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「これ、あってんのかな?」 ジュリエットはアイライナーを塗った後、独り言を言った…。 椅子から立ち上がって、鏡に顔を近づけた…。 「違うんだよな」 彼女はつぶやき、さらに拭き取りシートを取り出した…。 全部綺麗にして、三度目にやり直した…。 お母さんとかフローレンスが、必要に応じてメイクを手伝ってくれたんだけど…。 彼女は自分が何をしているのか全然わからなくて、だんだん自分自身にイライラしてきた…。 「もう、イヤ!」 ジュリエットは自分にそう言って、アイライナーを落とした…。 深くため息をつき、顔全体を洗うためにバスルームに向かった…。
アレックスが来るまで、あと2時間くらいあったんだけど、彼がどんな風に来るか知ってるから、もっと早く来るかもしれないって感じてた…。 部屋を出て、メイクで失敗する前に紅茶を淹れることにした…もう諦めようかと思っていたんだ…。たぶんリップグロスとマスカラだけで十分、他のものみたいに手間かからないし…。 ブティックで買ったドレスを着るために部屋に戻った…。
それは、全面に花柄のプリントが入った、美しいフローラルプリントのミニドレスで、裏地が一部ついてて、ラップ風のネックラインで、半袖だった…。 彼女はそれを見た瞬間、そのドレスを気に入った…。 鏡の前でくるっと回ってみて、その姿に満足した。 その夜、初めて彼女の顔に笑顔が現れた…。 次は髪の毛だ…。
ジュリエットは何とか時間内に髪をまとめることができて、幸いなことに、アレックスがドアをノックする30分前には、準備万端だった…。 彼女のバッグはキッチンのカウンターに置かれていた…。 彼のためにドアを開ける前に、深呼吸をした…。 「やあ」 彼女はアレックスを見た途端にそう言い、彼の目が輝いているのを見て顔が赤くなった…。 「すごく綺麗だよ」 彼は彼女にそう言って、彼女は笑顔を抑えることができなかった…。 彼女はドレスについて、本当に正しかったんだ…。
アレックスは彼女の家に入ってきて、驚くことに彼女を暖かく抱きしめた…。 彼女はまだ彼のハグやキスに慣れていなかったけど、絶対に慣れることはないだろうと思った…。 彼と近くにいるだけで、彼の声を聞くだけで、彼女の心はドキドキでいっぱいになった…。
彼女は彼が顔ではなく、頬にキスをしたとき、ゴクリと唾を飲んだ…。 唇を期待していたのに…
彼がハグを解いたとき、彼女はついに普通に呼吸できるようになった…。 「行く準備はできた?」 アレックスは尋ねた…。 ジュリエットは彼を見て頷いた…。 「バッグを取ってくるわ」 彼女はそう言って、キッチンの方へ歩いて行った…。
ラナに、彼氏とデートに行くって言ったのを思い出した…彼をそう呼ぶのは、まだ変な感じがする…。 ラナと買い物に行った次の日、彼女は仕事に行かず、たくさんの質問をされずに済んだ…
ジュリエットはキッチンを出て、アレックスがそこで彼女を待っているのを見た…。 「もう行けるよ」 彼女はそう言うと、彼は頷いた…。 彼女が彼の横を通り過ぎようとしたとき、彼は彼女の手を掴み、彼女の心拍数は再び上がった…。
「ドアに鍵をかけないと」 彼女は外に出たときにそう言うと、彼はまだ彼女の手を握っていた…。 アレックスはついに彼女の手を離したけど、彼女がドアに鍵をかける間、彼女のそばに立っていた… その後、また彼女の手を握った… 彼は手を繋ぐのが好きなのかな? 彼女もそうだったから…
彼は彼女のために車のドアを開け、彼女はありがとうと言った…。
彼らはすぐに道に出て、どこへ向かっているのかジュリエットにはわからなかった…。 「どこに行くの?」 彼女はアレックスに尋ね、彼を見た…。
アレックスは、この2日間、彼女がいなくてものすごく寂しかったから、再び彼女の隣にいられることにただただ幸せだった…彼女の近くにいると、やっと新鮮な空気を吸えるような気がしたんだ…。
「映画でも見たい?」 彼は答えた…。 少し休憩時間にちょっと調べたら、デートの時に映画に行くのが好きな人が多いって読んだんだ…。 彼はそんなことしたことなかった…。 彼の過去の恋愛はロマンスとは程遠かったんだ…。 もっと2人の間の交換みたいな感じで、あれを恋愛って呼べるのかも疑問だった、だって相手への愛情のかけらも感じなかったし、相手もそうだったんじゃないかなって確信してたんだ…。 彼らはただ、彼から得られるものを愛していただけだったんだ…。
「映画が見たいな…新しい映画が公開されて、どうしても見たかったの…」 ジュリエットはすぐに言葉を切って、アレックスの顔から笑顔が消えた… 何が悪いの…
「どんな映画が好き?」 彼女は尋ねると、アレックスには少し難しい質問のようだった…。 彼は最後に映画を見たのがいつだったか思い出せなかった…。 たぶん大学生のときだったかな… どんな映画が好きか、一つも名前を挙げられなかったんだ…
「君が好きなら、僕も好きだよ」 彼は答えた。ジュリエットは笑顔になった、返した。「私が何が好きか、知ってる?」 彼女はそう言うと、アレックスは頷いた。「君が好きなものは何でも好きだよ… きっとそうなるよ」
「じゃあ、私が映画を選んで、その後は何をするかあなたが選ぶのはどう? 」 ジュリエットは提案すると、アレックスは同意して頷いた…
しばらくして、彼らは映画館に着いたけど、もう満員だった…。 「今日は土曜日だったって忘れちゃってた」 ジュリエットは入りながらつぶやいた…。 彼女は、何組かのカップルがアレックスと彼女の前を通り過ぎるのを見た…。 みんな手を繋いでいた…。 それを見て彼女は彼を見た。 なんで彼はもう彼女の手を繋いでないんだ… 彼女は今、彼と手を繋ぎたかった…
「彼の手を繋いで」 ジュリエットは心の中でそう思ったけど、映画を選んで、ポップコーンと飲み物を買うまで、その勇気が出なかった…
彼は彼女の手を繋げるようになるのかな! そう思いながら、二人は席に着いた…