第85章
何時間も、ほんの数秒で終わったみたい。進んでる森が全然終わる気配ないんだもん。木がものすごいスピードで通り過ぎてって、ホープ、ちょっと疲れちゃった。ガラスに頭をくっつけて、もうすでにぐったり。一番大事なのは、ハーレー・コリンズがいないってこと。あいつは、意味わかんない話で、ホープを起きさせようとしてくるんだよね。
ホープにとって、あれは18歳の誕生日だった日のことだった。ハーレー・コリンズは、ホープを一晩中起こしとこうとしてたんだ。寝ないで一日を過ごせるようにって。つまんないジョークとか、変な話をずーっと聞かされて、ホープは笑い転げて、眠気吹っ飛んだ。結局、太陽が昇るまで、ハーレー・コリンズは話し続けてたけど、限界が来たみたい。目が重くなってきてた。同じベッドで寝たのに、ホープは全然眠れなかったんだよね。だって、ずーっと笑ってたから。全然疲れも感じなかったし。だから、ハーレー・コリンズが寝るまで見てて、そしたら、ホープもいつの間にか寝ちゃったんだ。
あんな日を過ごして、ホープは、ハーレー・コリンズとのつながりをすごく実感したんだ。
外をすごいスピードで通り過ぎていく木々から、ホープは気だるそうに視線をずらして、今度は、ハーレー・コリンズの方を見た。ジェイスが、ハーレー・コリンズの腕にしがみついてて、ちっちゃな声で話しながら、クスクス笑ってる。
ホープは、ハーレー・コリンズの隣に座って、このドライブを楽しみたかったんだ。だって、最初はエースと一緒だったんだから。それがホープの計画だったけど、アンナが突然現れて、ハーレー・コリンズをほとんど独り占めしちゃったんだもん。
アンナって、本当に子供っぽいんだよね。
まるで、新しいおもちゃを手に入れた子供みたい。
「うわ、見てよ。」ハーレー・コリンズがアンナに囁いた。すごい感動した顔で窓の外を指さしてる。
ホープも窓の外に視線を向けると、息をのんだ。太陽の光でキラキラ光ってる、透き通った湖!あれ、めっちゃキレイじゃん!
「きれい…」アンナは感嘆したようにため息をついて、ちょっと笑顔で窓の外を見てる。「湖のそばを歩いて、波の音を聴きながら、寝転んでいたいなーって、ずっと思ってたんだ。」
「俺もそうしたい。」ハーレー・コリンズはゆっくり頷いて、窓の外を見た。地図で見た時から、ホープに見せたいと思ってたあの、果てしない湖を。
ネットで写真とかはあったけど、あんまり情報なかったんだよね。
森と岩で囲まれた小さな湖で、そんなに人は行かない場所なんだ。それに、人間はまだ狼男のこと怖がってるから、サバイバル生活みたいになるの嫌だし、行きたくないってやつも多いんだよね。
人がほとんどいないから、ハーレー・コリンズは、ホープを連れて行くのに最高の場所だって思ったんだ。ホープの気持ちを盛り上げて、告白するつもりだったんだよね。そしたら、ハーレー・コリンズの彼女になってくれるかもしれないし。
でも、断られる恐怖が、告白したい気持ちを上回っちゃって、ホープを失うかもしれないって考えたら、自分の本当の気持ちを明かす理由がなくなっちゃったんだ。
ホープもその美しい小さな湖を見てるって分かってるから、ハーレー・コリンズは、湖が視界から消えていくのを見てた。
「ねえ、ハーレー・コリンズ」アンナが咳払いして、ハーレー・コリンズの腕から手を離して、指を絡ませた。「今、好きな人とかいるの?」って聞いてきた。ホープが聞いてるの知ってるから、ハーレー・コリンズは、めっちゃ気まずそう。でも、アンナは全然気にしちゃいないみたい。
エースは、席に深くもたれかかって、アンナの横顔を見て、くすくす笑った。
エースはアンナのことよく知ってるから、アンナが価値があるって思ったものを簡単には手放さないって分かってるんだ。それが、エースが怖いって思ってるアンナのことなんだよね。アンナは、時間も人も、絶対に無駄にしない。いつも、自分が欲しいものにまっしぐら。言わなきゃいけないことがあったら、絶対言うし。隠す必要なんてないんだ。隠したら、手に入らないことになるかもしれないから。
「まあ…」ハーレー・コリンズは咳払いして、一瞬だけバンの外を見て、また彼女の方を見た。「嘘はつきたくないけど、いるよ。」
「もう一人の男に恋してるって言ってた女の人、それ?」アンナは、純粋な目で聞いた。場所も時間も間違ってるって気づいてないんだよね。
アンナが話し始めた瞬間、エースとホープは、耳をそばだてた。
ハーレー・コリンズは、アンナに眉をひそめて、顔を背けて、腕を組んだ。すぐに答えられないほど、恥ずかしかったんだと思う。
「まあ、そんな感じかな。」彼女にこれ以上話させないように、ハーレー・コリンズは頷いた。すごくしつこいけど、ハーレー・コリンズは、アンナのこと全然嫌いじゃないんだよね。むしろ、すごく良く知ってる誰かと一緒くらい、ちょっとムカつくくらい。
アンナは、ハーレー・コリンズがちょっと気まずそうだって気づいて、ゆっくり頷いて、他のところを見ようとして、ホープの目を見ちゃった。ホープは、ちょっとびっくりして、身を引いた。
ハーレー・コリンズのことだって分かってるって顔しないように、ホープは一瞬アンナを見て、アンナもホープのことを見てた。ホープに挨拶するみたいに、アンナは微笑んで、前を向いた。
ハーレー・コリンズは、ジーパンを握りしめた。忘れようとしてた計画が、こんなに早く、うまくいかなくなっちゃったんだって分かったんだ。
その時、エースはホープの方を見た。ホープの視線はハーレー・コリンズの後ろじゃなくて、ホープの頭の中で何が起こってるか、エースは全部お見通し。