオカミに変身するのか、どっちにしろ、私が相手にしてるのはそれなんだ。
目をぎゅっとつむって、この悪夢から覚めて、何か論理的な説明が見つからないかなって願ってる。でもまた目を開けると、目の前にあるのは肉体と、すごく裸の男だけ。
「マヤ」って、彼はささやいた。
「マヤって呼ぶな。ファーザーから私を買ったのは何のため?人間なんて必要ないんでしょ?食べるつもり?」
彼が一歩前に出ると、私はビクッとした。その小さな動きが、全てを変えたんだ。
顔が強張って、私が来てから初めて、彼の視線に何かがちらついた。罪悪感だ。私を怖がらせるのは嫌みたい。でも、どうして?
「こんな風に知られるはずじゃなかった」って、彼はまた言った。
私は心から笑ったけど、何よりも気が狂ったような笑い声だった。「何を知るの、ダミアン?あなたが人間じゃないってこと。あなたが男ですらないかもしれないって噂が本当だったってこと」
彼はため息をついて、乱れた髪をかき上げた。正直、この状況全体にイライラしてるように見える。「何か理解してほしいことがあるんだ」
彼の声が途切れたから、私はまた笑った。「何を理解すればいいの?オオカミに変身する男と一緒に暮らしてるってこと?」
彼はビクともせず、私を見つめてるだけ。私の反応には、全然驚いてないみたい。
「俺はいつもそうなんだ、マヤ。生まれたときから、ずっとこのままで、お前は慣れるよ」
「何?慣れる?」
彼はもう一歩私に近づいてきて、私は部屋から出る方法を探してあたふたした。彼が私があたりを見回してるのを見て、立ち止まった。
「マヤ、俺はオオカミに変身するんだ、人狼って呼んでもいいけど。それに、ただのオオカミじゃない。この群れのアルファなんだ」
「だから、生まれつきってこと?」って、私は彼の言ってることのほんの一部でも理解しようとして聞いた。
彼はただうなずいた。
言葉は重く響いて、自分がとんでもないことになってるって気づいた。彼は群れのアルファなんだ。彼の世界のことなんて何も知らないのに、そこに投げ込まれて、今、どうしたらいいのかわからない。
前にも詰んだと思ってたけど、全然わかってなかったんだな。
「ありえない」