第三十六章 - 徐々に自分を失う - マヤの視点
息が荒くなるのに合わせて、オレは彼の視線を受け止める。胸がドキドキしっぱなし。近い、近すぎる。彼の熱が波のように伝わってくるのがわかる。
彼はまだ四つん這いのままで、たった2フィートくらい先にいる。薄暗い光の中で、彼の金色の瞳がオレのことを見つめて輝いている。
心の奥底では、彼を突き放して、彼から離れるべきだってわかってる。でも、そうしないんだ。正直、どうしたらいいのかわからない。嫌だって強く否定したいけど、彼の視線が好きだって思う危険な自分が少しだけいる。まるで、捕食者のように動きながら、オレを何か大切なものみたいに扱って、守ってくれようとするのも、別に悪くない。
でも、それはまだ彼に悟られたくない。だって、彼は自分が勝ったって思っちゃうから。
「こんな風に守ってほしいわけじゃないんだけど?」オレは彼の視線と絡み合いながら尋ねた。
彼の唇がピクッと動く。「困ったな、小さな仲間。でも、もう決定事項だ。そうするのが俺の役目なんだから」
またあの言葉だ。仲間。それが背筋をゾクゾクさせる。彼に気づかれたのは嫌だった。彼は近づいてきて、顔が数センチのところまで迫ってきた。彼の匂いがオレを包み込み、彼がオレにどんな気持ちにさせてるか以外、何も考えられなくなる。
「抵抗してもいい。別に構わない。秘密だけど、お前を追いかけるのはゾクゾクするんだ」彼は低い笑い声を出した。「でも、何も変わらない」
「なに?」
「お前はいつだって俺のものだ。お前が生まれたときから、俺のものになる運命だった。逃げられない。お前は、そもそもそうなるべくして生まれてきたんだ」
息が止まる。彼の言葉じゃなくて、言い方のせいで。彼はすごく確信してる。
「お前の頭の中がフル回転してるのが見えるけど、月が空に属するように、お前はいつだって俺のものになる運命だったんだ」
顔が赤くなる。「そんなこと言って、オレが簡単に従うと思うの?」
彼はゆっくりと息を吐き出し、オレの唇に視線を落としてから、再びオレの目を見た。「じゃあ、お前もそう感じてないって言ってみろよ。やめてくれって言ってみろ」
まさにそう言うために唇が開くけど、彼にそう伝える言葉が見つからない。そう言うべきだし、退いてくれとも言うべきだ。こんな風にオレを見ないでほしい。彼はオレに感じたくない気持ちにさせてる。
彼にやめてほしくないって気づいた。
たぶん、彼も気づいてる。
顎をきつく締め、彼はオレとの距離を詰める。「今は受け入れなくてもいい。でも、いつかは受け入れることになる。運命は間違えないんだ、マヤ。お前は俺のものだ」
彼の言葉が頭に入る前に、彼の唇がオレの唇にぶつかった。そのキスは激しくて、すべてを飲み込むような、燃え盛る野火みたいだった。オレは彼を突き飛ばしそうになったし、そうすべきだったけど、彼の手がオレの腰に触れた瞬間、考えが吹っ飛んだ。
声が漏れた。彼はオレを強く抱きしめ、彼の指の震えを感じた。でも、彼がキスしたのと同じくらい突然、彼は離れた。
彼の金色の瞳が燃え上がり、彼はまだ息を切らしながら、オレを見つめている。彼は、制御不能になりそうな男みたいだった。それから、オレは彼の爪の跡がオレの脇腹に薄く残っているのを感じた。
オレは二人の間に手を伸ばし、指を自分の服に押し当てる。彼のことを見上げるしかできなかった。
彼は鋭く息を吸い込み、オレの脇腹で手を動かし、低い唸り声を上げた。「お前も感じてるんだろ? 違うって言ってくれ」
心臓がすごくうるさくって、彼にも聞こえるんじゃないかってくらい。嘘をつくべきだし、そうしたいんだけど、真実は、死ぬことを拒む暖炉の火のように、二人の間でパチパチと音を立てて燃えている。
「言えよ、マヤ」彼は促す。
オレは首を振った。でも、それは否定のためじゃない。「オレも感じてる」オレは囁いた。
ダミアンは、まるで今までずっと息を止めていて、オレの返事を待っていたかのように、息を吐き出した。彼の額がオレの額に触れ、彼の両手はオレの腰に置かれた。「なら、俺から逃げるのをやめろ」
なんて簡単な命令なんだろう。このことと戦うのをやめて、二人の間の何かが他の何かに変わるのを許せばいい。オレは目をぎゅっとつぶって、彼に身を任せるように自分に懇願する。「怖いから、どうやって逃げるのをやめたらいいかわからない」
彼の指先がオレの腰をなぞり、背筋にゾクゾクっときた。「じゃあ、俺に身を任せる方法を教えてやるよ」
すべてが飲み込まれ、破りたくないテザーのようにオレを包み込み、息が詰まる。彼の温もりに身を寄せると、体がオレを裏切った。彼の触れ方は羽のように軽いのに、彼の指先でオレの腰や脇腹をなぞると、燃えるように熱い。離れるべきだ。これが最後のチャンスだ。
でも、オレは離れないし、できない。
「本当に、どうすればいいのかわからない」オレは自分の考えに囚われたまま繰り返した。
ダミアンはぎゅっと抱きしめた。痛いほどじゃないけど、オレを彼の方に引き戻すには十分な強さだ。「お前はそうしなくていい。俺がお前を捕まえるから」
彼の言葉はオレの奥深くに染み込み、オレが守ってきた防衛線を打ち破った。胸が震える息で上下し、心臓がものすごい勢いでドキドキする。もう、逃げ場はない。
彼の目を見つめる。「ただ、諦められるかどうかわからない」
彼が再びオレに近づき、震えが走る。彼の親指がゆっくりとオレの腰を撫でる。
ダミアンはためらわない。彼の唇がゆっくりと、切なげな調子でオレの唇を奪った。まるで、この瞬間のすべてを味わおうとしているみたいだ。前とは違っていて、必死さがない。彼はただオレにキスしてるんじゃない。彼は、自分のものだと主張してるんだ。
彼の両手がオレの背中を滑り上がると、震えが走る。体が彼の体にぴったりと密着するまで、彼は引っ張った。彼の温もりがオレを包み込み、オレの肌と骨に染み込む。
オレの指が上がり、彼のシャツを掴み、心が制御不能になっても、彼の中で自分を支えた。