第63章 - 決して元に戻らない - ダミアンの視点
天井を見つめながら、じっと横たわっていた。
彼女は返事をしない。ああ、やっと寝てくれたんだな。
彼女の存在はこんなにも近い。彼女の温もりはほんの数センチ先にある。でも、胸が締め付けられるのは、その距離のせいじゃない。
それは、彼女がさっき言った言葉と、彼女の要求のせいだ。
彼女に戦い方を教える?
まあ、いつかそうなると思ってたけどさ。
最初から彼女の目を見たとき、彼女はきっと戦う人間だって気づくべきだったんだ。
彼女は人間で、もろい存在だけど、ここ数日で彼女の中に何かが変わったんだ。
静かな決意が育っている。
前にはなかった決意があって、それを認めたくないわけじゃないんだ。
もう逃げずに、真実と向き合ってるのは嬉しいよ。
これで、俺たちとの繋がりを受け入れてくれるかもしれないし。
でもさ、彼女に戦い方を教える?
本当にできるのかな?
少し体を動かして、彼女の方を見た。
呼吸は安定してるけど、彼女の動きには落ち着かなさがある。
まだ完全にリラックスできてないけど、俺もそうなんだ。
彼女を俺の世界にもっと深く招き入れて、戦い方や身を守る方法を教えることを考えると、認めたくないけど、不安になるんだ。
あの世界で生き残るために何が必要か、俺は知ってる。
暴力と残酷さがつきものなんだ。彼女が俺のそういう面を受け止められるか、自信がない。
彼女は俺がお金と力を持ってることは認めたみたいだけど、他の部分はキツイだろうな。
自分の爪の感触を思い出しながら、指を動かす。
彼女には、絶対に真似できないだろうし、それはわかってる。
でも、それだけじゃないんだ。
彼女がどんなに望んでも、彼女をさらに深淵に引きずり込みたくないんだ。
目を閉じて、その考えを振り払おうとする。
今までずっと、俺はコントロールを保ち、感情に判断を狂わされることはなかった。
誰とも親しくなることもなかった。
でも、今は彼女がいる。
ずっとずっと、彼女を待ってたんだ。
ああ、わかったよ。
彼女に戦い方を教えてやる。
その言葉はまるで、彼女を早めに墓に送るような、そんな決定的な響きがある。
不安が胃の底にまとわりつく。
もちろん、俺はやるよ。自分の気持ちは置いておいて。
彼女を拒むことなんてできないのは、わかってる。
でも、これは俺にとっても、彼女にとっても簡単じゃないだろうな。
横に顔を向けて、彼女を見る。
彼女が傷つくのを見たくないから、罪悪感を感じるんだ。
一つだけ確かなことがある。
もう後戻りはできない。
彼女にそう言ってしまったんだから。
彼女の寝顔を見て、胸の上がり下がりを見ている。
彼女は体を横に丸めて、俺の方を向いている。なんだか可愛いな。
彼女は望んでもいない世界に放り込まれたんだ。
俺に反抗するけど、寝てる時の彼女の様子を見れば、俺はすぐにわかるんだ。
彼女は俺と一緒にいることに安らぎを感じているんだって、たとえそれを認めなくてもね。
彼女を抱きしめて、この人生で彼女を脅かすすべての危険から守ってやりたい気持ちもある。
でも、永遠に彼女を守ることはできないってわかってるんだ。
奴らが迫ってきてるから。
この世界、俺の世界は、ただ俺にとって彼女が何者かってことで、彼女を追い続けるだろう。
だから、彼女が早く身を守る方法を学ぶほど良いんだ。
顎を食いしばり、自分の考えの重みが心に沈んでいくのを感じる。
正しいことをしてるのかどうかわからないし、多分違うんだろうな。
この人生には、一度学んだら忘れられないことがある。
彼女を壊し、この人生が始まる前の彼女の最後の欠片を奪うようなレッスンがね。
でも、それこそが彼女に必要なものなのかもしれない。
俺の指は、俺たちの間の毛布の端をなぞる。
その柔らかい布は、俺の心の中の荒れ狂う嵐を鎮めるにはほとんど役に立たない。
彼女が寝ていても、俺たちは引き合っているのがわかるんだ。
再び天井に意識を戻し、ゆっくりと息を吐き出す。
静かすぎるんだ。
家がきしむ音か、パックのメンバーがドアの前を通り過ぎる音だけ。
彼女は俺を必要とするだろうし、多分、俺がまだ準備できていない方法で必要とするだろう。
その考えの意味が俺に重くのしかかり、じっと横たわり、荒れ狂う考えを鎮めようとする。
彼女が持っているだろうあの瞬間、あの必要性は、この道を歩むにつれて明らかになるだろう。
まだそれらをどう処理するかはわからないけど、必ず来ることはわかってる。
すべての考えを脇に置こうとして、眠れるようにする。
だって明日は、俺たちにとって新しい始まりとなるから。
新しい章だ。
明日、俺は彼女にすべてを教えるか、少なくとも教え始めるんだ。
でも、今は、二人とも眠る必要がある。
それだけじゃない。
彼女に見せたくないけど、俺の中にも嵐が吹き荒れてるんだ。
俺の中の狼が騒ぎ始めている。
彼は落ち着きがなく、自分のものを手に入れたがってるけど、俺はできないんだ。
まだね。
もう一度彼女の方を見た。
寝ていても、彼女には見過ごせない静かな強さがある。
彼女はこれを乗り越え、最終的にはもっと強くなるはずだ。
彼女にはそうしてもらわないと。
そして、ほんの少しの間、俺は警戒心を少しだけ緩めて、彼女のそばでほんの少しの間だけ休むことを自分に許した。
とりあえず、ここにいる必要があるんだ。
ただ、ここに留まる必要がある。
部屋の音に耳を傾けながら、ベッドに深く沈んでいく。
何時間も俺を締め付けていた緊張は、今ようやく解け始めた。
また体を動かし、姿勢を調整する。
彼女の温もりが少し近づいてくる、まるで彼女も動いているかのように。
なんだか妙に心地よいんだ。
疲労がようやく訪れ、目を閉じる。
明日はすぐにやってくる。
俺たちがこれから直面するものは、これまで以上に困難になるだろうってわかってる。
今はそんなこと考えてる場合じゃない。
もう一度深呼吸して、彼女の呼吸の音に耳を傾け、平和に包まれる。
ゆっくりと、俺の心は静まり、眠りに落ちるにつれて、最後の考えが頭をよぎる。
明日は、俺たちが絶対に元には戻せない、何かの始まりとなるだろう。