第87章
世界的に見ても、スーパーヨットって160隻もなくてさ、本当にそういう豪華な船持ってるビリオネアって100人ちょいしかいないんだよね。そのうち80%以上は目立つの嫌がって、自分の身元隠してるし。メディアもどこにいるのか追跡するの大変だし、フォーブスのビリオネアランキングにも名前ないし。大抵、ちょー地味な名前で登録してて、例えば、あんまり知られてないレストランのオーナーとか、小規模なベンダーとかがオーナーになってるらしいよ。
スーパーヨットって、値段が2億円くらいからで、ドック代とか毎日のメンテナンスとか、マジでえげつないくらいお金かかるんだよね。日常的な出費だけでも何十万ドルもするんだから、普通の人ができるようなライフスタイルじゃないよね。そういうヨットは、もはや単なるお金持ちの象徴じゃなくて、もっとすごいレベルの贅沢さと特別感を表してるんだ。
数日前、ファッション界でめちゃくちゃ影響力あって、センスも最高って評判のスーパーモデル、ベッカが、インスタに海の写真アップしてたんだよね。
その写真には、ウィニー・ロクスリーが、派手なバケーションワンピ着て、でっかいサングラスかけて、めっちゃ笑顔で写ってた。いつもの真面目な感じとか、よそよそしさみたいなのは、その瞬間だけなくなってたみたい。普通なら一緒にいないような、ビジネスマンとかモデルとかと一緒に写ってて、ウィニーの優しい笑顔が、いつもクールで近寄りがたいってイメージの彼女とは全然違ってた。
写真に写ってたヨットは、ヴァイブ・ホールディング・グループの御曹司、ワトソンのプライベートヨットだったんだよね。あれは、ソーシャルメディアに結構出てくる珍しいスーパーヨットで、みんなの注目を集めてるやつ。
ベッカのインスタ、めっちゃ話題になってて、すぐにウィニーのファンアカウントがリポストしてた。ハッシュタグの#ベッカウィニー#が、一瞬でトレンド入りしてたし。
一方、エルバはひっそりとアンのスタジオに入り込んで、自分の「キャンペーン」を始めてたんだよね。
アンに電話がかかってきたんだけど、マジで切羽詰まった声でさ、「エルバがばい!朝の3時なのに、まだ私のスタジオから出て行かないの!」って言ってた。
エルバはアンのスタジオをめちゃくちゃにしてたらしい。そのあとすぐに、ファッション系のPRマネージャーたちがぞろぞろ現れて、新しいオートクチュールの服を運んでたんだって。エルバがこんなに人呼べるってことは、裏にすごい人がいるってことだよね。
誰がバックについてるのか、もう分かりきってるよね。あの写真に写ってる人たちと、背景のヨットの人たちのおかげなんだろうな。
ウィニーは、ヨーロッパではソーシャルメディアあんまりやってなかったし、静かに過ごしてたんだよね。ベッカはいつも優しく接してくれてたけど、そういう場にいると、自分がスポットライト浴びてるみたいで、ちょっと落ち着かなかったんだって。ポーズとか笑顔は作って、でも、用心深く、目立たないようにして、ゴシップのネタにならないようにしないといけなかったんだよね。
夜がすっかり深まってた。プライベートジェットの階段がゆっくりと降りてきて、フライトアテンダントがキャビン入口で待機してる。
ウィニーは、アンとの電話を続けてて、スマホには次々とメッセージが届いてた。ちょうどその時、デビッドの名前が表示されて、また着信があった。
そういう緊迫した状況には慣れてきたんだけど、ちょっと嫌な予感もしてたんだよね。
「アン、先にエルバのこと片付けて。急ぎだから。また連絡する。もし何かあったら、ウェンディに直接連絡して。」
電話を切って、すぐにデビッドから電話がかかってきた。「切るな!ウィニー!何があったんだよ?お前をあのヨットに連れて行ったのは誰だ!?」デビッドはすごい剣幕で、ほぼ取り乱してた。そして、ため息交じりに「お前がそんなにすごいコネ持ってたって知ってたら、なんで教えてくれなかったんだよ!マジで心臓止まるかと思った!」
ウィニーは、ちょっと居心地悪くて、罪悪感も感じてた。ヴァンに聞かれるのが怖くて、スマホを覆って、小声で「落ち着いて。そんなに興奮しないで。」って言った。
「教えてくれ、一体誰がお前をあのヨットに連れてったんだ?」デビッドの声には、質問と不安が入り混じってた。
ウィニーは、たばこをゆっくり吸ってるヴァンの方を見て、小声で、ほとんど囁くように言った。「私の…えっと…一般人の彼氏?」
デビッドは、ウィニーの答えに完全に呆然としてた。少し間を置いて、彼はまた話し出した。彼の声は、どうしようもないって感じだった。「お前が言ってる『一般人』と、俺が思ってる『一般人』は、レベルが全然違うんだよ、マジで。」