第117章:不条理なスピーチ
マルティナはバカじゃない。 エイミーの言葉が本心から出てないってこと、わかってた。 あんなに平気な顔して嘘つけるなんて、マジウケる。
最初から全部、エイミーの自作自演だったのは明らかだったし。 今さら自分のやったことの後始末してるだけなのに、なんでそんなに可哀想なフリしてんの?
マルティナはめっちゃイライラした。 今、体が弱ってて、ヘナチョコみたいになってなかったら、エイミーの顔面にビンタかましてやりたいくらい。
「ベンジャミン、これってあんたのアイデア?」 マルティナが聞いた。
さっきのエイミーの言葉から、マルティナは全部理解した。 目が覚めたらベンジャミンがいなかったのも納得。 つまり、ベンジャミンはエイミーを探しに行ったってこと?
実際、マルティナも、今までベンジャミンがやってきたことにはちょっとビックリしてた。
なんでベンジャミンはこんなことするんだ?
前は、何事もなかったみたいに振る舞って、すごく上手くやってたのに。 それなのに、今度は手のひらを返してエイミーに謝らせて、パロマ家全体に逆らってる。
ベンジャミンは、別に誰かと敵対する必要なんてないのに、マルティナはなんでこんなことするのか、全然理解できなかった。
もしかして、罪悪感? それとも、何か別の理由がある? それとも、マルティナがこの件を徹底的に調べて、エイミーにもっと酷い結果になるのを恐れてるから? だからわざとこのことを明るみにして、エイミーに自ら謝らせた?
マルティナには理解できなくて、見抜くこともできなかった。 ベンジャミンの前にはいつも、霞がかかってるみたいで、近づいても常に混乱した気持ちになる。
どうしてベンジャミンは、マルティナの疑いの目を見抜けないんだろう? 以前の彼の行動があまりにも人間味からかけ離れていたからかもしれない。 たとえ彼がただマルティナを幸せにしたかっただけだとしても、マルティナは彼の真意を疑ってしまうだろう。
マルティナは思わず鼻で笑って、「パロマ、表面上は謝罪してるけど、全然納得してないでしょ?」
「だって、私のこと、ずっと下品なビッチだと思ってるんでしょ!」
「私がベンジャミンにふさわしくないって思ってるんでしょ。 私がわざと注目を集めてるって思ってるんでしょ。 私がベンジャミンをそそのかして、あんたとの関係を終わらせたって思ってるんでしょ。」
マルティナが状況を正確に分析したにも関わらず、エイミーは純粋で被害者のフリを続けた。 「違う、本当に。 ただ謝りに来ただけなの。 そんなに色々考えてなかったわ。」
時間が経つにつれて、エイミーは膝がめちゃくちゃ痛くなってきて、触って揉んでやりたい気分になった。
マルティナの冷たい視線はさらに強くなった。 「自分の言ってること、信じてるの? 私のことあんなに恨んでたくせに、まだここで清純ぶってるなんて。 気分悪いでしょうね?」
マルティナはわざとデリケートな問題に触れて、「昨日の夜、うまくいったんでしょ? もう一回やりたいの? 私を陥れるために、わざと誰かに襲わせたんでしょう。 どんな手段も厭わないんでしょう!」
マルティナは目を閉じた。 昨夜の経験を思い出すだけで震えが止まらない。 もし必死に抵抗しなかったら、ベンジャミンが間に合わなかったら、どうなっていたか想像もできない。
そして今、エイミーは謝罪して、マルティナに許してほしいと願っている。 そんな都合の良いこと、あるわけない。
マルティナはバカじゃないし、マゾじゃない! こんなの、絶対受け入れられないわ!
誰も見てない角度で、エイミーは拳を強く握りしめ、今すぐにマルティナの顔を引き裂いてやりたい気持ちだった。
「もう出てって。 許さない。 あんたが私にしたこと、いつか必ず代償を払うことになるわ」 マルティナはけた。 「でも、安心して。 もう分かってるから。 男に頼ったりしない。 自分の力で、あんたに後悔させてやる。」
マルティナが将来どうするのか、エイミーはすごく興味があった。 でもそれ以上に、早くこの場を去りたかったので、マルティナの言葉を聞くとすぐさま反応した。
エイミーは信じられないといった感じで、「本当に私を許してくれるの? 後悔しない?」
横で見ていたサイモンでさえ、もう見ていられなかった。 「マルティネスさん--」
この女、エイミーは、ボスがパロマ家との関係を壊してまで連れ戻そうとした相手なのに。 なんでマルティネスさんは感謝しないんだ?
マルティナがわざとそうしてるのは誰の目にも明らかだった。 良いこと言ってるけど、ベンジャミンを全然信用してない。
ベンジャミンは不機嫌そうな顔でサイモンを制止し、「余計なことすんな」
サイモンは不本意ながら口を閉ざしたが、頭の中では様々な考えが巡っていた。
マルティナは最後にエイミーをじっと見て言った。「何? もう帰りたくないの? 正月までここで土下座してたい? さっさと出て行きなさい。」
ためらいがないのを見て、エイミーはすぐにこの場所を去るのを待ちきれなかった。 もう一言も言いたくなかった。 今去らなければ、本当に後悔すると思った。 マルティナが有利な立場にいるのに感謝しないし、すでに謝罪したのに、マルティナはまだ許さないんだ。
病院を出てからも、エイミーは長い間、非常に落ち着かない気持ちだった。 今日の出来事をしっかりと記憶に刻み、マルティナに代償を払わせるつもりだった。
本当に、マルティナが言ったように、エイミーの言葉は聞こえは良いものの、その意図は非常に邪悪だった。
まるで、頻繁に舞台に立っていた人が、突然、良妻賢母になると主張するようなものだ。 本当かどうか見極めるためには、慎重に検討する必要がある。
ベンジャミンは不承不承、椅子を引き寄せてベッドのそばに座った。 「マルティナ、本当にこんな風に俺から距離を置きたいのか?」
エイミーが明らかに目の前にいるにも関わらず、マルティナはベンジャミンの優しさを拒否し続けた。
マルティナは困惑したふりをした。「何のことか、全然分からないわ。」
ベンジャミンは首を横に振って、マルティナの髪を撫でながら言った。「大丈夫だよ、またお前が心を開くまで、俺は辛抱強く待つ。もし、このやり方が嫌なら、別の方法でお前のために正義を実現する。エイミー・パロマだけは許さないから。」
以前のベンジャミンには、まるで声がなかったみたいで、口は不要な付属品だったかのように。 でも今は、突然声を見つけたみたいだった。
マルティナは特に不快な気持ちだった。 以前にも考えていたように。
この男は、一体何がしたいんだ? 本当に彼女に恋をしたなんてありえない。 全くもって不合理だ。